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ライゼン通りの雑貨屋さん3 ~雑貨屋の娘と訳ありのお客達~
二章 雨の日の女の子とマグカップ
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長雨が続くある日の事。お店の扉が開かれる音が聞こえベティーは笑顔で近寄る。
「いらっしゃいませ! って、えぇっ!?」
扉の周りはまるで雨漏りでもした後の様にずぶ濡れになっており驚く。
「あ、あのぅ~……」
「ん?」
驚いて固まっているところに女の子の声が聞こえてきて、下へと視線を向ける。
見やるとそこにはこれまたずぶ濡れの女の子が涙目で割れたコップを持って立っていた。
「って、貴女ずぶ濡れじゃないのよ! ちょっと待ってて」
「あ、そのぅ。大丈夫だよ。それよりも、う……うっ……うわぁ~ん!!」
タオルを取りに動こうとしたが女の子が大声で泣き出してしまい焦る。
「え、ちょ、ちょっと。どうしたのよ。大丈夫?」
「ひっく……ぐすっ。お母さんの……お母さんの大切なカップをね……うっ、落として割っちゃったの。お母さんに怒られちゃう……うわぁぁん!!」
慌てて屈みこみ視線を合わせると、女の子が泣きながら説明した後またまた大声で泣き始めた。
「ベティーや、如何したんだい?」
「なんでも、この子のお母さんのカップを割ってしまったって泣き喚いていてね」
流石にうたた寝をしていたジュディーも大きな泣き声に目を覚まし尋ねる。
それにベティーは困った顔で女の子を見詰め話す。
「おやおや、珍しいお客様もいらっしゃることだねぇ。大丈夫。ここには沢山カップが置いてあるから、お母さんに新しいカップを買って帰ってあげたらいいんじゃないかね」
「うん」
祖母が優しくあやすと女の子は涙を引っ込めながら頷く。
ようやく落ち着きを取り戻した女の子と一緒に店の中を見て回る。
「どう? どれかお母さんが好きそうなカップはあるかしら」
「えっとね……う~んっと」
ベティーの問いかけに棚の上に置いてあるカップを見ようとするも、背が低い為つま先で立っても視線が届かず、頑張ってジャンプまでしてみる女の子であったがそれでも意味をなさなかった。
「ちょっと待ってて、色々と持ってきてあげるから」
その様子にベティーは気付いて急いで店の中に置いてあるカップというカップを持ってくる。
「今度はどう? 何かありそうかしら」
「うんとね……あ。これ可愛い」
床にシートをひいてその上にコップを並べてあげると、女の子は一つのマグカップを手に取り笑顔になった。
「これ、これが良いと思う。これください。大丈夫。ちゃんとお金も持ってきてるよ」
「まぁ、随分としっかりしているのね。あの慌てぶりからは考えられないけれど。っと、ごめん、ごめん。悪い意味じゃないのよ」
「大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから」
リスの絵が描かれたマグカップを手に取り微笑む女の子の言葉に、彼女は思ったことをつい口に出してしまい慌てて謝る。それに小さく微笑み少女は答えた。
「まいど有難う御座います。ねぇ。それで、お嬢ちゃんもしかしてクララちゃんの娘さんかしら?」
「うん。お母さんの名前はクララだよ。わたしの名前はウィルフィール・ラウラ。ウィルって呼ばれてます」
「そう。やっぱりクララちゃんの娘さん。ふふっ。長生きはするものだねぇ~」
祖母とウィルフィールと名乗った女の子だけで盛り上がっている様子に、ベティーは不思議そうに目を瞬き口を開く。
「ちょっと、何二人だけで納得してるのよ。おばあちゃん私にもわかるように説明して」
「あぁ、ごめんねぇ。私がまだ若い時にね、この子のお母さんがお店を訪ねて来た事があったんだよ。面影があったからもしかしたらと思って聞いてみたのさ」
唇を尖らせ不機嫌そうに言うと、ジュディーが説明する。
「成る程ね、ウィルちゃん。私はベティーよ。よろしく」
「うん、また来ることもあると思います。その時はよろしくお願いします」
その言葉に納得するとにこりと笑いウィルフィールへと名乗る。それに女の子も笑顔で答えた。
「でも、何でずぶ濡れだったのかしら?」
「ふふっ。その不思議の正体は貴女もいつか分かると思うわよ」
ウィルフィールはマグカップを大切そうに抱えて帰って行く。その後ろ姿を見送りながら疑問符を浮かべる彼女へと祖母が微笑み答える。
こうしてちょっと不思議な雨の日のお客様との出会いはベティーにとって見たことのない世界を知るきっかけとなるのであった。
「いらっしゃいませ! って、えぇっ!?」
扉の周りはまるで雨漏りでもした後の様にずぶ濡れになっており驚く。
「あ、あのぅ~……」
「ん?」
驚いて固まっているところに女の子の声が聞こえてきて、下へと視線を向ける。
見やるとそこにはこれまたずぶ濡れの女の子が涙目で割れたコップを持って立っていた。
「って、貴女ずぶ濡れじゃないのよ! ちょっと待ってて」
「あ、そのぅ。大丈夫だよ。それよりも、う……うっ……うわぁ~ん!!」
タオルを取りに動こうとしたが女の子が大声で泣き出してしまい焦る。
「え、ちょ、ちょっと。どうしたのよ。大丈夫?」
「ひっく……ぐすっ。お母さんの……お母さんの大切なカップをね……うっ、落として割っちゃったの。お母さんに怒られちゃう……うわぁぁん!!」
慌てて屈みこみ視線を合わせると、女の子が泣きながら説明した後またまた大声で泣き始めた。
「ベティーや、如何したんだい?」
「なんでも、この子のお母さんのカップを割ってしまったって泣き喚いていてね」
流石にうたた寝をしていたジュディーも大きな泣き声に目を覚まし尋ねる。
それにベティーは困った顔で女の子を見詰め話す。
「おやおや、珍しいお客様もいらっしゃることだねぇ。大丈夫。ここには沢山カップが置いてあるから、お母さんに新しいカップを買って帰ってあげたらいいんじゃないかね」
「うん」
祖母が優しくあやすと女の子は涙を引っ込めながら頷く。
ようやく落ち着きを取り戻した女の子と一緒に店の中を見て回る。
「どう? どれかお母さんが好きそうなカップはあるかしら」
「えっとね……う~んっと」
ベティーの問いかけに棚の上に置いてあるカップを見ようとするも、背が低い為つま先で立っても視線が届かず、頑張ってジャンプまでしてみる女の子であったがそれでも意味をなさなかった。
「ちょっと待ってて、色々と持ってきてあげるから」
その様子にベティーは気付いて急いで店の中に置いてあるカップというカップを持ってくる。
「今度はどう? 何かありそうかしら」
「うんとね……あ。これ可愛い」
床にシートをひいてその上にコップを並べてあげると、女の子は一つのマグカップを手に取り笑顔になった。
「これ、これが良いと思う。これください。大丈夫。ちゃんとお金も持ってきてるよ」
「まぁ、随分としっかりしているのね。あの慌てぶりからは考えられないけれど。っと、ごめん、ごめん。悪い意味じゃないのよ」
「大丈夫だよ。ちゃんとわかってるから」
リスの絵が描かれたマグカップを手に取り微笑む女の子の言葉に、彼女は思ったことをつい口に出してしまい慌てて謝る。それに小さく微笑み少女は答えた。
「まいど有難う御座います。ねぇ。それで、お嬢ちゃんもしかしてクララちゃんの娘さんかしら?」
「うん。お母さんの名前はクララだよ。わたしの名前はウィルフィール・ラウラ。ウィルって呼ばれてます」
「そう。やっぱりクララちゃんの娘さん。ふふっ。長生きはするものだねぇ~」
祖母とウィルフィールと名乗った女の子だけで盛り上がっている様子に、ベティーは不思議そうに目を瞬き口を開く。
「ちょっと、何二人だけで納得してるのよ。おばあちゃん私にもわかるように説明して」
「あぁ、ごめんねぇ。私がまだ若い時にね、この子のお母さんがお店を訪ねて来た事があったんだよ。面影があったからもしかしたらと思って聞いてみたのさ」
唇を尖らせ不機嫌そうに言うと、ジュディーが説明する。
「成る程ね、ウィルちゃん。私はベティーよ。よろしく」
「うん、また来ることもあると思います。その時はよろしくお願いします」
その言葉に納得するとにこりと笑いウィルフィールへと名乗る。それに女の子も笑顔で答えた。
「でも、何でずぶ濡れだったのかしら?」
「ふふっ。その不思議の正体は貴女もいつか分かると思うわよ」
ウィルフィールはマグカップを大切そうに抱えて帰って行く。その後ろ姿を見送りながら疑問符を浮かべる彼女へと祖母が微笑み答える。
こうしてちょっと不思議な雨の日のお客様との出会いはベティーにとって見たことのない世界を知るきっかけとなるのであった。
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