その吸血鬼、返品します!

胡桃澪

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やっぱり返品できませんよね?ですよね

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「あ、またどうやって俺を追い出そうか考えてただろ?」
「うっ……」
「出て行かないぞ? 俺は。雫が気に入ったからな」
「気に入らないでください!」
「無理」

 本当に本当に女好きすぎる!きっと女子なら誰でも良いんだ!

「ただいまー!」
「つ、疲れた……」

 帰ってきた頃には私は疲弊していた。あんなに長時間家族以外の人と過ごすの初めて。

「おかえりなさい、響斗くん!」
「ただいま、お義母さん」
「きゃああ、お義母さん呼びは早いわよー!」

 もうお母さんを手懐けている響斗くん。これから先、私はどうなるんだろう?

「そうだ、雫。今日、付き合ってくれたお礼があるんだ」
「何でしょう?」
「きっと似合う!」

 響斗くんはうきうきした表情で私に紙袋を渡す。

 そういえば、トイレ行くって言って暫く戻って来ない時があったなぁ。何か買ってたのか。

 私は紙袋を受け取ると、中身を取り出す。
 
 中から出てきたのは黒いレースの下着。

「……これを私に着ろと?」
「ああ! 見たいからな!」
「き、着ませんからー!」

 私は彼に下着を突き返す。

「な、何で!?」
「せ、せ、セクハラですよ! それ!」
「セクハラとは?」

 ああ、そっか。明治時代にいた人だからセクハラも通じないんだ!

「スマホ買ったんだし、自分で調べてください!」
「あ、雫!」

 私は部屋に戻ると、すぐさま部屋のドアに鍵をかける。

 もう最悪すぎるよー、あの吸血鬼さん!!

「暫く一人でいよう。鍵もしっかりかけたし」

 私はベッドに寝転ぶ。

 私の平穏だった日常、もう戻って来ないのかな。

「またおまじないやってみる? けど、また変なの召喚したら嫌だし……」

 召喚した吸血鬼を封印し直すおまじないとかないのかな。

 けど、流石にそれは良心が痛む。彼はきっとずっと封印から解かれたかっただろうし。

「雫ー! 何故鍵を閉めている?」

 いきなり部屋のドアが勢い良く叩かれる。響斗くんだ、やっぱりしつこい。

「ひ、一人になりたいから!」
「俺は寂しいんだけど」
「し、知りません!」
「良いの? お義母さんと俺を二人きりにして。本気出せばあのくらいのご年齢の女性だって….…」
「そ、それは勘弁してください!」

 私は慌てて部屋のドアを開ける。

「お、出てきたな」
「やり方がヤクザなんですけど……」
「雫の話す言葉は難しいな」
「わ、私に何か御用ですか?」
「ああ。すまーとふぉんとやらの使い方を教えて欲しい」
「お、お母さんに聞けば良いんじゃないですか?」
「頼んだんだが、断られた。俺の顔が良すぎて集中して教えられないと」
「そ、そうですか……」

 さすが村を壊滅させかけた色男というか。

「説明書をざっと読んで理解はしたが、メッセージアプリとやらは説明書が無いからな。教えてくれないか?」
「メッセージアプリ……」
「雫もやるだろう? 年頃の娘はたくさんやるとお義母さんが……」
「わ、私はお母さんくらいとしかやらないから……」

 友達いないし……。

「じゃあ、俺とやろう! 友達いないし」
「私は面倒なので……」
「雫のスマホはこれだな。えっと、友達追加機能……」
「人の話聞いてます!?」

 彼は私の言葉も聞かず、私のスマホをいじり勝手に友達追加をしている。

「雫の写真は猫か。俺は先程お義母さんに習った自撮りで撮った自分の写真に設定したぞ」
「そ、そうですか」

 アイコンが自撮りとかナルシストの極みですね。

「ほら、追加出来た! このひひひって言うのが俺な」
「何ですか? そ、その不気味な笑い方みたいな名前は……」
「まだ文章打つのに慣れてなくて適当に入れた」
「か、貸してください」

 私は響斗くんのスマホを借り、名前を打ち直す。

「HIBITO! おぉ、ちゃんと俺の名前になった! ありがとうな、雫!」
「い、いえ……」

 名前を変更しただけなのに彼はとても嬉しそうだ。

「メッセージを送るのはどうしたら良い?」
「えっと、このメッセージを送りたい人のアイコンをタッチして……」
「アイコンとはなんだ?」
「写真の事です! この丸い枠の」
「ほぉ、現代は横文字が多いのだな。あいこん、あいこん……」

 そうか、この人見た目は若いから忘れてたけど、世間的には結構お年寄りなんだ!100歳超えてるし。

 うちのおじいちゃんよりは飲み込み早いみたいだけど。

「雫にメッセージ送ってみたぞ」
「あ、見ますね」

 私は彼からのメッセージを確認する。

『俺からの愛を受け止めろ!』

 最初の一言でこの文!?

『受け止めません』

 私が返事を返すと、泣いているうさぎのスタンプを送り返された。

「あの……普通の文章を書きましょう?」
「これが俺の普通だ」
「普通のベクトルがおかしいですよ!」
「これでじわじわ雫を口説く事が出来るな」
「し、しつこくしたらブロックします」
「ブロック!?」
「でも……使い方、大丈夫そうじゃないですか」
「そうだな。文章を打つのは遅いが」
「やっぱりおじいちゃん……」
「嬉しかろう? 世界一のイケメン吸血鬼とメッセージを送り合えるのは雫だけなんだから」
「う、嬉しくありません!」

 やっぱりこの人のテンションついてけない、無理すぎる!!

「美味しい? 響斗くん」
「はい! やはりいつの時代もライスカレーは美味しいですね」

 夕飯時になると、響斗くんは満足した表情でカレーを食べる。

 吸血鬼だけど、普通に食事もするよね、彼。昼ご飯も食べてたし。

「はぁ、こんなにゆっくり食事をとる日が再び訪れるとはな。しかも、女性に囲まれて!」

 本当に女好きなんだな、この人。まさに私の嫌いなタイプの女好きなチャラ男!

「前は女性でも侍らせて暮らしたりしてたとか?」
「雫! お義母さんの前だぞ? 俺の印象を悪くしないで貰いたいな」
「私の中では印象最悪なんですけど….…」
「ずっと一人暮らしだったよ。ご飯を作りに来る女性は一人いたけど」
「やっぱり女好き……」
「失礼な。彼女はそういうのではない。特別な存在だ」
「えっ?」
「俺の女遊びをやめさせるくらいには……な」

 響斗くんは突然、暗い表情になった。

 まずい事聞いちゃったかな。

「あの……」
「まあ、今は雫がいるからな」
「は、初めて見た女性が私だっただけじゃないですか! ひよこと同じ原理ですよ」
「そんなしょうもない理由じゃない」
「えっ……」

 どういう意味……?

 彼が珍しく見せた真剣な眼差しに一瞬ドキッとした。

「しーずーく! 一緒にお風呂入ろう?」
「は、入りません!」
「俺、洗うの上手いけど」
「せ、セクハラ禁止ー!」

 クラスでは誰も見向きもしない私に彼だけはやたらと構ってくる。私なんか全然魅力的じゃない女なのに。

 どうしてだろう?

  なんとか変態と一緒にお風呂を入る事態を避け、入浴。彼の寝室はちゃんとゲストルームがあったおかげで別。

 一緒に寝る事にはならないみたいで良かった、本当に。

 けど、鍵はちゃんとかけて寝よう!

 私はお風呂から上がると、すぐに寝室に鍵をかけて眠りについた。





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