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一章 クラスのあの子は妖怪男子!?
2話
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三日前の放課後。
私は偶然、でもたしかに人の言葉を話す猫を見た。そして、その猫と会話しているユキトくんを。
あまりにおどろいてすぐにその場を離れたけど、もしあの猫がおばあさんの言っていた妖怪なら?
それと話をしていたユキトくんは?
ほんの少しだけ聞こえた会話。あの時、神社という言葉は間違いなくしゃべっていた。
怖いけれど知りたい、本当に妖怪なんているのだろうか。もしかして神社に入ったのはまたあのしゃべる猫と会うためなのかも。
そんなことを考えているうちに、私の足はいつの間にか追いかけるように神社の階段をのぼっていた。
***
ユキトくんの正体を知りたい、そう意気込んできたはずなのに。私は早くもくじけそうになっている。
どうしてかって? 雰囲気がとにかく怖いから!
木に囲まれて夕焼けの明かりが届かない、薄暗い神社。
鳥居は元の色が分からないくらい色あせているし、端にある狛犬はどの角度から見ても私をにらんでいるように見える。
やっぱり帰ろうか、これ以上は進む勇気がない。そう思って足を止めた瞬間。
静かだった神社の中に、とつぜんカタカタと不気味な音がひびきわたった。
「ひっ!」
私はいきなりの出来事におどろき、声をあげてしゃがんでしまう。
それでもなんとか音の出どころを探ろうと、必死で辺りを見回す。そしてそれを見つけた時、私は自分の目を疑った。
「な、なにあれ……」
数メートル離れた地面で、落ちている石が揺れていた。だれも触っていないし、風も強くないのにひとりでに。
私のてのひらくらいの大きさで、形は丸い。緑色の苔が生えている表面には、縦に大きなヒビが入っている。
最初は地面を鳴らしているだけだったそれが、だんだんと宙に浮きあがっていく。信じられない光景を前に私は、ただじっと見ていることしか出来ない。
それから石が顔くらいの高さまで浮かんだかと思うと、パキン、と音を立てて真っ二つに割れてしまった。
割れ目からは黒い煙があふれ、周りをおおっていく。
やっとそれが消えるころ、そこには青い白い皮膚をした怪物が立っていた。
「――っ!」
今度はなんとか声は出さないようにこらえたけど、腰がぬけたまま動けない。手も足も震えて言うことをきかない。
……やばい、逃げなきゃ。
だって頭に二本のツノを生やしたあの見た目、私が持っている鬼のイメージそのままだもん!
どうして? 鬼は先祖に封印されたって聞いたのに。
お願い、こっちに気付かないで。
私は心からそう願ったけど、距離はたった数メートル。
すぐに目が合ってしまった鬼は、口元からするどい牙をのぞかせた。そのままゆっくりとこちらへ向かってくる。
「――いや! 来ないで!」
声はしぼりだせた。でも、体はまだ全然思うように動かない。
鬼は凶暴で、人間を襲う。おばあさんの言葉を思い出してしまい、目に涙がたまる。
反対に鬼は笑っていた。まるで好きな食べ物を前にした子供みたいに。
怖い、怖い、怖い――。
「お願い、だれか助けて!」
きっとこんな場所で叫んでも、声なんてだれにも届かない。分かっていても叫ばずにはいられなかった。鬼の鼻息が聞こえるほどの距離まで近づかれ、あまりの恐怖に目を閉じる。
そんな私の耳に飛び込んだのは聞いた覚えのある、強く優しい声だった。
私は偶然、でもたしかに人の言葉を話す猫を見た。そして、その猫と会話しているユキトくんを。
あまりにおどろいてすぐにその場を離れたけど、もしあの猫がおばあさんの言っていた妖怪なら?
それと話をしていたユキトくんは?
ほんの少しだけ聞こえた会話。あの時、神社という言葉は間違いなくしゃべっていた。
怖いけれど知りたい、本当に妖怪なんているのだろうか。もしかして神社に入ったのはまたあのしゃべる猫と会うためなのかも。
そんなことを考えているうちに、私の足はいつの間にか追いかけるように神社の階段をのぼっていた。
***
ユキトくんの正体を知りたい、そう意気込んできたはずなのに。私は早くもくじけそうになっている。
どうしてかって? 雰囲気がとにかく怖いから!
木に囲まれて夕焼けの明かりが届かない、薄暗い神社。
鳥居は元の色が分からないくらい色あせているし、端にある狛犬はどの角度から見ても私をにらんでいるように見える。
やっぱり帰ろうか、これ以上は進む勇気がない。そう思って足を止めた瞬間。
静かだった神社の中に、とつぜんカタカタと不気味な音がひびきわたった。
「ひっ!」
私はいきなりの出来事におどろき、声をあげてしゃがんでしまう。
それでもなんとか音の出どころを探ろうと、必死で辺りを見回す。そしてそれを見つけた時、私は自分の目を疑った。
「な、なにあれ……」
数メートル離れた地面で、落ちている石が揺れていた。だれも触っていないし、風も強くないのにひとりでに。
私のてのひらくらいの大きさで、形は丸い。緑色の苔が生えている表面には、縦に大きなヒビが入っている。
最初は地面を鳴らしているだけだったそれが、だんだんと宙に浮きあがっていく。信じられない光景を前に私は、ただじっと見ていることしか出来ない。
それから石が顔くらいの高さまで浮かんだかと思うと、パキン、と音を立てて真っ二つに割れてしまった。
割れ目からは黒い煙があふれ、周りをおおっていく。
やっとそれが消えるころ、そこには青い白い皮膚をした怪物が立っていた。
「――っ!」
今度はなんとか声は出さないようにこらえたけど、腰がぬけたまま動けない。手も足も震えて言うことをきかない。
……やばい、逃げなきゃ。
だって頭に二本のツノを生やしたあの見た目、私が持っている鬼のイメージそのままだもん!
どうして? 鬼は先祖に封印されたって聞いたのに。
お願い、こっちに気付かないで。
私は心からそう願ったけど、距離はたった数メートル。
すぐに目が合ってしまった鬼は、口元からするどい牙をのぞかせた。そのままゆっくりとこちらへ向かってくる。
「――いや! 来ないで!」
声はしぼりだせた。でも、体はまだ全然思うように動かない。
鬼は凶暴で、人間を襲う。おばあさんの言葉を思い出してしまい、目に涙がたまる。
反対に鬼は笑っていた。まるで好きな食べ物を前にした子供みたいに。
怖い、怖い、怖い――。
「お願い、だれか助けて!」
きっとこんな場所で叫んでも、声なんてだれにも届かない。分かっていても叫ばずにはいられなかった。鬼の鼻息が聞こえるほどの距離まで近づかれ、あまりの恐怖に目を閉じる。
そんな私の耳に飛び込んだのは聞いた覚えのある、強く優しい声だった。
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