リス獣人の溺愛物語

天羽

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【本編】5さい

21話 あざとい弟

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その後お行儀良く部屋に入ったライオネルは、ラディ母ちゃんに頭を撫でて褒めてもらうと、直ぐにいつもの調子に戻って、俺に駆け寄る。


「リツリツ!あそぼ!なにしてあそぶ?」


キラキラした目で俺に問いかける。
その様子がとても可愛くて、つい弟ができた様な気持ちになる。


……まぁ、歳は一緒だけど。精神年齢は俺の方が高いし!!


それから俺は弟のライオネルと部屋の中で色々な遊びをしたりお菓子を食べたりして、楽しい時間は過ぎていった。




コンコンとドアがノックされラディの母ちゃんが返事をする。


「失礼致します。奥様、もうじきラディアス様がお帰りになられますので、リツ様をお迎えにあがりました」


「ピーピー!!」
(ラディがかえってくる!はやくあいたーい!)


ラディに会える嬉しさで、俺は飛び跳ねながら姿勢良くお辞儀をするバセスさんに走りよる。
そんな俺に気付いたバセスさんは、綺麗な姿勢を崩さず腰を落とし、そのまま手のひらを床へと近づけ俺が乗りやすいようにしてくれた。


「ピュキュ~!!…………ビュ?」


もう少しで手のひらーーーーと言う時に、俺はヒョイっと持ち上げられた。
驚きのあまり一瞬の沈黙の後、状況が理解出来ずにアホな声を出したのは許して欲しい……。


「えーー、リツもうかえるの!?おれもっとリツとあそびたいー」


「ピューイ!」
(おれはラディにあいたいんだー!!)


そんな俺の気持ちは露知らず、ぎゅっと抱き込むライオネルにバセスさんは困り果てる。


「しかし、ライオネル様。リツ様が居ないとラディアス様がご心配なされるので」


「じゃあ、にい様にリツはきょうおれのへやでおとまりするっていっておいて!」


「ピュキュィーー!」
(おれは!ラディとねるんだぁーー!)


暴れる俺など関係ないかのように両脇の間に手を入れ宙ぶらりんになった俺を見つめるライオネル。


「ねぇリツ!きょうおれのへやにとまろうよ!
ーーーーそれとも……おれといっしょは……いや?」


可愛い顔つきで目元をちょっと潤ませながら首を傾げるライオネルに、俺は思う……。
 


(……コイツ!かくしんはんだ!!!)



これが俗に言う『あざとい』と言うやつだ。


前世でも『あざとい』と言う言葉は何度も耳にした事はあるが、実際どの様な行動がそれに該当するかまでは分からなかった。


……だが、俺は今分かった……これが!『あざとい』と言うものだ!!!


しかし、それを知ったところで、この可愛さに勝てる人など何処にも居ないと感じる俺は、「ピュ……」と言ってそのお誘いを承諾するのだった。


「これは、いいってことだよね!やった~!!」


ジャンプして喜ぶライオネルに、可愛い弟が喜んでいるんだから…まぁ……いいか……と頷く俺。


そんな俺たちの様子に困り果てるバセスさんは「お、奥様……」とラディの母ちゃんに助けを求める。

しかしラディの母ちゃんは面白そうにニコニコしながら「ふふふ、面白いからいいじゃないの……それにしても、ライオネルがそんなテクニックを持ってるなんてね~、これは将来が楽しみだわ~」と言って助ける様子など何処にも無かった。



その後、ラディはライオネルとのお泊まりを断固として許さなかったが、同じ様にライオネルも譲らなかった為、仕方ないので今日は2人と1匹で仲良く寝る事に決定した。


仲良く……なんて言葉だけで、実際は俺を何処で寝かせるかの問題になり、ライオネルは寝相が悪いから俺を真ん中にするのは危ないだとか、ラディはいつも俺と寝てるから今日くらいは譲れなど、俺争奪戦が夜遅くまで勃発していたのだった。


「ピィ、、ピュキュ……」
(も、もうねかせてよ……)


2人とも、俺のために争わないで……なんて少女漫画の様なクサいセリフが頭の中に浮かんだ。
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