冒険者達に淫愛あれ

シュンコウ

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アントス編

はじめまして、つがいましょう 一

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*リクエスト:ブラット×アントス/馴れ初め/異種姦/無理矢理/ヘミペニス



 召喚師を選んだ冒険者が命を落とす原因の中で、最も多いのが召喚時による事故である。
 というと意外に思われるかもしれない。なぜ、召喚獣を喚び出すだけのことで事故が起きるのか?
 答えは実際に召喚現場を目の当たりにしたらわかるだろう。
 召喚獣は召喚者の命令に忠実だ。いかなる理不尽なものであっても、召喚獣自身の命を失う内容であっても。自らをかえりみずに、ただ主の指示に従う。
 しかしこれは主従の契約を結んだ後のみである。初回、つまり契約前の召喚獣は、戒めの首輪も鎖もない自由な存在だ。常日頃冒険者達が相手取る凶暴凶悪な魔物達となんら変わりはない。
 召喚獣が召喚者を「己を従えるに相応しい主」と見定めれば、たやすく眷属に下るだろう。召喚者も召喚獣を「己の実力に見合った相棒」と身を弁えれば、事故を引き起こすことはない。
 しかしそこで満足しないのが人間という生き物だ。
 人間は同じ立場にある相手に対し、自分の方が上であると知らしめたい愚かな存在である。召喚師も例外ではない。特に初めての召喚では、いかに強くてすばらしい高位の召喚獣を召喚できるかが、今後の自分達の優劣を決める。
 他人が使役する召喚獣の能力を上回った召喚獣が欲しい。自分こそが、高位の召喚獣を従える才能に優れている。
 そんな願望や自惚れは、召喚者に見栄を張らせる。供物を駆使し、自分の手が届かない高位の召喚獣を喚び出す。
 召喚獣に、人間同士のマウント事情は通用しない。冷酷に主になるかもしれない人間を見定める。相応しくないと見切りをつけたが最後。たやすく殺す。
 召喚者を殺害しただけで、そのまま去ればまだよい方だ。中には格下に喚び出されることを侮辱と見做すプライドの高い種も存在する。
 弱者に喚び出されたという事実は、彼らにとって生涯の汚点だ。プライドを傷つけられたと激怒し、暴れ回った果てに国を滅ぼす個体も口伝えに伝わる。
 周囲に害をもたらした時点で、召喚獣は危険な魔物として速やかに討伐される。
 緊急討伐として掲示板に貼り出され、目も眩むような高額な報酬に飛びついた冒険者達によってすぐに剥がされる依頼の四分の一はこれであった。





 さて、これは数年前。当事者以外にとっては風化しつつある過去の話である。
 その年は近年稀に見る召喚師希望者が多い年であった。召喚事故数も過去最多を記録した一年でもある。
 召喚師になるためにはまず冒険者の資格を取る必要がある。ベテラン冒険者が多数属するギルドの監視下で召喚を行わせ、被害を最小限に抑えるための苦肉の策だ。
 万が一召喚者が手に負えない召喚獣を喚び出してしまったら、速やかに討伐する。そして、誤って街中へ侵入してしまわないよう、召喚の場として用意されたのは、冒険者資格試験会場の一つである更地だった。
 基礎能力を測る試験の余波でえぐれた部分を真新しい土で埋めて修復し、踏み固めて均された大地の上には大きな召喚陣が敷かれている。
 新規召喚をするには召喚陣が必要不可欠だ。契約が成立して以降は召喚者自身に目に見えない専用の召喚陣が組み込まれるため、念じながら名を呼ぶだけで喚び出すことができるようになる。
 召喚で欠かせないのは、召喚者自身から滴る少量の血と、才能だ。これだけで実力相応の召喚獣を召喚できる。
 実力以上の召喚獣を望むなら、貢ぎ物が必要となってくる。高位の召喚獣はプライドが高い種が多いが、捧げ物を気に召すと気分を良くして契約に応じることがある。
 皆、初めての召喚獣は強くて頼りになり、かつ自慢できるような種が欲しいのだろう。値が張る宝石や高級肉など、気合の入った貢ぎ物を携えて己の順番を今か今かと待ち望んでいた。


「すごいなぁ……」


 次々と召喚される召喚獣。供物を捧げ、時には賛辞を尽くして契約を結んでいく召喚者。見るだけで圧倒されるような緊張感と達成感、感動が交互に訪れる光景をのんびりと眺めながらアントスはぽつりと呟いた。
 用意周到な周囲に対して、アントスは手ぶらだ。
 アントス自身に喚び出したい召喚獣の条件はない。冒険の苦楽を共に分かち合ってくれる者ならどんな相手でもいい。自分の身は自分で守れるだけの力はある。例え鉢合わせた魔物との戦闘で苦戦するようでも、周囲よりも低位であろうと、構わないのだ。
 満足がいく高位の召喚獣を従えることに成功した召喚師達は、皆誇らしげだ。嬉しさのあまり頬を紅潮させる様は、見ているこちらも嬉しくなる。
 初めてのパートナーを手に入れるという感覚は、如何程だろうか。その瞬間に思いを馳せる。きっと心躍るような、感情が湧き立つような、そんな素晴らしい気持ちに満ち溢れているに違いない。
 警戒を緩めず召喚を見守るベテラン冒険者達が武器を手に取るようなことはなく。順風満帆に進んでいると思われた雰囲気は、しかし突然急変した。
 それは奇しくも、アントスの番の手前であった。


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