冒険者達に淫愛あれ

シュンコウ

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アントス編

嫉妬は緑の色を持つ 三

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「ごめんね、ブラット。いっぱい、待たせちゃったね」


 オーガの性欲処理を終えたアントスが家から出てきたのは、朝日が昇る直前であった。顔を上げたブラットが見た主は、マントを一枚巻きつけただけ。人前、外出にはあまりにも無防備すぎる姿である。
 頬は紅潮したままであるし、目はとろんと潤んだままだ。明らかに交尾を終えた直前だとわかる、気怠げな色気。何よりその身からただよってくる、濃い性臭。
 マントの裾から伸びた両足には、大量の白濁が流れ伝っていた。オークの精液だ。
 子作りするために交わりたい。そんな村人達の性欲を満たそうとするアントスは、性交が終わったあとも雰囲気を壊さないために、わざと中に出されたモノをかき出さない。処理をするのは、彼らの目が届かない自室に着いてからである。
 ブラットはアントスのすぐそばまで寄り、できる限り身をかがめた。雄をたくさん受け入れ、イかされたアントスの体はよく見れば小さく震えている。体力が限界に近いのは瞭然だ。


「ありがとう……」


 かすれた吐息とともに気遣いに礼を述べたアントスが、ゆっくりと背によじ登る。足をすべらせて落下しないよう、ブラットも前脚や尾を添えて支えた。


「帰ろうか。僕達の、家へ」


 グル、と答え、身をゆっくりと起こした。大きな翼をはためかせ、暴風を起こしながら宙に浮く。
 安全第一、徐行飛翔。しっかり己に言い聞かせながら、落下しないギリギリの速度で空を飛んだ。
 主のことを思うと、全速力を持って空中を駆りたいところだ。しかし力が入りきれていない主は、ブラットの背骨に沿って生えた凹凸にしっかり掴まりきれていない。風力に圧され、墜落してしまう。


「んぅ……はぁ、ぁ、こぼれ、てる……」


 アントスが座っているあたりの鱗が濡れている。跨っているせいでさらに緩んだ孔から、ドバドバと精液が流れ出ているのだ。
 不快ではあるが、もう慣れた。性欲処理をした日のアントスは、いつも意図せずブラットの背中を他者の子種で汚している。





 アントスの家は、支部と兼用になっている。不測の事態に陥った時に、すぐに対応・対処するためだ。
 冒険者や村人達が訪れるエントランスの奥。ギルド員がおらず、住む者もいなかった部屋を自室にしている。
 元々夜勤のギルド員のために、風呂やトイレ、台所、仮眠室などが完備されていた。支部に住みついても生活には何の支障もない。
 支部の上空へ到達したブラットは、表ではなく裏口に回って降り立った。表から入ると、営業を開始したと見た村人や、村に立ち寄った冒険者が入ってきてしまう。白濁まみれで疲れた様子のアントスに、ギルド員としての仕事をさせたくはない。
 村人の中にはオーガ以上に体が大きい者もいる。彼らも入れるよう、支部の出入口、並びに建物は大きく造られていた。アントスを乗せたままのブラットでも余裕を持って中に入れる。
 まっすぐに向かったのは風呂場である。綺麗好きなアントスは、セックスを終えて帰ってきたら真っ先に身を清めることを望む。ブラットとしても、他の雄の臭いはさっさと消し去りたい。
 タイル張りの風呂場に入ったら、身をかがめてアントスが降りやすくする。彼がのそのそと降りている間に首を伸ばして炎を吐き、あらかじめ浴槽に溜めてあった水を温めた。
 湯気が立ち昇ればちょうどいい湯加減だ。炎を止め、きちんと定位置に置かれている桶を掴む。
 様変わりした湯を掬い、マントを脱ぎ終わったアントスにかけてやる。くすくすと鈴を転がすような笑い声が風呂場に響いた。


「もう。ブラットったら甲斐甲斐しすぎるよ」


 当然だ。ブラットはフン、と鼻を鳴らし、胸を張った。主の世話を担うのは、しもべの仕事にして誇りだ。
 アントスの腕が伸びてきて、ブラットの顔を包みこむ。ちゅ。口先に唇を押し当てた。──キスをした音だ。


「いつもありがとう」


 そして頬を赤く染めて微笑むのである。グゥ、とブラットは唸った。己の番がこんなにもいじらしい!
 ブラットは椅子の代わりとして緩くとぐろを巻いた尾の上にアントスを座らせた。それだけの動作で押し出された精液がビュッと垂れる。
 アントスの下腹部を見下ろす。オーガの家から帰宅するまでにたくさんの白濁をこぼしていたのに、妊婦のように腫れたままだ。
 まさか本当に孕んでしまったのでは。焦燥に駆られたブラットは、擦られすぎてぽってりとした白濁まみれの孔に前脚の指を突っこんだ。


「んっ!」


 先ほどまでブラットの腕ほどもある太ましい性器を受け入れていたそこは、簡単に付け根まで呑みこんでしまう。二本の指でくぱぁ、と広げると、中に詰めこまれたオーガのモノがどっぷりとあふれ出てきた。


「んぅぅ……おもらしみたいで、はずかしいよ……」


 目を伏せるアントスだが、その表情はどちらかというと気持ちよさそうである。とろとろと粘り気の強い精が襞を伝い、出ていくのに快感を覚えているのだろう。
 自分の精液でならいざ知らず、他の雄のモノで感じられても面白くない。ブラットは優しく、しかし体内に留まることは許さないとばかりに下腹部を押した。
 ビュッ、ドボッ、ドプドプドプッ。


「ぁあ~~……」


 多くの精液が出ていくごとに、少しずつ張りが萎んでいった。元の細く薄い腹へと戻っていく光景に、密かに安堵する。よかった、子は宿っていない。


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