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アントス編
嫉妬は緑の色を持つ 二
しおりを挟むぱん、ぱん、ぱちゅぱちゅ、ぱぢゅ。しだいに激しくなっていく、肉を打ちつける音と気持ちよさそうに喘ぐ声。それらを伴って行われているセックスの皮をかぶった性欲処理に、歯噛みする者がいた。
アントスの今回の相手であるオーガの家。その外で絶賛待機中の、召喚獣ブラットである。
ブラットはアントスが冒険者になったばかりの初期の頃から主従の契約を交わしている、緑色の鱗を持ったドラゴンだ。ドラゴン種にしては全長五メートルと小柄だが、これでも百年は生きてきた成体である。
窓の外からオーガと主のアントスが激しく交わっているのを見て、グルルと腹の底から唸り声が漏れた。ギリギリと岩をも砕く鋭い牙を噛みしめ、太い尾で雑草が覆う地面を叩きつける動作が止まらない。
ブラットは非常に憤っていた。
原因は言わずもがな、主を組み敷き心ゆくまで種づけを行うオーガと、イボが卑猥さを増長させる肉棒を気持ちよさそうに呑みこみ、言葉で、体で射精をねだる主の貞操の緩さである。
主が「絶対に村人を害しないように」と釘を刺していなければ。今すぐにでもオーガに飛びかかり、喰いちぎった肉片ごと家を燃やしているところだ。
否、このオーガだけではない。アントスの淫靡で魅惑的な味を知った村人全員を滅ぼし尽くしてやりたい。
ブラットはアントスのことが好きだ。愛している。一目惚れし、彼が召喚師であると知るや、自ら主従の契約を持ちかけて結んだほどに強い想いを寄せていた。
好きが過ぎて、契約早々に組み敷いて交尾し、種づけをした。普通の召喚師なら、召喚獣に性的に襲われたところで即座に契約を解除するだろう。しかしアントスはこれを親愛の証として受け入れてくれた。それどころかブラットの発情に気づいたら、すぐに股を開いて性器を熱く狭い腹の中に呑みこみ、中出しを促した。
ドラゴン種は一途な性格を持つ者が多い。ブラットも例外ではなかった。交尾を行う相手は慎重に選ぶ。そして、一度でも交わり、種をつけた時点で番と認め、己が身を呈してでも守り抜き、他種族には重すぎるであろう執着と愛情と欲望を注ぎ尽くす。
ブラットにとって、アントスは唯一無二の番なのだ。そして、愛おしい笑顔でブラットを受け入れたアントスもまた、同じ想いを返してくれている。そう、思っていたのに。
アントスはこの村に来てから変わってしまった。今まではブラットしか受け入れなかったあたたかくて気持ちのいい孔で別の雄を誘い、乱れ、種づけを許している。
決してブラットを蔑ろにしているわけではない。むしろ他の雄に番を汚されたと怒り狂うブラットの気を落ち着かせるために、毎晩交尾をねだり、ブラットの子種で満たされた腹をさすって満足そうに恍惚に浸った表情を浮かべるくらいだ。
(一方的な)番であるとはいえ、前提である主の命は契約において絶対。だから主がどれほど他の雄を誘い、ブラットのみを受け入れるべき神聖な腹の奥を汚されたとしても。それを力づくで止めることも、やめさせることもできない現状が歯痒い。
それにしても。
「をお、お! アントスさん、アントスざんんっ」
「ぁ~~っ! もっ、……おなか、ぃっぱい……はいらな、ぃ、ょ……~~っ!」
オーガのヤツめ、いつまで主に種をつけているつもりだ!
ブラットがアントスを背に乗せてオーガの家を訪れたのは朝。すでに太陽は空を巡り終え、交代で現れた月すらも傾き始めている。
最初はアントスを気遣い、やや引けた状態の腰を振っていたオーガ。今やすっかり性欲に呑まれ、ただひたすらに己の快楽を追うケダモノと化している。
よほど心地がいいのだろう。数回巨根を抜き挿ししただけですぐに達し、そのせいでアントスの腹は何十回と中に出された精液でいっぱいだった。ぽっこりと肌を押し上げて膨らんだ下腹部は、まるで子を孕んだかのようである。
一応、激しい律動を繰り返す肉棒に絡みついた分の白濁液が、泡立ちながら孔の外にかき出されてはいる。しかし、吐き出された量のほんの一部分に過ぎないのは一目で明らかだった。
そんな一角でさえ、オーガの総射精量が尋常ではないとわかる。アントスとオーガが結ばれた腰の下では大きな水たまりができていた。シーツがアントスの中からこぼれた精液を吸収できなくなったのだ。ぴちゃぱちゃ、とアントスの体が跳ねるたびに小さく鳴る粘ついた水音が、耳に卑猥だった。
「をお、おおお!」
ブチュッと勃起がおさまらないペニスを奥深くに押しつけて、オーガの動きが止まる。喉を反らし、雄叫びに似た声を上げた。
「ぁあ~~、ぁー……っ、あぁ……」
アントスの精液まみれで快楽に震える両足が、オーガの腰に必死にしがみついた。唇の端から伝う唾液もそのままに、とろん、と恍惚に蕩けきった顔。また中出しされたのだ。
いやらしい顔を見ていいのは己だけなのに! ブラットはグウウ、と唸りながらとうとう地面にうずくまった。
番が他の雄に貪られ、よがり狂っているところなど、本当は見ない方がいい。その方が精神衛生上よろしいとはわかっている。
しかしブラットにはそれができない。己ではない別の雄を気持ちよくし、気持ちよくさせられている主もまた、愛しい番の一面だからだ。
結局、ブラットは主に甘いのだ。他の雄と淫行に耽る不貞さに憤るも、嫌いにはならないし、見限ろうという気すら起きない。
それに、他の雄との快楽など塗り替えればいいだけだ。己の方がそいつよりも何百倍も気持ちよくできるのだと、そいつの交尾になぞらえてアントスの魂にも肉体にも叩きこんでやればいい。
やられっぱなしでは黙らない。それが、負けず嫌いでもあるドラゴン種である。
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