93 / 120
ライゼン通りの錬金術師さん6 ~黒の集団の陰謀~
三章 水面下で動く計画
しおりを挟む
ソフィアとイクトが王宮までくると門前に立つレイヴィンへと話をした。
「成る程ね。黒の集団の主謀者が別にいて、そしてまだこの国で何かしら企んでいるってことか」
考え深げに顎に手を宛がい呟く隊長へと二人は視線を送る。
「どう思う? やっぱりこのまま放置するわけにはいかないわよね」
「だからと言ってソフィーが調べたりなんかしたら危険な目に合うかもしれない。君を巻き込むわけにはいかない。兎に角このことを至急レオ様に報告だな」
ソフィアの言葉にレイヴィンが言うと三人は国王であるレオの下へと向かって行った。
「ふむ。黒の集団の件はうやむやに終わってしまうかと思っていたが、まだこの国で潜伏しているというのであれば調べれば捕らえることが出来るかもしれないな」
「それで、ソフィアはこの前も狙われたから暫くの間は護衛をつけた方がいいと思うんだ」
話を聞いた国王が深刻な顔をして顎をさする様子にイクトが提案する。
「それは勿論だ。工房の周りをうろついている可能性もある。レイヴィン彼女の工房の周辺のパトロールの強化を」
「勿論、俺達がしっかりパトロールして見て回るのでソフィーにもポルトにも手を出させやしませんよ」
レオの言葉にレイヴィンがにこりと笑い言い切った。
「このことをハンスにも話すべきではないかな。彼なら信頼できるし」
「ハンスさんに?」
次に口を開いたイクトの言葉にソフィアは不思議そうに目を瞬く。
「うん。俺もレオ様も隊長もずっと君の側についていてあげられたらいいんだけれど、立場上や仕事上そう言う訳にもいかないだろう。その点、ハンスなら君の工房と取引している。彼が頻繁に工房に出入りしていたとしても怪しむ人はいないと思うんだ」
「そう言われてみれば……確かにそうね」
彼の説明を聞いたソフィアは納得すると頷いた。
「レイヴィン、それからイクトとソフィー。私達はこれから黒の集団の動きを探り調べていく。だが決してこれは誰かに知られてはならない。それが例え家族や親しい友人であったとしてもだ」
「如何して? 皆に話せば協力してくれると思うのだけれど」
国王の言葉に彼女は不服気な顔をして尋ねる。
「警戒心を持つことは大切なことなんだよ。私やレイヴィンそれにイクトであったとしてもだ」
「それは、どういう意味かしら?」
レオの話の意味が分からなくてソフィアはさらに不思議そうな顔をした。
「レオ様は俺達の中に黒の集団と繫がっている人物がいるかもしれないから警戒しろと……いや、黒の集団の内通者が紛れているかもしれないから気をつけろと言いたいんじゃないかな」
「え、私達の中に黒の集団の内通者が?」
イクトがレオの話を解りやすく言葉にして伝えるとソフィアは驚いて目を丸める。
「相手は顔を隠している。それは素顔がバレたらまずいからだろう。だから普段から会う人物一人一人に警戒心を持って接しろって事なんだよ。誰が黒の集団と繫がっているのか分からないからな」
「でも、友人を疑いたくなんてないわ」
レイヴィンの言葉に彼女は顔を暗くして瞳を伏せて呟く。
「ソフィーの気持ちもよく分かるがね。ここで話した事を誰かに伝えたことが原因で黒の集団を取り逃がしてしまったら元も子もなくなる。分かってもらえるな」
「……分かったわ」
レオの鋭くも優しい口調に諭され小さく頷く。
「ではこれより黒の集団を捕らえるために我々だけで計画を進めていく。ソフィーそれからイクトそしてレイヴィン。君達にはその計画について如何なる場合であったとしても口外することを禁ずる。これはあまり使いたくないが王命として受け取ってくれ」
「「はい」」
「御意」
国王の顔つきになったレオが話すと三人はそれぞれ神妙な面持ちで答えた。
こうして黒の集団を捕らえるための計画が水面下で進められていくこととなる。
一歩その頃朝日ヶ丘テラスでは黒いローブ姿の人物が二人。物陰に隠れて何やら話していた。
「……マスター。お呼びでしょうか」
「キングが無事にこの国に入国できたそうです。クラウンのおかげで計画が狂わされてしまいましたが何とか遂行できそうですよ」
ウィッチが男に声をかけると彼がそう言って微笑む。
「……」
「おや、あんまり嬉しそうではありませんね」
「貴方は、本当にこの国で計画を進めていくおつもりですか?」
不服気な顔の彼女へとマスターが尋ねる。それにウィッチが答える代わりに問いかけた。
「貴女も望んでいたはずではありませんか。何を今さら躊躇う必要がありますか」
「貴方も魔法生命体を生み出すための実験の試験体として利用されたにもかからず本気で魔法生命体を生み出す装置をキングにやるというのですか」
彼の言葉に彼女が声を荒げて尋ねる。
「魔法生命体だけの国を作る。それが貴女と私の夢ではありませんか。夢の実現のためには金が要る。その為ならばこのくらいなんてこともありません」
「ですが、この国には彼女がいるのですよ。彼女がいるこの国で計画を進めていくおつもりですか」
マスターの言葉にウィッチが言うと微笑みを消して真顔になった彼が口を開いた。
「ウィッチ。計画が無事に終われば私達はこの国から立ち去る。それまで辛抱するだけですよ。分かりましたか」
「……」
静かな口調で告げられた言葉に彼女は無言になる。
「ウィッチ返事は?」
「……イエス。マスター」
テラスでのやり取りはそこで終わり二人は暗闇に紛れるように姿を消していった。
「成る程ね。黒の集団の主謀者が別にいて、そしてまだこの国で何かしら企んでいるってことか」
考え深げに顎に手を宛がい呟く隊長へと二人は視線を送る。
「どう思う? やっぱりこのまま放置するわけにはいかないわよね」
「だからと言ってソフィーが調べたりなんかしたら危険な目に合うかもしれない。君を巻き込むわけにはいかない。兎に角このことを至急レオ様に報告だな」
ソフィアの言葉にレイヴィンが言うと三人は国王であるレオの下へと向かって行った。
「ふむ。黒の集団の件はうやむやに終わってしまうかと思っていたが、まだこの国で潜伏しているというのであれば調べれば捕らえることが出来るかもしれないな」
「それで、ソフィアはこの前も狙われたから暫くの間は護衛をつけた方がいいと思うんだ」
話を聞いた国王が深刻な顔をして顎をさする様子にイクトが提案する。
「それは勿論だ。工房の周りをうろついている可能性もある。レイヴィン彼女の工房の周辺のパトロールの強化を」
「勿論、俺達がしっかりパトロールして見て回るのでソフィーにもポルトにも手を出させやしませんよ」
レオの言葉にレイヴィンがにこりと笑い言い切った。
「このことをハンスにも話すべきではないかな。彼なら信頼できるし」
「ハンスさんに?」
次に口を開いたイクトの言葉にソフィアは不思議そうに目を瞬く。
「うん。俺もレオ様も隊長もずっと君の側についていてあげられたらいいんだけれど、立場上や仕事上そう言う訳にもいかないだろう。その点、ハンスなら君の工房と取引している。彼が頻繁に工房に出入りしていたとしても怪しむ人はいないと思うんだ」
「そう言われてみれば……確かにそうね」
彼の説明を聞いたソフィアは納得すると頷いた。
「レイヴィン、それからイクトとソフィー。私達はこれから黒の集団の動きを探り調べていく。だが決してこれは誰かに知られてはならない。それが例え家族や親しい友人であったとしてもだ」
「如何して? 皆に話せば協力してくれると思うのだけれど」
国王の言葉に彼女は不服気な顔をして尋ねる。
「警戒心を持つことは大切なことなんだよ。私やレイヴィンそれにイクトであったとしてもだ」
「それは、どういう意味かしら?」
レオの話の意味が分からなくてソフィアはさらに不思議そうな顔をした。
「レオ様は俺達の中に黒の集団と繫がっている人物がいるかもしれないから警戒しろと……いや、黒の集団の内通者が紛れているかもしれないから気をつけろと言いたいんじゃないかな」
「え、私達の中に黒の集団の内通者が?」
イクトがレオの話を解りやすく言葉にして伝えるとソフィアは驚いて目を丸める。
「相手は顔を隠している。それは素顔がバレたらまずいからだろう。だから普段から会う人物一人一人に警戒心を持って接しろって事なんだよ。誰が黒の集団と繫がっているのか分からないからな」
「でも、友人を疑いたくなんてないわ」
レイヴィンの言葉に彼女は顔を暗くして瞳を伏せて呟く。
「ソフィーの気持ちもよく分かるがね。ここで話した事を誰かに伝えたことが原因で黒の集団を取り逃がしてしまったら元も子もなくなる。分かってもらえるな」
「……分かったわ」
レオの鋭くも優しい口調に諭され小さく頷く。
「ではこれより黒の集団を捕らえるために我々だけで計画を進めていく。ソフィーそれからイクトそしてレイヴィン。君達にはその計画について如何なる場合であったとしても口外することを禁ずる。これはあまり使いたくないが王命として受け取ってくれ」
「「はい」」
「御意」
国王の顔つきになったレオが話すと三人はそれぞれ神妙な面持ちで答えた。
こうして黒の集団を捕らえるための計画が水面下で進められていくこととなる。
一歩その頃朝日ヶ丘テラスでは黒いローブ姿の人物が二人。物陰に隠れて何やら話していた。
「……マスター。お呼びでしょうか」
「キングが無事にこの国に入国できたそうです。クラウンのおかげで計画が狂わされてしまいましたが何とか遂行できそうですよ」
ウィッチが男に声をかけると彼がそう言って微笑む。
「……」
「おや、あんまり嬉しそうではありませんね」
「貴方は、本当にこの国で計画を進めていくおつもりですか?」
不服気な顔の彼女へとマスターが尋ねる。それにウィッチが答える代わりに問いかけた。
「貴女も望んでいたはずではありませんか。何を今さら躊躇う必要がありますか」
「貴方も魔法生命体を生み出すための実験の試験体として利用されたにもかからず本気で魔法生命体を生み出す装置をキングにやるというのですか」
彼の言葉に彼女が声を荒げて尋ねる。
「魔法生命体だけの国を作る。それが貴女と私の夢ではありませんか。夢の実現のためには金が要る。その為ならばこのくらいなんてこともありません」
「ですが、この国には彼女がいるのですよ。彼女がいるこの国で計画を進めていくおつもりですか」
マスターの言葉にウィッチが言うと微笑みを消して真顔になった彼が口を開いた。
「ウィッチ。計画が無事に終われば私達はこの国から立ち去る。それまで辛抱するだけですよ。分かりましたか」
「……」
静かな口調で告げられた言葉に彼女は無言になる。
「ウィッチ返事は?」
「……イエス。マスター」
テラスでのやり取りはそこで終わり二人は暗闇に紛れるように姿を消していった。
0
あなたにおすすめの小説
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません
ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。
文化が違う? 慣れてます。
命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。
NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。
いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。
スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。
今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。
「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」
ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。
そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる