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第5章
5-29話すべきこと、ではなく
「あ、おはよう」
「おはよー」
週明け、草壁が登校して、
「前、櫓に僕のことを訊きに行ったの?」
すぐに話を切り出した。
「えっ……。ごめん」
「何故謝る」
「いやだって、言いたくないことを知ろうとしちゃったから」
「あの時話さなかったのは、他人に言うようなことじゃないし、ややこしくなると思ったから。でもよく考えれば話すべきだったんだよね」
「……い、言わなくていい!」
「何故断る」
「他人に言うようなことじゃないんでしょ!」
「え? あ……まあ、草壁が聴きたくないなら言わないけど」
「なっ……じゃあ聴く!」
「何故改める」
「それは……」
言い淀むようなことなの?
聴きたがっていなかったのに、急に聴きたがるようになったのは……。そもそも知りたかったわけだったのに、聴きたがらなかったのも……。
「えっと、僕が話したいんだ。そうじゃないと全て終わったとは言えないから」
「分かった。聴く」
気遣い、というか僕の意志を放棄して相手に委ねているからだね。僕のしたいようにするべきってことだよね。
◇
それから幸恵さんと凛紗さんにも伝えた、父親が不倫して離婚したこと、その後のこと、それらを受けた僕の考えを草壁に聴いてもらった。
「そうだったんだ……。大変だったよね」
「まあ……そうだね。結婚したままの方が良かったとも思えないけど」
「……うん。ありがとう。君島から貰ったものがどれだけ重くて大切か、本当の意味で分かったよ」
「大丈夫だと思う。草壁も木庭も考え抜いた上でお互いを選んでいるから」
「そうかな」
草壁は照れ笑いを見せた。
「あ。それでなんで櫓に君島のことを訊いたことを知ってたの?」
「幸恵さんから聴いたからだよ」
「ならいいや。もう櫓からあんまり高い情報買ったりしないでね?」
「情報は最近もたまに買ってるけど」
「え」
「高いのは買ってないから!」
「お願い。ああ、あとさ。このことって前に凛紗に話してあったの?」
「全部じゃないけど、離婚していることは」
「なんで?」
「それは……気まぐれとしか言いようが無いかな」
「おはよー」
週明け、草壁が登校して、
「前、櫓に僕のことを訊きに行ったの?」
すぐに話を切り出した。
「えっ……。ごめん」
「何故謝る」
「いやだって、言いたくないことを知ろうとしちゃったから」
「あの時話さなかったのは、他人に言うようなことじゃないし、ややこしくなると思ったから。でもよく考えれば話すべきだったんだよね」
「……い、言わなくていい!」
「何故断る」
「他人に言うようなことじゃないんでしょ!」
「え? あ……まあ、草壁が聴きたくないなら言わないけど」
「なっ……じゃあ聴く!」
「何故改める」
「それは……」
言い淀むようなことなの?
聴きたがっていなかったのに、急に聴きたがるようになったのは……。そもそも知りたかったわけだったのに、聴きたがらなかったのも……。
「えっと、僕が話したいんだ。そうじゃないと全て終わったとは言えないから」
「分かった。聴く」
気遣い、というか僕の意志を放棄して相手に委ねているからだね。僕のしたいようにするべきってことだよね。
◇
それから幸恵さんと凛紗さんにも伝えた、父親が不倫して離婚したこと、その後のこと、それらを受けた僕の考えを草壁に聴いてもらった。
「そうだったんだ……。大変だったよね」
「まあ……そうだね。結婚したままの方が良かったとも思えないけど」
「……うん。ありがとう。君島から貰ったものがどれだけ重くて大切か、本当の意味で分かったよ」
「大丈夫だと思う。草壁も木庭も考え抜いた上でお互いを選んでいるから」
「そうかな」
草壁は照れ笑いを見せた。
「あ。それでなんで櫓に君島のことを訊いたことを知ってたの?」
「幸恵さんから聴いたからだよ」
「ならいいや。もう櫓からあんまり高い情報買ったりしないでね?」
「情報は最近もたまに買ってるけど」
「え」
「高いのは買ってないから!」
「お願い。ああ、あとさ。このことって前に凛紗に話してあったの?」
「全部じゃないけど、離婚していることは」
「なんで?」
「それは……気まぐれとしか言いようが無いかな」
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