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ライゼン通りの雑貨屋さん4 ~雑貨屋の娘と探検家の青年~
八章 秋の使者からの贈り物
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秋になり紅葉色付くライゼン通り。雑貨屋の扉を開けて誰かお客が入って来た。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
元気な声でベティーは振り返る。そこには秋祭りで精霊役をやる男性、クラウスの姿があった。
「あ、クラウスさん。今年も秋祭りでこの街に仕事に来たのね」
「あぁ、今年も祭事で精霊としての務めをしっかりと果すのでよろしく頼む」
彼女の言葉にクラウスがそう言って微笑む。
「それで、レイヤから話を聞いて君に贈り物を用意したのだ」
「贈り物? レイヤさんから話を聞いてっていったい何の事?」
行き成り贈り物を用意したと言われても意味が解らず、不思議そうにするベティーへと彼が考え込むように黙る。
「?」
「……来年の秋には会うことが出来ない。だから今年のうちに君に贈り物を渡したいと思ったんだ」
「来年の秋には会うことが出来ないって、精霊役辞めてしまうんですか?」
その様子を不思議そうに見詰めていると、クラウスが言葉を選びながら語る。彼女は余計に意味が解らなくなってしまい首を傾げた。
「いや、そうではないが……ベティー。君の気持ちを育むと良い。その先にきっと答えがあるはずだよ」
「?」
意味が解らないまま話は進んでいきベティーは不思議がる。
「秋の使者から、雑貨屋のベティーへ祝福を。これを、受け取ってもらえるかな」
「まぁ、素敵な花束」
そう言って渡されたのは秋の花で作られた立派な花束だった。
「これは、決断をすると枯れてしまう。だが、この花束が君の悩みの解決に力を貸してくれることだろう」
「よく意味が解らないのだけれど……」
素敵な花束をもらって嬉しいが、クラウスが先ほどから語る言葉は理解不能でついには半眼になって彼を見詰める。
「すまない。言葉足らずなのは理解しているが、この先どうするのかを決めるのは君自身だからな。あまり話すのもよくないと思っている」
「はぁ……」
訳を聞いても教えてはくれそうにないクラウスの様子に、ベティーは生返事しかできなかった。
「おやおや、秋の匂いがすると持ったら、クラウスさんいらしていたのね」
「こんにちは。レイヤから話は聞いていたが、やはり心配だな。秋の使者より祝福を……」
そこにうたた寝から起きたジュディーが近寄って来ると、彼が心配そうに瞳を曇らせて何やら祈りを捧げる。
すると黄色と橙色の光がジュディーの身体に入り込んだ。
「ふふっ。クラウスさんは相変わらず心配性ねぇ。大地の恵み確かに頂きました。有り難う御座います」
「今、クラウスさんとおばあちゃんが光った? レイヤ様の時と同じ……ということはクラウスさんも?」
祖母がお礼を述べる横で全てを見ていたベティーが驚愕の表情で尋ねる。
「……あまり人には話したりしないのだが、君の思っている通りだ。俺は秋の精霊。ジュディーとは昔なじみでね。彼女のお孫さんだから秘密にしていたことを知られてもいいだろうと思ったんだ。だが、あまり人には話さないようにしてもらえると助かる」
「えぇ、私こう見えてもローズ様の秘密も誰にも話さず守った事があるのよ。だからクラウスさんの正体が精霊様だったなんて誰にも言わないわ」
「有難う」
困った顔で語るクラウスへと彼女は笑顔で頷き答えた。それに彼が安堵した表情で微笑む。
「それよりベティーや。その花束は?」
「あ、これはクラウスさんから頂いたの」
ジュディーが彼女の腕の中にある花束を見て尋ねる。それにベティーは説明した。
「そう、この花束は……クラウスさん。ベティーは何を決断するのかしら」
「それは、自分の未来だよ。ジュディー。君にも贈り物がある」
「まぁ、これは精霊の髪飾りね」
クラウスの方へと体を向けて不安そうに尋ねる祖母に、彼が大丈夫だと言いたげに微笑み答える。そうして今度はジュディーへと贈り物を差し出した。その髪飾りに彼女は呟く。
「あぁ、妖精界はいつでも開かれているよ」
「……ふふっ。有難う」
クラウスの言葉に一瞬固まった祖母であったが、困った顔で微笑みお礼を述べる。
「何の話?」
「何でもないよ。それよりもベティー。ミラちゃんのお店にちょっとお使いに行っては貰えないかね。クラウスさんと久々にゆっくり二人きりでお話がしたいのよ」
「分かったわ」
不思議がるベティーへとジュディーがそう言うとお使いを頼む。それに頷き彼女はパン屋さんへと向かって行った。
「おばあちゃんとクラウスさん何の話をしていたのかな。そして私が貰った花束ってなんの意味があるのかしら」
考えたところで分るはずもなく、これ以上このことで悩むのは止めようと気持ちを切り替えた。
クラウスの贈り物が役に立つときはもう少し後になってからである。
「いらっしゃいませ」
「こんにちは」
元気な声でベティーは振り返る。そこには秋祭りで精霊役をやる男性、クラウスの姿があった。
「あ、クラウスさん。今年も秋祭りでこの街に仕事に来たのね」
「あぁ、今年も祭事で精霊としての務めをしっかりと果すのでよろしく頼む」
彼女の言葉にクラウスがそう言って微笑む。
「それで、レイヤから話を聞いて君に贈り物を用意したのだ」
「贈り物? レイヤさんから話を聞いてっていったい何の事?」
行き成り贈り物を用意したと言われても意味が解らず、不思議そうにするベティーへと彼が考え込むように黙る。
「?」
「……来年の秋には会うことが出来ない。だから今年のうちに君に贈り物を渡したいと思ったんだ」
「来年の秋には会うことが出来ないって、精霊役辞めてしまうんですか?」
その様子を不思議そうに見詰めていると、クラウスが言葉を選びながら語る。彼女は余計に意味が解らなくなってしまい首を傾げた。
「いや、そうではないが……ベティー。君の気持ちを育むと良い。その先にきっと答えがあるはずだよ」
「?」
意味が解らないまま話は進んでいきベティーは不思議がる。
「秋の使者から、雑貨屋のベティーへ祝福を。これを、受け取ってもらえるかな」
「まぁ、素敵な花束」
そう言って渡されたのは秋の花で作られた立派な花束だった。
「これは、決断をすると枯れてしまう。だが、この花束が君の悩みの解決に力を貸してくれることだろう」
「よく意味が解らないのだけれど……」
素敵な花束をもらって嬉しいが、クラウスが先ほどから語る言葉は理解不能でついには半眼になって彼を見詰める。
「すまない。言葉足らずなのは理解しているが、この先どうするのかを決めるのは君自身だからな。あまり話すのもよくないと思っている」
「はぁ……」
訳を聞いても教えてはくれそうにないクラウスの様子に、ベティーは生返事しかできなかった。
「おやおや、秋の匂いがすると持ったら、クラウスさんいらしていたのね」
「こんにちは。レイヤから話は聞いていたが、やはり心配だな。秋の使者より祝福を……」
そこにうたた寝から起きたジュディーが近寄って来ると、彼が心配そうに瞳を曇らせて何やら祈りを捧げる。
すると黄色と橙色の光がジュディーの身体に入り込んだ。
「ふふっ。クラウスさんは相変わらず心配性ねぇ。大地の恵み確かに頂きました。有り難う御座います」
「今、クラウスさんとおばあちゃんが光った? レイヤ様の時と同じ……ということはクラウスさんも?」
祖母がお礼を述べる横で全てを見ていたベティーが驚愕の表情で尋ねる。
「……あまり人には話したりしないのだが、君の思っている通りだ。俺は秋の精霊。ジュディーとは昔なじみでね。彼女のお孫さんだから秘密にしていたことを知られてもいいだろうと思ったんだ。だが、あまり人には話さないようにしてもらえると助かる」
「えぇ、私こう見えてもローズ様の秘密も誰にも話さず守った事があるのよ。だからクラウスさんの正体が精霊様だったなんて誰にも言わないわ」
「有難う」
困った顔で語るクラウスへと彼女は笑顔で頷き答えた。それに彼が安堵した表情で微笑む。
「それよりベティーや。その花束は?」
「あ、これはクラウスさんから頂いたの」
ジュディーが彼女の腕の中にある花束を見て尋ねる。それにベティーは説明した。
「そう、この花束は……クラウスさん。ベティーは何を決断するのかしら」
「それは、自分の未来だよ。ジュディー。君にも贈り物がある」
「まぁ、これは精霊の髪飾りね」
クラウスの方へと体を向けて不安そうに尋ねる祖母に、彼が大丈夫だと言いたげに微笑み答える。そうして今度はジュディーへと贈り物を差し出した。その髪飾りに彼女は呟く。
「あぁ、妖精界はいつでも開かれているよ」
「……ふふっ。有難う」
クラウスの言葉に一瞬固まった祖母であったが、困った顔で微笑みお礼を述べる。
「何の話?」
「何でもないよ。それよりもベティー。ミラちゃんのお店にちょっとお使いに行っては貰えないかね。クラウスさんと久々にゆっくり二人きりでお話がしたいのよ」
「分かったわ」
不思議がるベティーへとジュディーがそう言うとお使いを頼む。それに頷き彼女はパン屋さんへと向かって行った。
「おばあちゃんとクラウスさん何の話をしていたのかな。そして私が貰った花束ってなんの意味があるのかしら」
考えたところで分るはずもなく、これ以上このことで悩むのは止めようと気持ちを切り替えた。
クラウスの贈り物が役に立つときはもう少し後になってからである。
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