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ライゼン通りの雑貨屋さん4 ~雑貨屋の娘と探検家の青年~
七章 メイドさんのご来店
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秋に近づきだんだん涼しくなってきたある日のライゼン通り。
「えぇどっ……ここの雑貨屋で間違いないだか?」
メモを片手に雑貨屋の前に立った一人の少女はなまりの激しい口調で呟く。
「キール様のお言いつけだで、早く買い物を済ませねぇど」
彼女はそう言うと雑貨屋の扉を開けて中へと入って行った。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの。わたし、キール様のお言いつけで買い物に来ました。ベッキーと申します」
お客が来た事を知り笑顔で近寄るベティーへと少女がそう言って頭を下げる。
「キール様ってこの前家でバラの花のブローチを買った人の事かしら」
「はい。左様です」
前に来た貴族の青年の事を思い起こしながら尋ねる彼女へと、ベッキーが同意して頷く。
「でも、何で自分で買いに来ないのよ」
「キール様にもご事情がありまして、余り一人で外を出歩かないのでございます」
「ふ~ん。お貴族様って大変なのね。それで、何を買いに来たの?」
ベティーのもっともな質問に彼女が答える。それにそういうものなのかと納得して話を続けた。
「えっと、とりあえず。ここからここまでをお願いします」
「あ~。分かったわ。それじゃあ箱に詰めてあげるからちょっと待ってて」
メモを見ながら棚の先から端まで指し示し話すベッキーの言葉に、貴族って皆こういう買い物するよねと言いたそうな顔で動く。
「でも、こんなに沢山の品どうやって持って帰るの?」
「問題御座いません。外に荷車を持ってきておりますので」
商品を詰めながらベティーは問いかける。それに彼女がそう答えた。
「へ? 荷車ですって? 貴女が押して帰るって事?」
「はい。わたしこう見えても力仕事も得意なので問題御座いません」
驚いて作業の手を止めると少女へと顔を向ける。そんな彼女へとベッキーが即座に頷き大丈夫だと話す。
「いや、レイヴィンさんじゃないんだから無理でしょ」
「レイヴィンさん?」
ベティーの言葉に少女は聞いたことのない人物だと不思議そうに首をかしげる。
「あ、いや。何でもないわ。貴女見た目は華奢なのにそんなに腕力があるの?」
「えぇ、メイドとして幼いころより給仕をしておりましたので、ある程度の力仕事は一人でこなせるまでにはなりました」
彼女の言葉にベッキーが肯定して説明した。
「メイドさん? キール様ってメイドさんを雇うくらい凄いお貴族様だったの」
「キール様はお国では王家に次ぐ地位をお持ちの侯爵家の御子息様です。ですから屋敷には沢山の使用人が使えております」
キールの経済能力に驚くベティーへと少女が答える。
「そ、そんな凄いお人だったのね。……そりゃ、それだけのお金持ちならローズ様と同じ買い物の仕方にも頷けるわ」
「ローズ様が……キール様と同じ買い物の仕方、をなさっているのですか?」
小さく溜息を吐き出し話した彼女の言葉に、ベッキーが驚いて目を丸める。
「えぇ、ローズ様って物凄いお金持ちでしょ。だから棚から棚までの品を買って行って――」
「?」
説明を始めたベティーであったが、少女の言葉の違和感に気付き黙ると、ベッキーが不思議そうに見詰めた。
「貴女、ローズ様の事知っているの?」
「は、はい。存じております。キール様からよくお話をお伺いいたしますので」
ベティーは真剣な顔で尋ねる。まじまじと見詰められたじろぎながら少女が答えた。
「キール様……彼女へ薔薇のブローチの贈り物……ローズ様の縁談……成る程、ようやく合点がいったわ」
「?」
独り言を零すと盛大に溜息を吐き出す彼女へと、ベッキーが不思議そうに首をかしげる。
「ねぇ、キール様のお見合いの相手ってローズ様だったりしない?」
「!? え、ええっと。それは……」
問いかけられたじろぐ少女の様子にベティーは確信する。
「成る程、ローズ様の気まぐれにキール様も貴女も振り回されているって訳ね」
「は、はい?」
彼女の言葉にベッキーが意味を理解できずに目を瞬く。
「ベッキーだったわね。またいつでも買い物に来ていいからね」
「はい、有り難う御座います?」
不思議がる彼女には答えずにベティーはそう話しにこりと笑う。それにベッキーが疑問符を浮かべながら返事をした。
「私も力を貸すから、大丈夫よ」
「は、はい。キール様にお伝えいたしておきます」
ベティーの言葉に少女が意味を理解しかねながらも返事をすると頭を下げる。
ローズとキールの縁談が上手くいくかは分からないが、自分に手伝えることで二人の仲を応援しようと決めたのであった。
「えぇどっ……ここの雑貨屋で間違いないだか?」
メモを片手に雑貨屋の前に立った一人の少女はなまりの激しい口調で呟く。
「キール様のお言いつけだで、早く買い物を済ませねぇど」
彼女はそう言うと雑貨屋の扉を開けて中へと入って行った。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの。わたし、キール様のお言いつけで買い物に来ました。ベッキーと申します」
お客が来た事を知り笑顔で近寄るベティーへと少女がそう言って頭を下げる。
「キール様ってこの前家でバラの花のブローチを買った人の事かしら」
「はい。左様です」
前に来た貴族の青年の事を思い起こしながら尋ねる彼女へと、ベッキーが同意して頷く。
「でも、何で自分で買いに来ないのよ」
「キール様にもご事情がありまして、余り一人で外を出歩かないのでございます」
「ふ~ん。お貴族様って大変なのね。それで、何を買いに来たの?」
ベティーのもっともな質問に彼女が答える。それにそういうものなのかと納得して話を続けた。
「えっと、とりあえず。ここからここまでをお願いします」
「あ~。分かったわ。それじゃあ箱に詰めてあげるからちょっと待ってて」
メモを見ながら棚の先から端まで指し示し話すベッキーの言葉に、貴族って皆こういう買い物するよねと言いたそうな顔で動く。
「でも、こんなに沢山の品どうやって持って帰るの?」
「問題御座いません。外に荷車を持ってきておりますので」
商品を詰めながらベティーは問いかける。それに彼女がそう答えた。
「へ? 荷車ですって? 貴女が押して帰るって事?」
「はい。わたしこう見えても力仕事も得意なので問題御座いません」
驚いて作業の手を止めると少女へと顔を向ける。そんな彼女へとベッキーが即座に頷き大丈夫だと話す。
「いや、レイヴィンさんじゃないんだから無理でしょ」
「レイヴィンさん?」
ベティーの言葉に少女は聞いたことのない人物だと不思議そうに首をかしげる。
「あ、いや。何でもないわ。貴女見た目は華奢なのにそんなに腕力があるの?」
「えぇ、メイドとして幼いころより給仕をしておりましたので、ある程度の力仕事は一人でこなせるまでにはなりました」
彼女の言葉にベッキーが肯定して説明した。
「メイドさん? キール様ってメイドさんを雇うくらい凄いお貴族様だったの」
「キール様はお国では王家に次ぐ地位をお持ちの侯爵家の御子息様です。ですから屋敷には沢山の使用人が使えております」
キールの経済能力に驚くベティーへと少女が答える。
「そ、そんな凄いお人だったのね。……そりゃ、それだけのお金持ちならローズ様と同じ買い物の仕方にも頷けるわ」
「ローズ様が……キール様と同じ買い物の仕方、をなさっているのですか?」
小さく溜息を吐き出し話した彼女の言葉に、ベッキーが驚いて目を丸める。
「えぇ、ローズ様って物凄いお金持ちでしょ。だから棚から棚までの品を買って行って――」
「?」
説明を始めたベティーであったが、少女の言葉の違和感に気付き黙ると、ベッキーが不思議そうに見詰めた。
「貴女、ローズ様の事知っているの?」
「は、はい。存じております。キール様からよくお話をお伺いいたしますので」
ベティーは真剣な顔で尋ねる。まじまじと見詰められたじろぎながら少女が答えた。
「キール様……彼女へ薔薇のブローチの贈り物……ローズ様の縁談……成る程、ようやく合点がいったわ」
「?」
独り言を零すと盛大に溜息を吐き出す彼女へと、ベッキーが不思議そうに首をかしげる。
「ねぇ、キール様のお見合いの相手ってローズ様だったりしない?」
「!? え、ええっと。それは……」
問いかけられたじろぐ少女の様子にベティーは確信する。
「成る程、ローズ様の気まぐれにキール様も貴女も振り回されているって訳ね」
「は、はい?」
彼女の言葉にベッキーが意味を理解できずに目を瞬く。
「ベッキーだったわね。またいつでも買い物に来ていいからね」
「はい、有り難う御座います?」
不思議がる彼女には答えずにベティーはそう話しにこりと笑う。それにベッキーが疑問符を浮かべながら返事をした。
「私も力を貸すから、大丈夫よ」
「は、はい。キール様にお伝えいたしておきます」
ベティーの言葉に少女が意味を理解しかねながらも返事をすると頭を下げる。
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