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もう一度、はじめから。
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「えっ……またネックレスが……」
今度はネックレスから白い光が放たれる。
ネックレスから溢れ出た白い光は響斗くんの身体全体を包み込む。
「何が起きて……」
私が困惑していると、響斗くんの身体を包み込んでいた光は一瞬で消えた。
「ん……」
「えっ……ひ、響斗くん!?」
響斗くんが目を覚ました。
「雫……俺は……死んだんじゃ……」
気づいたら小太刀は消え、響斗くんの傷口もふさがれている。
「えっ……」
池の上に白い髪に赤い瞳をした男性がいた。彼が手にしているのは響斗くんを刺していた小太刀。
よくよく見ると、男性は助けている。
「あ、あの!」
私が彼に声をかけようとするも、彼は笑顔でありがとうと言って消えてしまった。
「雫……どうした?」
「今、一瞬……白い髪に赤い瞳の男性が……」
「えっ?」
「響斗くんを刺していた小太刀を持って消えちゃった」
「……きっと父さんだ。そのネックレスを作ったのは父さんだから……」
響斗くんのお父さんが私と響斗くんを守ってくれたの….…?
「ありがとうと言わなければならなかったのは私の方なのに……」
私はネックレスを握りしめる。
「雫、あいつは?」
「響斗くんのお父さんが追っ払ってくれたよ」
「そうか。よか……」
「バカ! どうして一人で湊くんに会いに行ったりしたの?」
「そ、それは……雫が告白されたと聞いたからだ。あいつが静流に言い寄って困らせていた婚約者の生まれ変わりだと勘づいていたからちゃんと確かめたくて……」
「じゃあ、響斗くんは私が静流の生まれ変わりだって分かってたの?」
「最初会った時は顔が似ているだけだと思ってた。けど、一緒にいる内に確信した」
「ごめんなさい、私はすぐに思い出せなかった」
響斗くんに酷い事を言ったりもした。
「良いんだ。転生前の記憶を思い出すなんて人間ではあまり無い事だ」
「そう……だよね」
けど、きっと思い出したのは私の中の静流だった時の執念がまだ残っていたから。110年経っても響斗くんへの想いは確かに強く残っていたんだ。
「やはり封印を解いたのが雫だった事に意味はあったんだな。きっかけは複雑だけど……」
「わ、忘れて! 一瞬でもあの人に片思いしていた自分を葬り去りたい!」
響斗くんをあんな目に遭わせた張本人を好きだと錯覚してたなんて!
「雫」
「は、はい」
「……俺ともう一度恋をしてもらえますか?」
響斗くんは真剣な表情で私の手を握り、言う。
「よ、良いの? 私、記憶はあっても静流の時と大分変わってるよ? あんな自分から着物を脱ぐような事、今の私には難しいし、あんな気品も無……」
「確かに月宮雫はウブなお子ちゃまだけど……」
「うっ……」
「けど、雫が良いんだ。今の雫は今の雫で面白いし。だから、俺ともう一度付き合って」
「は、はい……」
「結婚を前提に」
「そ、それは気が早くてちょっと……」
「そこは乗れよ!」
月宮雫として響斗くんにたくさん愛して貰えるように頑張らないとね……。
「早く大人になれるよう頑張らなきゃ」
「雫」
「はい?」
響斗くんはいきなり私の唇を奪った。
「ひ、ひ、響斗くん!?」
「早く大人になりたいんだろ?」
「変態くそジジイ……」
「ジジイ呼ばわりはやめて! 見た目はぴちぴちなんだから!」
「ふ、不意打ちは困る! わ、私は恋愛経験値ゼロなんだから……」
月宮雫としては恋愛は初めからなわけでして。
「嫌?」
「い、嫌なわけじゃないけど……」
「じゃあ、俺の気が済むまでキスして良いですか」
「気が済むまでっていつまで!?」
「15分くらい?」
「そ、それは長いよ!?」
「むぅ……」
「そんなにされたら私、おかしくなるよ? キャパオーバー」
「また難しい日本語使ってる……」
さっき自分からキスしちゃったけど、響斗くんからされるのはやっぱり動揺する!
「恥ずかしいし……顔真っ赤で変な顔してるに決まってるよ……」
「雫はいつだって可愛いから大丈夫。ごめん、やっぱり俺……我慢出来ない」
響斗くんは何度も何度も私にキスをした。
110年前の記憶があるとはいえ、この身体でキスをするのは初めてなわけだからやっぱり困惑する、心も身体も。
「雫……ずっとずっとこうしたかった」
いつもより優しい声で甘い言葉を囁きながら何度もキス。
もう、あんな悲劇にはさせない。
私が響斗くんを絶対絶対幸せにする。
彼を刑務所から救い出した日からずっと決めていた。私が彼を支え、守ると。
「朝倉くんの話聞いた?」
「聞いた! なんか入院したらしいね。精神科?」
「ずっと白い髪に赤い瞳をした化け物に襲われるって呟いてたらしい。やばいね!」
朝倉くんは学校には来なくなった。
あの後、彼に何が起きたかは私にも響斗くんにも分からない。
だけど、このお守りを作った主が私と響斗くんを守ってくれたおかげだという事は分かる。
「雫、校外学習が近いな!」
「そうだね。響斗くん、しおりまで作っちゃって相当楽しみみたいだね?」
「おう! 楽しみ楽しみ」
「楽しみなのは分かるけど……後ろから抱きつくのはやめようか? 学校だし」
「えー!」
「は、恥ずかしいからだめっ」
「仕方ない! 抱きつきたくなる身体してるんだもん」
「開き直らないでくださーい」
スキンシップ激しいな、付き合ってからは。
「110年も触れられなかったから人肌恋しくて!」
「コアラの赤ちゃんみたいだね……常に後ろにひっついてる」
「カレピッピを赤ちゃん呼ばわり!?」
「カレピッピ好きだね……響斗くん」
「好きな日本語ベスト3に入るな。 3位!」
「じゃあ、1位は?」
「……雫だよ。俺が一番愛しく感じる言葉」
「っ……」
「顔真っ赤だねー? 雫……」
「そ、そゆの……ずるくないですか」
「聞かれたから答えただけだよ」
やっぱり恋愛経験値ゼロの私が響斗くんのこういうところに慣れるまではかなり時間を要しそう。
「痛っ……」
「ごめん……強く噛んでた?」
「だ、大丈夫。衝動治るまでは続けて……んっ……」
「はぁ……ごめん。最近、魔界で買った血清じゃ吸血衝動治らなくて……」
「大丈夫。慣れてきたし……」
昼休み、中庭で私は響斗くんに血を分け与えた。
響斗くんの吸血衝動が起きる度、私は昔の如く響斗くんに血を提供している。
「貧血とか起きてないか?」
「大丈夫だよ。どうしていつも血を吸った後は泣きそうな顔するの?」
「俺……まだ怖いんだ。自分がどうなるか分からないから。吸血鬼と人間のハーフは前例が無いから予測出来ないし」
「大丈夫。響斗くんは私と変わらないよ。私と違うのは主食が違う事と、にんにくがだめな事くらい。でしょ?」
私は響斗くんを優しく抱きしめながら言う。
私は吸血鬼じゃないから全部を分かってあげられない。それが、苦しい。
「雫……」
「大丈夫だよ」
「情けないな、俺。雫には昔から励まされてばかりだ。強くなるよ、ちゃんと」
「響斗くん……」
「それより! 俺、雫から一度も好きだとか愛してるとか言われてない気がするんだが」
「へ?」
「俺は毎日言ってるけど……」
「そ、そんなの言わなくても分かるんじゃ」
「言ってくれないと不安になるんだよ」
響斗くんが彼女みたいになってるよ!?
「す、好きだよ……響斗くんの事……」
「声が小さい」
「す、好き!」
「よく出来ました」
響斗くんは私の頭を優しく撫でる。
そうだよね、もっと伝わるようにしないと。
「ひ、響斗くん!」
「ん?」
私は自分から響斗くんにキスをした。
「ちゃんと私の気持ち、伝わった?」
「ふ、不意打ちはずるくないか?」
「い、いつもの仕返し」
顔を赤らめる彼を見てより一層愛しさを感じた。
今度こそ悲しい運命にはさせない。
ようやくまた巡り会えたんだもん。
この出会いはきっともう一度私達がやり直す為だ。
「そういえば、今日……髪巻いてるんだな? スカートも短いし……」
「私なんかって思うの……やめる事にしたから」
「えっ?」
「響斗くんに月宮雫としてしっかり愛されたいから….…ね。自分磨き中」
「自信持って良いって言ってるだろ? 雫は世界一魅力的だ」
彼は息をするように照れくさくなるような甘い発言をしてくる。
「す、すぐそういう発言する」
「けど、短いスカートってそそるな。太ももにすりすりしたくなるな」
「そ、そんな破廉恥な事したら魔界に返品するからね!?」
「雫ー!」
「う、潤んだ瞳で見てもだめ!」
「ちぇっ……」
まだキスだけでいっぱいいっぱいな私。時間、かかりそうだな。
「響斗ー!」
「ひーくーん!」
えっ?
空からサキュバスのような女性達が降ってきた。
「げっ……」
「最近、全然魔界に来ないから会いに来ちゃった!」
「やっと封印から目覚めたっていうのにどうして連絡くれないのー?」
響斗くんの周りには3人の女性達が。
「110年前も話したけど、俺は……」
「昔はあんなにたくさんしてくれたのに!」
「久々に気持ち良い事しようよ!」
気持ち良い事……?
「し、雫! む、昔の話だ! 静流と会う前の。何、今更掘り返してんだよ! お前ら!」
「だってずっと忘れられないんだもん」
「ねー!」
響斗くんに言い寄る女性達は巨乳なグラマラスな女性ばかり。
私は自分の幼い体型を見て落ち込む。
やっぱり自信、無いよ。
「響斗くんの変態モンスター!!」
「し、雫!?」
私はその場から走り去った。
「何、拗ねてるんだろう。響斗くんが昔遊び人だったのは百も承知じゃ無い!」
私は屋上で一人、拗ねる。
けど、あんな綺麗で巨乳のお姉さん達と過去に色々あったって聞いたらやっぱりモヤモヤする。
魔界の人以外にも村にいるたくさんの人と関係は持ってただろうけど。
それで村の男性の怒りを買ってたし。
「巨乳になるしか自信持てないのかな」
静流の時と体型変わっちゃうなんて!なんか、昔の方が自分に自信持ててた気がする。
「内気だし、小柄で幼い体型だし、地味だし、勝てる要素が……」
「まーた陰気になってる」
「きゃあ!」
響斗くんが突然、屋上に入って来たので私は驚く。
「さ、さっきの人達は?」
「追っ払った。俺には大事な大事なフィアンセがいるって言って」
「あんな巨乳のお姉さん達前にしたらさすがに気持ち揺らぐんじゃないの? 私はあんな色気無いし、胸だって……」
また嫌な言い方しちゃった。
「雫は俺を信じられないのか?」
「ち、違う….…けど……」
「俺に散々我慢させておいて、巨乳の女達と話しているだけでやらしい目で見てるでしょ?ってか。随分と勝手だな?」
響斗くんは呆れた表情で言う。
「ひ、響斗くん……」
お、怒ってる!?
「がっかりだ」
「ご、ごめん……なさい」
そうだよね。私、いちいち面倒くさい女の子だ。
響斗くんに言いたい放題……。
このままじゃ嫌われちゃう……?
「バーカ。雫が俺を信じないからちょっと意地悪しただけだよ。そんな泣くな」
「えっ……」
「俺は雫じゃなきゃ駄目だし、雫がいなければきっとずっとずっと苦しんでいたよ。両親は殺されたし。君に出会うまでの俺は誰も信じられなくて、誰も本気で愛せなかった」
「響斗くん……」
「俺に幸せをくれた、誰かを愛するという感情をくれた君を一生大事にする、守るって。110年前、君が俺をあの監獄から助けてくれた日からずっとずっと決めているんだ」
響斗くんは私の髪を優しく撫でる。
「私、本当….…ばかだね。響斗くんを振り回してばかり……ちゃんと分かっていたはずなのに」
「良いんだ。雫を不安にさせるくらい男として魅力的だからな、俺は」
「ちょ、調子に乗らないでください」
「言っとくけど、怒ってるのは俺もだからな? 初めて雫に会った時、雫は朝倉朝倉だったし」
「わ、忘れてぇ!」
こんな私でも好きだと言ってくれる彼をちゃんとちゃんと大事にしなきゃ。
不安になるなんて最低だ。響斗くんは昔からずっとずっとちゃんと私を想っててくれたのに。
「今日、お母さんもお父さんも帰らないから添い寝できるね」
「ゆ、許してくれるのか!? コウモリの姿じゃなくても」
「うん。それに……やっぱり早く大人にならないとね、私も」
「そ、それって……」
「我慢は体に毒、でしょ?」
私の言葉に響斗くんはいつになく嬉しそうな顔をした。
変態モンスターめ……。
だけど、そんな彼を今日もより一層愛おしく感じる。
もう一度、始めから私は彼と恋を始める……。
110年振りの恋を……。
【END】
今度はネックレスから白い光が放たれる。
ネックレスから溢れ出た白い光は響斗くんの身体全体を包み込む。
「何が起きて……」
私が困惑していると、響斗くんの身体を包み込んでいた光は一瞬で消えた。
「ん……」
「えっ……ひ、響斗くん!?」
響斗くんが目を覚ました。
「雫……俺は……死んだんじゃ……」
気づいたら小太刀は消え、響斗くんの傷口もふさがれている。
「えっ……」
池の上に白い髪に赤い瞳をした男性がいた。彼が手にしているのは響斗くんを刺していた小太刀。
よくよく見ると、男性は助けている。
「あ、あの!」
私が彼に声をかけようとするも、彼は笑顔でありがとうと言って消えてしまった。
「雫……どうした?」
「今、一瞬……白い髪に赤い瞳の男性が……」
「えっ?」
「響斗くんを刺していた小太刀を持って消えちゃった」
「……きっと父さんだ。そのネックレスを作ったのは父さんだから……」
響斗くんのお父さんが私と響斗くんを守ってくれたの….…?
「ありがとうと言わなければならなかったのは私の方なのに……」
私はネックレスを握りしめる。
「雫、あいつは?」
「響斗くんのお父さんが追っ払ってくれたよ」
「そうか。よか……」
「バカ! どうして一人で湊くんに会いに行ったりしたの?」
「そ、それは……雫が告白されたと聞いたからだ。あいつが静流に言い寄って困らせていた婚約者の生まれ変わりだと勘づいていたからちゃんと確かめたくて……」
「じゃあ、響斗くんは私が静流の生まれ変わりだって分かってたの?」
「最初会った時は顔が似ているだけだと思ってた。けど、一緒にいる内に確信した」
「ごめんなさい、私はすぐに思い出せなかった」
響斗くんに酷い事を言ったりもした。
「良いんだ。転生前の記憶を思い出すなんて人間ではあまり無い事だ」
「そう……だよね」
けど、きっと思い出したのは私の中の静流だった時の執念がまだ残っていたから。110年経っても響斗くんへの想いは確かに強く残っていたんだ。
「やはり封印を解いたのが雫だった事に意味はあったんだな。きっかけは複雑だけど……」
「わ、忘れて! 一瞬でもあの人に片思いしていた自分を葬り去りたい!」
響斗くんをあんな目に遭わせた張本人を好きだと錯覚してたなんて!
「雫」
「は、はい」
「……俺ともう一度恋をしてもらえますか?」
響斗くんは真剣な表情で私の手を握り、言う。
「よ、良いの? 私、記憶はあっても静流の時と大分変わってるよ? あんな自分から着物を脱ぐような事、今の私には難しいし、あんな気品も無……」
「確かに月宮雫はウブなお子ちゃまだけど……」
「うっ……」
「けど、雫が良いんだ。今の雫は今の雫で面白いし。だから、俺ともう一度付き合って」
「は、はい……」
「結婚を前提に」
「そ、それは気が早くてちょっと……」
「そこは乗れよ!」
月宮雫として響斗くんにたくさん愛して貰えるように頑張らないとね……。
「早く大人になれるよう頑張らなきゃ」
「雫」
「はい?」
響斗くんはいきなり私の唇を奪った。
「ひ、ひ、響斗くん!?」
「早く大人になりたいんだろ?」
「変態くそジジイ……」
「ジジイ呼ばわりはやめて! 見た目はぴちぴちなんだから!」
「ふ、不意打ちは困る! わ、私は恋愛経験値ゼロなんだから……」
月宮雫としては恋愛は初めからなわけでして。
「嫌?」
「い、嫌なわけじゃないけど……」
「じゃあ、俺の気が済むまでキスして良いですか」
「気が済むまでっていつまで!?」
「15分くらい?」
「そ、それは長いよ!?」
「むぅ……」
「そんなにされたら私、おかしくなるよ? キャパオーバー」
「また難しい日本語使ってる……」
さっき自分からキスしちゃったけど、響斗くんからされるのはやっぱり動揺する!
「恥ずかしいし……顔真っ赤で変な顔してるに決まってるよ……」
「雫はいつだって可愛いから大丈夫。ごめん、やっぱり俺……我慢出来ない」
響斗くんは何度も何度も私にキスをした。
110年前の記憶があるとはいえ、この身体でキスをするのは初めてなわけだからやっぱり困惑する、心も身体も。
「雫……ずっとずっとこうしたかった」
いつもより優しい声で甘い言葉を囁きながら何度もキス。
もう、あんな悲劇にはさせない。
私が響斗くんを絶対絶対幸せにする。
彼を刑務所から救い出した日からずっと決めていた。私が彼を支え、守ると。
「朝倉くんの話聞いた?」
「聞いた! なんか入院したらしいね。精神科?」
「ずっと白い髪に赤い瞳をした化け物に襲われるって呟いてたらしい。やばいね!」
朝倉くんは学校には来なくなった。
あの後、彼に何が起きたかは私にも響斗くんにも分からない。
だけど、このお守りを作った主が私と響斗くんを守ってくれたおかげだという事は分かる。
「雫、校外学習が近いな!」
「そうだね。響斗くん、しおりまで作っちゃって相当楽しみみたいだね?」
「おう! 楽しみ楽しみ」
「楽しみなのは分かるけど……後ろから抱きつくのはやめようか? 学校だし」
「えー!」
「は、恥ずかしいからだめっ」
「仕方ない! 抱きつきたくなる身体してるんだもん」
「開き直らないでくださーい」
スキンシップ激しいな、付き合ってからは。
「110年も触れられなかったから人肌恋しくて!」
「コアラの赤ちゃんみたいだね……常に後ろにひっついてる」
「カレピッピを赤ちゃん呼ばわり!?」
「カレピッピ好きだね……響斗くん」
「好きな日本語ベスト3に入るな。 3位!」
「じゃあ、1位は?」
「……雫だよ。俺が一番愛しく感じる言葉」
「っ……」
「顔真っ赤だねー? 雫……」
「そ、そゆの……ずるくないですか」
「聞かれたから答えただけだよ」
やっぱり恋愛経験値ゼロの私が響斗くんのこういうところに慣れるまではかなり時間を要しそう。
「痛っ……」
「ごめん……強く噛んでた?」
「だ、大丈夫。衝動治るまでは続けて……んっ……」
「はぁ……ごめん。最近、魔界で買った血清じゃ吸血衝動治らなくて……」
「大丈夫。慣れてきたし……」
昼休み、中庭で私は響斗くんに血を分け与えた。
響斗くんの吸血衝動が起きる度、私は昔の如く響斗くんに血を提供している。
「貧血とか起きてないか?」
「大丈夫だよ。どうしていつも血を吸った後は泣きそうな顔するの?」
「俺……まだ怖いんだ。自分がどうなるか分からないから。吸血鬼と人間のハーフは前例が無いから予測出来ないし」
「大丈夫。響斗くんは私と変わらないよ。私と違うのは主食が違う事と、にんにくがだめな事くらい。でしょ?」
私は響斗くんを優しく抱きしめながら言う。
私は吸血鬼じゃないから全部を分かってあげられない。それが、苦しい。
「雫……」
「大丈夫だよ」
「情けないな、俺。雫には昔から励まされてばかりだ。強くなるよ、ちゃんと」
「響斗くん……」
「それより! 俺、雫から一度も好きだとか愛してるとか言われてない気がするんだが」
「へ?」
「俺は毎日言ってるけど……」
「そ、そんなの言わなくても分かるんじゃ」
「言ってくれないと不安になるんだよ」
響斗くんが彼女みたいになってるよ!?
「す、好きだよ……響斗くんの事……」
「声が小さい」
「す、好き!」
「よく出来ました」
響斗くんは私の頭を優しく撫でる。
そうだよね、もっと伝わるようにしないと。
「ひ、響斗くん!」
「ん?」
私は自分から響斗くんにキスをした。
「ちゃんと私の気持ち、伝わった?」
「ふ、不意打ちはずるくないか?」
「い、いつもの仕返し」
顔を赤らめる彼を見てより一層愛しさを感じた。
今度こそ悲しい運命にはさせない。
ようやくまた巡り会えたんだもん。
この出会いはきっともう一度私達がやり直す為だ。
「そういえば、今日……髪巻いてるんだな? スカートも短いし……」
「私なんかって思うの……やめる事にしたから」
「えっ?」
「響斗くんに月宮雫としてしっかり愛されたいから….…ね。自分磨き中」
「自信持って良いって言ってるだろ? 雫は世界一魅力的だ」
彼は息をするように照れくさくなるような甘い発言をしてくる。
「す、すぐそういう発言する」
「けど、短いスカートってそそるな。太ももにすりすりしたくなるな」
「そ、そんな破廉恥な事したら魔界に返品するからね!?」
「雫ー!」
「う、潤んだ瞳で見てもだめ!」
「ちぇっ……」
まだキスだけでいっぱいいっぱいな私。時間、かかりそうだな。
「響斗ー!」
「ひーくーん!」
えっ?
空からサキュバスのような女性達が降ってきた。
「げっ……」
「最近、全然魔界に来ないから会いに来ちゃった!」
「やっと封印から目覚めたっていうのにどうして連絡くれないのー?」
響斗くんの周りには3人の女性達が。
「110年前も話したけど、俺は……」
「昔はあんなにたくさんしてくれたのに!」
「久々に気持ち良い事しようよ!」
気持ち良い事……?
「し、雫! む、昔の話だ! 静流と会う前の。何、今更掘り返してんだよ! お前ら!」
「だってずっと忘れられないんだもん」
「ねー!」
響斗くんに言い寄る女性達は巨乳なグラマラスな女性ばかり。
私は自分の幼い体型を見て落ち込む。
やっぱり自信、無いよ。
「響斗くんの変態モンスター!!」
「し、雫!?」
私はその場から走り去った。
「何、拗ねてるんだろう。響斗くんが昔遊び人だったのは百も承知じゃ無い!」
私は屋上で一人、拗ねる。
けど、あんな綺麗で巨乳のお姉さん達と過去に色々あったって聞いたらやっぱりモヤモヤする。
魔界の人以外にも村にいるたくさんの人と関係は持ってただろうけど。
それで村の男性の怒りを買ってたし。
「巨乳になるしか自信持てないのかな」
静流の時と体型変わっちゃうなんて!なんか、昔の方が自分に自信持ててた気がする。
「内気だし、小柄で幼い体型だし、地味だし、勝てる要素が……」
「まーた陰気になってる」
「きゃあ!」
響斗くんが突然、屋上に入って来たので私は驚く。
「さ、さっきの人達は?」
「追っ払った。俺には大事な大事なフィアンセがいるって言って」
「あんな巨乳のお姉さん達前にしたらさすがに気持ち揺らぐんじゃないの? 私はあんな色気無いし、胸だって……」
また嫌な言い方しちゃった。
「雫は俺を信じられないのか?」
「ち、違う….…けど……」
「俺に散々我慢させておいて、巨乳の女達と話しているだけでやらしい目で見てるでしょ?ってか。随分と勝手だな?」
響斗くんは呆れた表情で言う。
「ひ、響斗くん……」
お、怒ってる!?
「がっかりだ」
「ご、ごめん……なさい」
そうだよね。私、いちいち面倒くさい女の子だ。
響斗くんに言いたい放題……。
このままじゃ嫌われちゃう……?
「バーカ。雫が俺を信じないからちょっと意地悪しただけだよ。そんな泣くな」
「えっ……」
「俺は雫じゃなきゃ駄目だし、雫がいなければきっとずっとずっと苦しんでいたよ。両親は殺されたし。君に出会うまでの俺は誰も信じられなくて、誰も本気で愛せなかった」
「響斗くん……」
「俺に幸せをくれた、誰かを愛するという感情をくれた君を一生大事にする、守るって。110年前、君が俺をあの監獄から助けてくれた日からずっとずっと決めているんだ」
響斗くんは私の髪を優しく撫でる。
「私、本当….…ばかだね。響斗くんを振り回してばかり……ちゃんと分かっていたはずなのに」
「良いんだ。雫を不安にさせるくらい男として魅力的だからな、俺は」
「ちょ、調子に乗らないでください」
「言っとくけど、怒ってるのは俺もだからな? 初めて雫に会った時、雫は朝倉朝倉だったし」
「わ、忘れてぇ!」
こんな私でも好きだと言ってくれる彼をちゃんとちゃんと大事にしなきゃ。
不安になるなんて最低だ。響斗くんは昔からずっとずっとちゃんと私を想っててくれたのに。
「今日、お母さんもお父さんも帰らないから添い寝できるね」
「ゆ、許してくれるのか!? コウモリの姿じゃなくても」
「うん。それに……やっぱり早く大人にならないとね、私も」
「そ、それって……」
「我慢は体に毒、でしょ?」
私の言葉に響斗くんはいつになく嬉しそうな顔をした。
変態モンスターめ……。
だけど、そんな彼を今日もより一層愛おしく感じる。
もう一度、始めから私は彼と恋を始める……。
110年振りの恋を……。
【END】
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