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第四章 問題児との出会い
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悪人面の猛練習をした翌日。渡り廊下の前でメラルーシィが教室移動でやって来るのを待ち構える。
勿論今回はエルシアも一緒だ。彼女は獲物がやってくるその時を今か今かと待ち構えその姿を捕らえるとすれ違いざまにわざと肩をぶつけ彼女を転倒させた。
「きゃ」
「あ~ら。ごめんあそばせ。ちょっとよそ見をしていたものですので」
転倒してしりもちをついたメラルーシィが短く悲鳴をあげると共に彼女の手から放たれた教科書が床に散乱する。
その様子を満悦気味に見やりながら嫌な笑みを浮かべエルシアが言い放った。
「あ、お姉様……」
「……」
顔をあげた彼女が悪役令嬢の事など視界に入っていないかのようにリリアーナを見つけ嬉しそうに微笑む。
「ちょっと、この私を無視するなんて、なんて図々しい性格をしていますの?」
「そうですわよ。貴女このお方を誰だと思っているの? 王国一の貴族であるブーケルニア家のご長女であり、この学園内ナンバースリーの実力者。エルシア様にぶつかっておきながら謝りもしないなんて」
リリアーナだけを見詰める彼女の様子に不機嫌になった顔を隠すことなくエルシアが睨み付けると言い放つ。それにモブ令嬢が続けるように口を開いた。
「え?」
「……エル様のお父上様は国王陛下の王兄殿下に嫁がれた方の弟君で、この王国で二番目に権力を持っていらしゃるお方なの」
驚くメラルーシィへとリリアーナも落ち着いた口調で説明する。
「そんな私にぶつかっておきながら謝りもしないなんて、無礼にもほどがありますわね」
「やっぱり貴族じゃない女なんかがこの学園にいること自体間違いなのですわ」
「そうですわよ。この学園にいる他の生徒達は皆エルシア様に対してこんな無礼な態度をとったりしませんもの」
悪役令嬢の言葉にモブ令嬢達も次々と言葉を放ちメラルーシィを責め立てた。
「メルさん……貴女は貴族を分かっておりませんわ。これ以上何かしでかす前にこの学園から出ていった方がいいと思いますわよ」
「お姉様……」
(よし。今度こそ悪人面成功しているはず!)
一生懸命練習して作り上げた「悪人面」でヒロインを見やるとそう言い放つ。リリアーナの言葉にメラルーシィが何事か考え深げに黙り込み俯く。
その様子に今度こそ成功したと内心でガッツポーズを作り喜ぶ。
「私に無礼を働いたのですから、いくら許しを乞うたところで許して差し上げる気はありませんことよ。貴女がいると目障りなんですの。これ以上恥ずかしい思いをする前に荷物をまとめてこの学園から出ていく事ですわね」
(この後無理難題を押し付けられそれが出来たら許してやると言うエル様の言葉に如何しようって思っているところにリックが突っ込んでくるのよね)
シナリオ通りの展開ににやける顔を必死に隠しながら内心で早くリックが突っ込んでこないかなと廊下の後方へと視線を向ける。
「っ! ……分かりましたわ。貴女が私にしたようにお姉様にもいろいろと嫌な事をしてきたんですわね。お姉様を貴女の側に置いておくことなんかできません! お姉様、こんな人の言いなりになる必要なんてありません。私と一緒に来てくださいますよね」
「えっ?」
今まで何事か考えこんでいたメラルーシィが鋭い瞳でエルシアを睨み付けるとそう言ってリリアーナへと手を差し伸べる。
またもや展開が変わってしまった事に驚く前に自分の前に差し出された手と言葉に驚愕して硬直した。
「あ、貴女。何を言ってますの! リリアは私の幼馴染ですわ。貴女みたいな貴族でも何でもない武骨な騎士の家系の娘なんかにリリアをやるとでも思っていまして。リリアは私の所にずっといる方のが幸せなのですわ」
「はい?!」
するとムッとした表情でヒロインを睨み返しエルシアが言い放つ。
「貴女にお姉様は渡せません!」
「貴女みたいな女にリリアを奪われてなるものですか」
「え、え? あ、あの~ふ、二人とも……」
火花を散らし睨み合い言い争う二人へとリリアーナは混乱した頭のまま声をかけ状況を説明してもらおうとする。
「お姉様は黙ってて」
「リリアは黙ってらして」
「……!?」
二人の勢いに負け困惑と混乱の中暫くその場で硬直し目を瞬く。
(何、一体今何が起こっているというの?)
「なになに、喧嘩勃発? 女同士の譲れない戦いって奴? いいねいいね。僕も混ぜてよ」
(展開が違うけどリックが来たー! お願いリックこの変な状況を何とかして!!)
混乱している彼女の耳に男子生徒の明るい声が聞こえてきてそちらへと視線を向けると待ち望んでいた少年の姿がありリリアーナは内心で助けを求めた。
「な、なんですの。貴方は……」
「あれれ、お嬢さん僕の事知らないの? 僕もまだまだ有名じゃないってことか……僕はリック・フリード。よろしくね」
水を差された気持ちでエルシアが目を瞬き尋ねると少年が名乗りに無邪気な笑顔で笑う。
「リック・フリード……さん?」
「リック・フリードってあの学園一の問題児って言われている……」
息まいていたメラルーシィも呆けた顔でリックと名乗った少年を見詰める。
その名前を聞いたモブ令嬢が思い出したといった様子で呟いた。
「問題児だなんて心外だな。そこは風雲児」
「私も思い出しましたわ。この学園に訪れた史上最悪の悪魔」
「違う違う。そこは史上最強のヒーロー」
モブ令嬢の言葉に指を振って答える彼の姿を見ながらエルシアも思い出したと言って話す。
するとそれに今度は首を振って誇らしげに笑うと恥ずかしがることもなくヒーローだと言い切る。
「って。事でお嬢さん達。何を揉めていたんだい?」
「そうでした。お姉様を貴女には渡せないんでした」
「それはこっちの台詞ですわ。貴女みたいな下品な女にリリアを奪われてなるものですか」
リックの言葉に今までの出来事を思い出した二人が再び睨み合いを始める。
「いいねいいね。女同士の譲れない戦い。友情を巡っての熱い戦いってわけね。で、その話題に出ているリリアってお嬢さんはどの子?」
(リック。なぜそこで私に注目が集まるようなことを言うの!)
リックの言葉に二人の視線がリリアーナへとむけられた。その様子に彼女は内心で悲鳴をあげる。
「ふーん。どんな子かと思ったら、なるほど、ね。……よし、それじゃあリリア、僕とも友達になって。ってことでよろしく」
「は、え。どうしていきなりそうなるんですの!?」
彼女へと視線を向けた彼が納得した様子でにこりと微笑み呟くとそう言い切り無邪気に笑う。
その言葉にリリアーナは驚いて素っ頓狂な声をあげた。
「だって、学園一の貴族の令嬢エルシアと新星の少女メラルーシィが取り合うくらいすんごくいい人なんでしょ? そんな子となら仲良くやって行けれそうだし、それに僕この学園を卒業するまでに学園中の女子生徒と友達になるって計画だから。だからリリアもここにいる皆ももう僕の友達ね」
「はい!?」
不思議そうな顔で「なんでって言われてもな」と言いたげに話すリックへと彼女は開いた口が塞がらないくらいの衝撃を受ける。
「ちょっとお待ちなさい。貴方と友達なんて冗談じゃなくてよ!」
「私まだこの学園に来て友達も少ないのでお知り合いになれて嬉しいです。ですが、お姉様の一番の友達はこの私ですからね」
その言葉に明らかに嫌そうにエルシアが言い放つ。そこにメラルーシィも声を発した。
「貴女も何を言ってらして? 一番の友達は幼馴染であるこの私ですわ」
「なら、僕もリリアの一番の友達になる。これでみんな一番だからいいんじゃない」
(もう、かんべんして~)
ああだこうだとリリアーナを挟んで口論し合う三人の様子に彼女は泣き出したい思いで内心で叫ぶ。
そんな彼女達の様子を遠くから見詰める二つの影が。
「……なるほど。たしかにこれは由々しき問題のようだね」
「……」
水色の髪の優男が呟いた言葉に長い黒髪を一本に束ねた青年が無言で頷く。
どうやらリリアーナの周りでまた新たな展開が始まりを迎える事となりそうだ。
勿論今回はエルシアも一緒だ。彼女は獲物がやってくるその時を今か今かと待ち構えその姿を捕らえるとすれ違いざまにわざと肩をぶつけ彼女を転倒させた。
「きゃ」
「あ~ら。ごめんあそばせ。ちょっとよそ見をしていたものですので」
転倒してしりもちをついたメラルーシィが短く悲鳴をあげると共に彼女の手から放たれた教科書が床に散乱する。
その様子を満悦気味に見やりながら嫌な笑みを浮かべエルシアが言い放った。
「あ、お姉様……」
「……」
顔をあげた彼女が悪役令嬢の事など視界に入っていないかのようにリリアーナを見つけ嬉しそうに微笑む。
「ちょっと、この私を無視するなんて、なんて図々しい性格をしていますの?」
「そうですわよ。貴女このお方を誰だと思っているの? 王国一の貴族であるブーケルニア家のご長女であり、この学園内ナンバースリーの実力者。エルシア様にぶつかっておきながら謝りもしないなんて」
リリアーナだけを見詰める彼女の様子に不機嫌になった顔を隠すことなくエルシアが睨み付けると言い放つ。それにモブ令嬢が続けるように口を開いた。
「え?」
「……エル様のお父上様は国王陛下の王兄殿下に嫁がれた方の弟君で、この王国で二番目に権力を持っていらしゃるお方なの」
驚くメラルーシィへとリリアーナも落ち着いた口調で説明する。
「そんな私にぶつかっておきながら謝りもしないなんて、無礼にもほどがありますわね」
「やっぱり貴族じゃない女なんかがこの学園にいること自体間違いなのですわ」
「そうですわよ。この学園にいる他の生徒達は皆エルシア様に対してこんな無礼な態度をとったりしませんもの」
悪役令嬢の言葉にモブ令嬢達も次々と言葉を放ちメラルーシィを責め立てた。
「メルさん……貴女は貴族を分かっておりませんわ。これ以上何かしでかす前にこの学園から出ていった方がいいと思いますわよ」
「お姉様……」
(よし。今度こそ悪人面成功しているはず!)
一生懸命練習して作り上げた「悪人面」でヒロインを見やるとそう言い放つ。リリアーナの言葉にメラルーシィが何事か考え深げに黙り込み俯く。
その様子に今度こそ成功したと内心でガッツポーズを作り喜ぶ。
「私に無礼を働いたのですから、いくら許しを乞うたところで許して差し上げる気はありませんことよ。貴女がいると目障りなんですの。これ以上恥ずかしい思いをする前に荷物をまとめてこの学園から出ていく事ですわね」
(この後無理難題を押し付けられそれが出来たら許してやると言うエル様の言葉に如何しようって思っているところにリックが突っ込んでくるのよね)
シナリオ通りの展開ににやける顔を必死に隠しながら内心で早くリックが突っ込んでこないかなと廊下の後方へと視線を向ける。
「っ! ……分かりましたわ。貴女が私にしたようにお姉様にもいろいろと嫌な事をしてきたんですわね。お姉様を貴女の側に置いておくことなんかできません! お姉様、こんな人の言いなりになる必要なんてありません。私と一緒に来てくださいますよね」
「えっ?」
今まで何事か考えこんでいたメラルーシィが鋭い瞳でエルシアを睨み付けるとそう言ってリリアーナへと手を差し伸べる。
またもや展開が変わってしまった事に驚く前に自分の前に差し出された手と言葉に驚愕して硬直した。
「あ、貴女。何を言ってますの! リリアは私の幼馴染ですわ。貴女みたいな貴族でも何でもない武骨な騎士の家系の娘なんかにリリアをやるとでも思っていまして。リリアは私の所にずっといる方のが幸せなのですわ」
「はい?!」
するとムッとした表情でヒロインを睨み返しエルシアが言い放つ。
「貴女にお姉様は渡せません!」
「貴女みたいな女にリリアを奪われてなるものですか」
「え、え? あ、あの~ふ、二人とも……」
火花を散らし睨み合い言い争う二人へとリリアーナは混乱した頭のまま声をかけ状況を説明してもらおうとする。
「お姉様は黙ってて」
「リリアは黙ってらして」
「……!?」
二人の勢いに負け困惑と混乱の中暫くその場で硬直し目を瞬く。
(何、一体今何が起こっているというの?)
「なになに、喧嘩勃発? 女同士の譲れない戦いって奴? いいねいいね。僕も混ぜてよ」
(展開が違うけどリックが来たー! お願いリックこの変な状況を何とかして!!)
混乱している彼女の耳に男子生徒の明るい声が聞こえてきてそちらへと視線を向けると待ち望んでいた少年の姿がありリリアーナは内心で助けを求めた。
「な、なんですの。貴方は……」
「あれれ、お嬢さん僕の事知らないの? 僕もまだまだ有名じゃないってことか……僕はリック・フリード。よろしくね」
水を差された気持ちでエルシアが目を瞬き尋ねると少年が名乗りに無邪気な笑顔で笑う。
「リック・フリード……さん?」
「リック・フリードってあの学園一の問題児って言われている……」
息まいていたメラルーシィも呆けた顔でリックと名乗った少年を見詰める。
その名前を聞いたモブ令嬢が思い出したといった様子で呟いた。
「問題児だなんて心外だな。そこは風雲児」
「私も思い出しましたわ。この学園に訪れた史上最悪の悪魔」
「違う違う。そこは史上最強のヒーロー」
モブ令嬢の言葉に指を振って答える彼の姿を見ながらエルシアも思い出したと言って話す。
するとそれに今度は首を振って誇らしげに笑うと恥ずかしがることもなくヒーローだと言い切る。
「って。事でお嬢さん達。何を揉めていたんだい?」
「そうでした。お姉様を貴女には渡せないんでした」
「それはこっちの台詞ですわ。貴女みたいな下品な女にリリアを奪われてなるものですか」
リックの言葉に今までの出来事を思い出した二人が再び睨み合いを始める。
「いいねいいね。女同士の譲れない戦い。友情を巡っての熱い戦いってわけね。で、その話題に出ているリリアってお嬢さんはどの子?」
(リック。なぜそこで私に注目が集まるようなことを言うの!)
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「ふーん。どんな子かと思ったら、なるほど、ね。……よし、それじゃあリリア、僕とも友達になって。ってことでよろしく」
「は、え。どうしていきなりそうなるんですの!?」
彼女へと視線を向けた彼が納得した様子でにこりと微笑み呟くとそう言い切り無邪気に笑う。
その言葉にリリアーナは驚いて素っ頓狂な声をあげた。
「だって、学園一の貴族の令嬢エルシアと新星の少女メラルーシィが取り合うくらいすんごくいい人なんでしょ? そんな子となら仲良くやって行けれそうだし、それに僕この学園を卒業するまでに学園中の女子生徒と友達になるって計画だから。だからリリアもここにいる皆ももう僕の友達ね」
「はい!?」
不思議そうな顔で「なんでって言われてもな」と言いたげに話すリックへと彼女は開いた口が塞がらないくらいの衝撃を受ける。
「ちょっとお待ちなさい。貴方と友達なんて冗談じゃなくてよ!」
「私まだこの学園に来て友達も少ないのでお知り合いになれて嬉しいです。ですが、お姉様の一番の友達はこの私ですからね」
その言葉に明らかに嫌そうにエルシアが言い放つ。そこにメラルーシィも声を発した。
「貴女も何を言ってらして? 一番の友達は幼馴染であるこの私ですわ」
「なら、僕もリリアの一番の友達になる。これでみんな一番だからいいんじゃない」
(もう、かんべんして~)
ああだこうだとリリアーナを挟んで口論し合う三人の様子に彼女は泣き出したい思いで内心で叫ぶ。
そんな彼女達の様子を遠くから見詰める二つの影が。
「……なるほど。たしかにこれは由々しき問題のようだね」
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