リス獣人の溺愛物語

天羽

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10さい

32話 見回り隊

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ラディが剣術稽古に行く時間、俺はボブと屋敷内や庭の散歩兼見回りに行くようになった。


「ピュピピ!!」
(よしボブ隊員!今日も見回り隊の出動だ!今回の任務は庭へ行ってヘレス隊員にも会って、そして遊ぶのだ!!)


「バウッ!!」


両腕を挙げ気合いを入れた俺達は、まず先に屋敷内の見回りへと足を進める。
勿論俺はボブの頭の上で、これが結構居心地が良い。


「あら!リツ様、ボブ様おはようございます!」


「ピュー!」
(おはようー!)
「ワン!」


「今日も楽しそうね~」


「ピピピ!!」
(今の所異常なしだ!)
「ワフワフッ!」


「あ!リツ様~、昨日クッキー作ったので良かったら食べてね!」


「ピュィピュィ!」
(やったー!ありがと!!!)
「ハフハフ!!」


すれ違う侍女さん達が俺とボブを見つけると笑顔で話しかけてくれる。
この5年間でかなり仲良くなったグラニード家の使用人はみんな本当に優しくて温かい。

グラニード家の使用人は、どうやら他の貴族の家よりもかなり少ないみたいで、今は侍女長のオウラさんを抜いて侍女さんが3人とお爺さん執事のバセスさん、男性コックのガオルグさん、そして庭師のアドルフさんと、時々ヘレスも一緒にって感じで、本当に少数精鋭でやっているらしい。

なんでも、騎士団に入ると遠征なんかもあって自分の事は自分でやらなくてはいけないからなんだって。
だから、今の内から身支度や部屋の掃除なんかは個人でやっているみたい。

でもラディ母ちゃんにはその必要は無いし、女性は色々大変だから3人の侍女が付いているらしい。


ちなみに俺の事はラディが全部自分でやりたいらしくて、侍女を断っていた。



俺はボブとキッチンへ行く。
するとそこにはガタイのいい男性がコックコートとコック帽を着用して鼻歌を歌いながら調理をしていた。


「ピュー!!」
(おじちゃん!きたよ!)
「ワンッ!!」


俺達が声を掛けると、おじちゃん基ガオルグさんはニカッと大きく笑い俺達を歓迎する。


「おー、今日も来たか!!ほれ、さっき出来たキッシュだぞ!味見してみな!!」


俺はガオルグさんの手に乗る1口サイズのキッシュを口いっぱいに頬張る。


「ピュ~」
(うま~い!)


「その顔は気に入ったみたいだな!今日の夕食で出るから沢山食べて大きくなるんだぞ!」


「ピピィ!!」
(うん!ありがと!楽しみだ!!)

ガオルグさんは大きな手をガシリと俺の小さな頭に乗せて優しくワシャワシャと撫でた。





「おや?リツ様、本日も庭園に行かれるのですか?」


落ち着いた声音で話しかけるのはバセスさん。
隣には侍女長のオウラさんもいる。


「ピィピピッッ!」
(そうです!今から行ってきます!)


俺は手を挙げて挨拶すると、首を上下に振る。


「そうなのですね、ラディアス様のご帰宅される昼頃までには帰ってきてくださいね……またお叱りを受けないように!」

そう言う気さくなオウラさんはつい先日、また時間を無視して遊んでいてラディに怒られた時の事を言ってるのだろう。

俺はそんなオウラさんから逃げるように「ピュ!」とお別れの挨拶をし、品良く笑うバセスさんとオウラさんに背を向けて、庭園へと向かったのだ。
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