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キオン編
それは加護ではなく、 四
しおりを挟む知ってしまったばかりの強く甘い気持ちよさに蕩ける顔は、非常に淫らだった。その気がなかった男も、一目見ただけですぐに股間を腫れ上がらせそうなほど。
ヒメロスはゆっくりと舌舐めずりをした。ペニスへの刺激だけでこの蕩けよう。中に突き入れ、イイところを揺さぶったら一体どれほどの色香を醸し出すのか。
それにはまず孔をたっぷり解すのが先決。痛みで我に返らせ、苦痛の悲鳴でもあげられたら興醒めだ。
軟膏をたっぷりと入口に塗りつけた指が、新たな分を掬う。
「ひゃうっ!」
わざと強めにキオンを擦り、指を一本、差し入れた。
一際大きな声で啼いたが、表情に引きつりはない。孔をこじ開ける時には痛みが生じるのだが、うまくごまかせたようだ。
「気持ちいぃ、あ、またくるっ! 気持ちいいの、きちゃう……っ」
律儀にヒメロスに教えられた言葉を繰り返すキオンの喘ぎ声を聞きながら、くちくちと侵入を果たした中を指先で広げた。
浮かされた意識は置き去りに、体の方が先に気づいたようだ。異物を押し返そうとでもいうのか、ぎゅうぎゅうと締めつけてくる。
そんな内襞の指が届く範囲に軟膏を塗りつけた。折り曲げたりぐるりと回したりと、塗り忘れがないよう、余す所なく。
足りなくなれば引き抜いて継ぎ足す。さっそく媚薬効果が現れたのか、引き抜いてからの再侵入でもするりとたやすく受け入れてくれた。
「ヒ、ヒメロスさん……っ」
突然キオンの手がヒメロスの腕にすがった。
「どうかしたか?」
顔を覗きこむと、潤んだ目が困惑の色を乗せて見返す。
「お、おちんちんだけじゃ、なくて、っ、おしりが……っ。おしり、なんか、へん…っ」
「ああ」
ヒメロスはほくそ笑んだ。
「むずむずするだろう? 順調に準備が進んでいる証拠だ」
媚薬成分は粘膜に吸収されると耐えがたい痒みをもたらす。この痒みが、結合による快感をより高めてくれるのだ。
「もう少しだから、力を抜いて気持ちいいのを受け入れ続けるんだよ」
「ぅ、は、はいぃ……ひぅっ」
ヒメロスに従ったキオンの意思に引きずられたか、孔の締めつけが少し緩まった。その隙に指の数を増やし、バラバラに動かし続ける。
「ぁう、きもちいい……、おちんちんも、おしりも、きもちいいのがとまらない……よぉ……」
徐々に増えていく指、慣らされ拡げられていく中。疑問を抱くこともなく、キオンはただ熱に浮かされて涙をこぼし、ヒメロスからもたらされる淫行に身を委ねていた。
己がいかにいやらしい感情を口にしているのか。想像すらできず、ぎゅっと目をつぶって、すっかり加護の準備と信じこんだ愛撫の数々を享受する。
「あん……っ!」
やがてずるりと引き抜かれた指は、最終的に四本まで増えていた。
キオンの性器を捕らえていた手のひらも見計らったように離れていく。
ようやく止んだ刺激に、キオンは息も絶え絶えだった。何度瞼の裏に光の明滅を見ただろう。飛びに飛んだ精液はすでに量も色も勢いもなくしていて、股間部分を中心に散った絶頂の証がいやらしくてかっている。
全身に力が入らない。荒く呼吸を繰り返しながら、キオンはぼうっと虚ろな目で天井を見上げた。溶けてしまったかのように体が疲弊している。しかし腰あたりに宿った熱は冷めることなく。止まってしまったあの気持ちよさが、物欲しくなった。
カチャカチャとベルトの金具を外す音がする。そういえば加護はもう施し終えたのだろうか。
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