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ライゼン通りの雑貨屋さん4 ~雑貨屋の娘と探検家の青年~
二章 貴族の青年と贈り物
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花祭りも終り日常に戻ったライゼン通りに一人の青年の姿があった。
「さて、ここが王国一の品ぞろえだという噂の雑貨屋か」
独り言を零したその男は優雅な立ち振る舞いで扉を開けて中へと入る。
「いらっしゃいませ」
「ふむ。素朴で可愛らしい雑貨屋だな。だが、想像していたのと違うな……」
ベティーはお客が来店したことを知ると笑顔で出迎える。そこにまるで品定めでもするかのように青年が周囲を見回し呟いた。
「ちょと、想像していたのと違くって悪かったわね」
「ん? あ、いや。すまない、悪い意味ではなかったのだがお嬢さんに嫌な思いをさせてしまいましたね」
唇を尖らせ抗議する彼女へと青年が申し訳なさそうな表情で謝る。
「ま、いいわ。それよりお客様この国の言葉の発音がお上手ですけれど、見た感じ異国の人よね。この国には観光かなんかで?」
「いや、これから素敵な女性に会いに行くのだ。それで何か贈り物でもと思い、彼女の国の物なら喜んでもらえるだろうと考えてこの雑貨屋に立ち寄らせてもらったのだ」
ベティーは軽く流すとそう尋ねた。それに青年が首を振って答える。
「成る程、彼女さんへの贈り物を用意したいって話ね。それならその人の好みとか分かるかしら。そうしたら私が商品を探してきますよ」
「それが、両親が決めた相手でね、写真ではお姿を拝見したことはあるが今日初めてお会いするのだ。だからどんな物が好みなのかもわからなくてな」
彼女の言葉に彼が困った顔で苦笑すると説明した。
「そう、それならどんな感じの人なのか雰囲気とか分からないの?」
「とても美しく凛とした雰囲気の方だと思う。ただ可愛いだけではなく一本筋の通ったお人だとそう考えている」
(可愛くもあり、美しくて凛とした雰囲気の人で、でも一本筋の通った人か……ますますどんなお相手なのか分からなくなってきたわ。こりゃ適当に選ぶのも失礼だと思ったけれど、適当に選ぶしか。うんん、これからお見合いするって人に会うっていうのにそれじゃ駄目よね。この人お貴族様だし、相手の女性もきっとそうだわ。となると貴族の女性が喜ぶものって言ったら……)
青年の言葉に考え込んでいたベティーは動く。
「それでしたらこちらの棚にある香水なんてどうでしょうか」
「香水、か。果たして喜んでもらえるだろうか? あまり匂いの強いものはつけないようにしていると聞いている」
棚に並べられた香水を指し示しながら話すと、彼がそう言って悩む。
「そう、それならアクセサリーとかはどうですか?」
「いや、飾り気のない人だと伺っている」
それならばと、隣の棚を示すもまたも青年が困った顔で答えた。
「難しいわね。それじゃあまるでローズ様みたいだわ」
「ローズ……?」
ベティーの言葉に彼が反応して目を丸める。
「珍しい事もあるものだな。私がお会いする方もロイヤルリッフィというミドルネームの方で愛称はローズと呼ばれていると聞いている」
「あら、そうなの? でも似たような名前の人なんて万といるから、こういう偶然もあるのかもね」
青年の言葉に彼女は特に気にも留めずに、偶然同じような愛称の人がいるのだと思い納得する。
「そうかもしれないな。お嬢さん色々と考えてくれてありがとう。だがこれ以上は君に頼るわけにはいかない。私が自分で選ばないと意味がないのだよ」
「そうよね。それじゃあゆっくり商品を見ていってください」
「あぁ、そうさせてもらおう」
彼が言うと暫く店内を見まわしてじっくりと観察する。
「ふむ。ローズという愛称をお持ちのお方だ、きっと薔薇の花のように気高く美しいお人なのだろう。となればこの薔薇の花のブローチなどいいかもしれない。お嬢さんこれを一つ頂けないだろうか」
「はい。毎度有り難う御座います。で、さっきからずっとお嬢さん、お嬢さんって言われてむず痒いのよね。私はベティーっていうの」
「ベティーさんか。色々とお世話になったな。私はキールという」
青年の言葉にいよいよもって我慢しきれなくなりベティーは名乗った。それに小さく頷いた彼がキールだと自己紹介してくれる。
「キール様ね。お見合い上手くいくと良いわね」
「あぁ、そうなると良いのだが。では、また訪れる事もあると思う」
「えぇ、またのご来店お待ちいたしております」
彼女の言葉にキールが緊張した様子で微笑むとそう話した。それにベティーは笑顔で見送る。
ローズという愛称の女性の正体を知るのはもう少し後になってからであった。
「さて、ここが王国一の品ぞろえだという噂の雑貨屋か」
独り言を零したその男は優雅な立ち振る舞いで扉を開けて中へと入る。
「いらっしゃいませ」
「ふむ。素朴で可愛らしい雑貨屋だな。だが、想像していたのと違うな……」
ベティーはお客が来店したことを知ると笑顔で出迎える。そこにまるで品定めでもするかのように青年が周囲を見回し呟いた。
「ちょと、想像していたのと違くって悪かったわね」
「ん? あ、いや。すまない、悪い意味ではなかったのだがお嬢さんに嫌な思いをさせてしまいましたね」
唇を尖らせ抗議する彼女へと青年が申し訳なさそうな表情で謝る。
「ま、いいわ。それよりお客様この国の言葉の発音がお上手ですけれど、見た感じ異国の人よね。この国には観光かなんかで?」
「いや、これから素敵な女性に会いに行くのだ。それで何か贈り物でもと思い、彼女の国の物なら喜んでもらえるだろうと考えてこの雑貨屋に立ち寄らせてもらったのだ」
ベティーは軽く流すとそう尋ねた。それに青年が首を振って答える。
「成る程、彼女さんへの贈り物を用意したいって話ね。それならその人の好みとか分かるかしら。そうしたら私が商品を探してきますよ」
「それが、両親が決めた相手でね、写真ではお姿を拝見したことはあるが今日初めてお会いするのだ。だからどんな物が好みなのかもわからなくてな」
彼女の言葉に彼が困った顔で苦笑すると説明した。
「そう、それならどんな感じの人なのか雰囲気とか分からないの?」
「とても美しく凛とした雰囲気の方だと思う。ただ可愛いだけではなく一本筋の通ったお人だとそう考えている」
(可愛くもあり、美しくて凛とした雰囲気の人で、でも一本筋の通った人か……ますますどんなお相手なのか分からなくなってきたわ。こりゃ適当に選ぶのも失礼だと思ったけれど、適当に選ぶしか。うんん、これからお見合いするって人に会うっていうのにそれじゃ駄目よね。この人お貴族様だし、相手の女性もきっとそうだわ。となると貴族の女性が喜ぶものって言ったら……)
青年の言葉に考え込んでいたベティーは動く。
「それでしたらこちらの棚にある香水なんてどうでしょうか」
「香水、か。果たして喜んでもらえるだろうか? あまり匂いの強いものはつけないようにしていると聞いている」
棚に並べられた香水を指し示しながら話すと、彼がそう言って悩む。
「そう、それならアクセサリーとかはどうですか?」
「いや、飾り気のない人だと伺っている」
それならばと、隣の棚を示すもまたも青年が困った顔で答えた。
「難しいわね。それじゃあまるでローズ様みたいだわ」
「ローズ……?」
ベティーの言葉に彼が反応して目を丸める。
「珍しい事もあるものだな。私がお会いする方もロイヤルリッフィというミドルネームの方で愛称はローズと呼ばれていると聞いている」
「あら、そうなの? でも似たような名前の人なんて万といるから、こういう偶然もあるのかもね」
青年の言葉に彼女は特に気にも留めずに、偶然同じような愛称の人がいるのだと思い納得する。
「そうかもしれないな。お嬢さん色々と考えてくれてありがとう。だがこれ以上は君に頼るわけにはいかない。私が自分で選ばないと意味がないのだよ」
「そうよね。それじゃあゆっくり商品を見ていってください」
「あぁ、そうさせてもらおう」
彼が言うと暫く店内を見まわしてじっくりと観察する。
「ふむ。ローズという愛称をお持ちのお方だ、きっと薔薇の花のように気高く美しいお人なのだろう。となればこの薔薇の花のブローチなどいいかもしれない。お嬢さんこれを一つ頂けないだろうか」
「はい。毎度有り難う御座います。で、さっきからずっとお嬢さん、お嬢さんって言われてむず痒いのよね。私はベティーっていうの」
「ベティーさんか。色々とお世話になったな。私はキールという」
青年の言葉にいよいよもって我慢しきれなくなりベティーは名乗った。それに小さく頷いた彼がキールだと自己紹介してくれる。
「キール様ね。お見合い上手くいくと良いわね」
「あぁ、そうなると良いのだが。では、また訪れる事もあると思う」
「えぇ、またのご来店お待ちいたしております」
彼女の言葉にキールが緊張した様子で微笑むとそう話した。それにベティーは笑顔で見送る。
ローズという愛称の女性の正体を知るのはもう少し後になってからであった。
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