冷酷魔法騎士と見習い学士

枝浬菰文庫

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炎と氷を司る弟子

師匠のお仕事

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バスケットにたくさんのパンを持ってマーベラス様のご自宅に入ると赤い絵の具をこぼしたかのような血溜まりができていた。


「え?」

俺は息を潜めながら杖を取り出した。
もしやこの屋敷に殺人鬼がいるのでは??


「なんだ、いい匂いだな」
と背後から声をかけられ俺は思わず叫んでいた。

「ぎゃぁあああああ!!」

「お前……怖いのは苦手か?」

「はふはふっ……師匠……腕……」
右腕がなかった。

「ああ、これかちょっと野犬にやられてな」

……野犬に師匠がやられるってどういうこと??

「その野犬の牙に持続性の毒が塗り込まれていたみたいで今再生中と毒の解析と俺を襲わせた犯人を突き止めているところだ」

「……あの理由は分かりましたがなにかの任務ですか?」
「ああ、とある山に野犬が大量発生したから片付けに行ってた」

「それ、俺も連れて行ってくださいよ」

ひょいとパンを口に運ぶ師匠。
「んーたしかに氷樺は強くなってるが場所が遠いんだよ、【あまいろ】に乗って1時間だから普通にほうきで行くと5日はかかるからな……」

「えっと俺はドラゴンに乗れないのですか?」

「…………え? 知らない、【あまいろ】と正式に会ったことないだろ?」
そんな特別な許可が必要なのか??

でもたしかにドラゴンは決して人にはなれないってマーベラス様もおっしゃってた。ってことは本当に無理なのかもしれない。


「だいぶ再生してきたから【あまいろ】に会ってみるか」
師匠は腕を完全に再生しなにやら作業をしている。

「よし、庭に出ろ」
と言われ俺は出た。

「野犬の犯人を殺しておかないとこの負の連鎖は止まらないからな」
といい体が浮いた。

「え?」
人間って魔法で体浮くんだ。

相変わらずの師匠の姿に俺は遠い人なのかもしれないと思ってしまった。
ライフルを構え遥か先を見つめている。

そんなので本当に当たるのか? と思うけど師匠はすごいからな。


カチとなりこちらに降りてきた。
「どうなりました?」
「ああ、仕留めた、あっちの依頼主とも連絡が取れてひとまず任務は完了だ、後は毒を分析したから解毒剤を届ければ俺も一休みできる」

「お疲れ様です」
とタオルを渡した。

「ああ、助かる」

ピーと指笛を吹くと現れた大きな大きなドラゴン。
夕日に照らされ黒い鱗は輝いていた。

きれい。


大きな赤い瞳がこちらを向いた。
「【あまいろ】俺の弟子の氷樺だ、仲良くしてくれるか?」
【ギャウ】と一声泣いて俺を真剣な瞳で見てきた。

その目に飲み込まれそうだ。

ドラゴンは師匠のほうを向いてポンと小さくなった。
「合格だそうだ」

「じゃぁ俺も乗れるということですか?」
「ああ、解毒剤届けに行くか?」

「はい!!
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