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アントス編
白の指導 一
しおりを挟む*獣人(ウサギ)攻め
「ねーアントスさん。人間を気持ちよくさせるセックス、どうやればいいのか教えてほしーな」
つぶらな赤い眼で見上げてきた青年に、アントスはきょとりと目をまばたかせた。
「珍しいね。君がそんなことを言うなんて」
本日の相手は獣人のクローリクだ。クローリクはウサギの獣人で、白い毛並みと長い耳、赤い眼をしている。
亜人種に分類される獣人は、形こそ人型に近いが、その本質はベースとなった動物の特徴を濃く継いでいる者が多い。ウサギ型の彼は年中発情期と言われるウサギ同様、とにかく交尾をしたがる男であった。
まだ年齢的に若いというのもあり、本能的な種づけ願望に支配されがちなクローリクは、相手を思いやるようなセックスはあまりしない。というより、夢中になりすぎて思いやれる余裕がない。
だからいつも前戯なしで性器を繋げ、がむしゃらに中を穿ち、中に放ってはまた腰を振るというアントスの体を使った自慰じみた行為が多かった。
そんな彼が、人間を、相手を気持ちよくさせたいと言う。この場合の「人間」とは己のことではない。だから興味がわいた。
「いい出会いでもあったのかな?」
「えへへ、わかるー?」
クローリクは己の頬に両手をあて、にへら、と笑った。
「実はさ、人間に手当てしてもらったんだよ。すっごく優しい子でさ! 俺、獣人だってのに、怪我してるのを放ってはおけないって!」
クローリクの右腕に、布が巻かれている。血が染みこみ、乾いた痕跡が残るそれは、冒険者の資格を取った時に身分証明書とともに贈られるギルドの紋章が入ったハンカチだ。見るからに新品で、使いこまれた様子がない。おそらくは、彼の止血が初めての使用ではないだろうか。
元の持ち主は新米冒険者かな。ハンカチ一枚で予想を立てる。ハンカチを使わない人でも、ポケットや鞄などに入れっぱなしにしていれば、多少なりとも汚れたりよれたりするものだ。
「いやー運命みたいなのを感じたよね。あ、こいつ、俺の雌にしなきゃってさ!」
「……まさかとは思うけど君、襲ったりはしていないよね?」
いかに相手が優しい子であろうと、合意のない性行為は犯罪である。たった一回のレイプが原因で、種族の間に決定的な亀裂が入った例も少なくはない。
「は!? いやいや、さすがの俺でも出会ってすぐの純真な子にいきなり種づけはしないって!」
ぎょっと目を剥き、慌てて首を横に振る様子は嘘でもごまかしでもないようだ。
「ならいいのだけど……。あ、その子って男の子かな? それとも女の子?」
「あれは多分、雄だと思うなぁ。可愛かったけど、雌みたいな甘ったるい匂いはなかったし」
「男の子かぁ……」
うーん。腕を組んで首を傾ける。前途多難そうだ。
アントスは元々召喚獣と日がなセックスをしていたので、村人と交わるのに抵抗はなかった。だが他の人間となるとそうはいかない。
同じ種族の男女が番になるのが当たり前のこの世界。同性、それも異種族間で、果たして愛を交わし合う未来が叶うのか。
「それよりもー、はやくはやくっ」
待ちきれない、と言わんばかりに押し倒されて、まあいいかな、と思考を放棄した。彼と見ず知らずの男の子の仲がどうなるかは、クローリクが自分の手で切り開くべきことである。
自分が今やらなければならないことは、人間を気持ちよくさせたいという彼の要望に応じ、人間が気持ちいいと感じるセックスを教えることだ。クローリクと男の子のセックスが、最悪の結果に終わらないためにも。
「じゃあまずは、ここかな」
衣類を脱ぎ落としたアントスが指先で示したのは、白い肌にツンと立つ胸の粒だった。本来ならばキスから教えるべきだろうが、それは愛が繋がった二人ですることである。
「優しく弄ってみて」
「ん」
クローリクの指が、そっと左側に触れる。獣人特有の、人に近い形をしていながら毛に覆われ、肉球がついた指は独特の感触を伝えてきた。
肉球がぷにぷにと、粒を押した。毛先が粒の周辺をかすめ、くすぐったい。
「んふ……、ん、上手だね……」
胸に広がる小さな刺激に、アントスは目を細めた。
「ホントっ?」
ピン、と長い耳を立たせたクローリクが、もう片方も弄り出す。ぷにぷに、こりこり、と両方同時にこね回されれば刺激も二倍だ。
だが相手に性行為の経験がなければ、この刺激を感じ取れるようになるのも時間がかかるだろう。
アントスはクローリクの耳を撫でた。
「指で遊ぶだけじゃなくて、舐めたり吸ったりしてごらん」
「んー、こう?」
おずおずと出された肉厚の舌が、ぺろりと左の粒をなぞった。生あたたかく、ぬめった触感にぞわりと背筋が震える。
「うん、そう……。あ、甘噛みをするのはいいけど、強く歯を立てたり噛みちぎったりしないように気をつけてね」
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