静かな湖畔の…

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住める家が完成した‼

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 ナデシコさんと、レンゲちゃんを羊毛の雲から救出。
「いやぁん‼チクチクするぅ‼」
「意外に臭いで。コレん中」
 よくよく考えれば、洗わなければいけなかった。なので、森の中で毟り取った分と、新たに毟り取った分を一旦、川の方に持ち込み、洗浄。魔法で空中に川の水を浮かべて、前世の洗濯機の要領で回転洗浄…一回転するだけで、かなりの汚れが見える‼
 …下流域の環境にも配慮したいが、僕らの生活環境も、より豊かなモノにしたい…なので、すすぎ洗いを敢行‼汚れが落ちるまで、汚水を排水しつつ羊毛をひたすら洗う‼
 …十分程で、泥汚れは見当たらなくなった…もう、大丈夫かな…?…羊毛の一部を水の中から千切り、臭いを嗅いでみる…独特のケモノ臭さがある…タンポポの油脂の臭いか、この中に隠れていた魔獣の臭いか知らないが、割と臭う…それにベタベタする…脂汚れを落とすには石鹸が必要だけど、持っていないからなぁ…作り出すにも苛性ソーダだっけ?それが手元にはない。どうしたモノか…
「『聖女』の『浄化の気』で何とかならないの?」
 あ、ヒナギク様。どうしました?
「一応、部屋割り決めようと思うから、呼びに来たんだけど…」
 そうでしたね。じゃあ、一旦、羊毛洗浄は中止して…
「いやいや、止めなくていいから‼部屋割りは生活上、困らないから‼お布団があれば、とりあえず、眠れるから‼」
 …そうなんですが…分かりました…
 ひとまず、手に持った分に『浄化の気』を流し込んでみる…『気』の放出はヌシ様に教わった。今の所、僕の『浄化の気』は垂れ流し状態らしく、今後の事を考えると、意識的に『浄化の気』を放出できないと困った事態が起きるかも知れないとの事で教わった。
 一回でコツを掴んだ。どんな武術の達人でも一年は掛かると言われていたので、ヌシ様が頭を抱えていた。いや、身近に『気』の使い手がいたので、何となくこんなカンジかなぁ…と思って、やってみただけなんですが…はい。ヨシノさんです。あの人が警戒態勢に入った時の雰囲気がそうなのかなぁ…って…合ってたみたいですね…
 とりあえず、ヒナギク様のアドバイスに従って、手の中にある羊毛に『浄化の気』を流してみる…と、羊毛から油分らしい液体が分離しボタボタと落下、そのまま川の流れに乗って下流に流されていく…ってか、あの油分、結構、臭い‼
「成功したみたいだね」
 ヒナギク様が鼻を抓んで、僕から離れる…ああ、服に例の油分が付いちゃいましたね。
「じゃあ、残りもやっちゃおう‼」
 …構いませんが、手伝う気は無いのですか…?…応援だけ…お気遣い嬉しいです…‼
 空中に浮かべたままの羊毛入りの水の塊に『浄化の気』を流すと、さっきと同様に油分が羊毛から分離して、川に流れて行く…ついでに、僕の服に付着した分も剥がし落とす…
 後は羊毛から水分を抜き取って、乾燥状態に‼一辺三十センチ程の立方体に成形‼
 …ヒナギク様、一応嗅いでみて下さい…いや、臭くないとは思いますが、僕は鼻がバカになっている可能性があるので…いやなら、別の人を呼んでください…
 結局、ヒナギク様はセリさんを呼んだ。
「…特に臭いませんね…」
 その言葉に、ヒナギク様も鼻を近づけて、嗅いでみる。
「うん。大丈夫」
 自信に満ちた笑顔が眩しいですが…ちょっと、複雑な気分です…

 その後、立方体として纏めた羊毛を糸にして、更に布地に変える。紡製と織りを一遍に魔法で行うが、ちょっと失敗。
「布団にするなら袋状にしないと」
 …一枚布では袋状にするには針で縫わなければならないが、現状、針がない…仕方ないので、最初に織った分はシーツにする…
 その後は袋状に編んで、忘れない様に羊毛を入れて行く…あ、敷布団の方は、若干、固めないといけないから、もうちょっと、羊毛が必要か。
 敷・掛けの布団をシングル用二組作った段階で、残りの羊毛の残量を見て気付く。
 とりあえず、同じ位は必要だろうから、タンポポから毟り取って、再び、洗浄作業…布団作りを再開…一時間程で、五人のシングル分が完成‼
「タオルケットも織ったんですか⁈」
「セージは気が利く嫁になるな‼」
 …マリーさん、嫁呼びはやめてください…
「それより、あたし達用の掛け布団は?」
 …ここが問題なんです…いいですか?ヒナギク様。
 と真剣な表情で語る僕に、ヒナギク様は疑問の表情…ちょっとカワイイ…
 今はお盛んな状態なので二人で一つでも大丈夫ですが、仮に、子供が出来た時に一緒の布団で寝ると言うのはどうなんでしょうか?
「別に問題ないと思うけど?」
 いや、子供が小さい内は一緒の布団でも大丈夫ですが、子供が少し大きくなって、僕達が励んでいる所を子供に見られたら、どうするんですか?その頃には、ヒナギク様の性欲は減退していますか?子供に愛情を注げますか?
「それはそれだと思うよ。セージ向けの愛と、子供向けの愛は違うから」
 はっきり言うと、夜は一人で寝たいんですよ‼僕は今まで兄弟やお弟子さん達と雑魚寝して来たから一人で寝てみたいんです‼
「え?あのムサい連中の中で寝てたの?貞操は守れたの?」
 何の心配をしているのか知りませんが、一人で寝られる時間を頂けませんか?
「う~…ん」
 と、腕組みして、ヒナギク様が唸り出す…
「寝ている最中は裸でいてくれるなら…」
 それって夜這い掛けに来ますよね?
「最低、下半身だけでも露出して‼」
 だから、夜這い前提ですよね?
「大丈夫。寝ている状態の時にヤるから。その代わり、寝る時は仰向けで、横向きは構わないけど、俯せ寝はひっくり返すの面倒だから止めてね‼朝、一緒に寝てる時もあるかもだけど気にしないで‼あと…」
 …必死なヒナギク様を前に、ダブル用の賭け布団を一枚だけ作った…

 いよいよ、僕達の家の部屋割りを行う。その前にダブルベッド用の板材を運び込み、家の中で錬成‼シングルベッド二つ分の広さのコの字型の椅子が完成。あ、テーブルとセットの椅子は要らなかったかな?
「食事用として使うので必要でしょう」
 …じゃあ、こっちはベッド専用として使いましょう…
家自体は二階建て。階段だけは付けてあるが、位置を変える事も可能。現状は奥の壁際に設置している。
「階段はそのままで構いません」
 ヨシノさんの意見。と言うのも二階は使用人の部屋と言う事で、ヨシノさんが譲らなかったのだ。そこまで言うなら…と、まずは、ヨシノさんの部屋を造る。二階は三部屋分に分ける予定なので廊下と部屋をまず分けて、大体三等分になる辺りに壁を建てる。階段に一番近い部屋にベッド用のコの字板を持ち込み、窓の位置のヨシノさんの要望で決める。
「ここが良いですね」
 東側の壁際にベッドが並べられ、陽光が入り易い位置に窓を開ける。換気も兼ねているので、西側の廊下の壁にも窓用の穴を開ける。廊下との出入りは引き戸タイプ。ドアタイプは要望があれば作る予定。意外に蝶番の錬成が面倒だったので…窓枠を木質材で嵌め込み、同時にガラス板を嵌め込んだ引き戸も嵌め込む。
「ガラス窓にするんですか⁈」
 あ、こっちの世界じゃあんまり流通してなかったか…錬成するのに、それ程手間が掛からなかったので、気にしないで下さい…鍵は棒状のネジ構造。防犯と言うより風対策。鍵の説明をしていると、ヒナギク様が布団を持って入って来る。
「ヒナギク様‼その様な事は私が後で…」
「この位はさせてよ‼」
 そんなやり取りの合間に、布団を作った時の余りで作ったカーテンを吊るす。
 これで、最低限の生活が出来る部屋になった。
「あ、ベッドの板材を分けて頂きませんか?厚さは一センチくらいで幅は三十センチ…」
 必要な物があれば、僕が作りますけど?
「いえ。ここまでしていただけたら、後は自作しますので」
 とりあえず、要望通りの大きさの板を要望枚数だけ錬成。あと工具として手持ちのハンマーと釘を要求された。工具類の管理は厳重に願います。

 一階に戻り、僕達の寝室とリビング・キッチンの位置を決める。僕達の寝室は入口東側。玄関ドアを開けて、邪魔にならない位置に出入口を開ける。奥行きは家の三分の二程、ちょうどヨシノさんの部屋の領域外。ベッドの位置を決め同様に窓を開ける。ちなみに、枕の方向はヨシノさんは東向きだが、僕達は南向き。ここで一手間の防音対策‼安眠対策と言うよりは音漏れ対策で、吸音系ではなく防音系にする。まぁ、壁を二重構造にするだけなので、手間ではないが、部屋が若干狭くなる…許容範囲内と妥協‼窓も二重構造にして防音を完全にする‼…それでも、声は漏れるんだろうなぁ…
 次にキッチン。流し場と調理台、竈の位置を決める。ここで一旦、ヨシノさんを呼び出す。ヒナギク様や僕も料理はするが、この家のキッチンはヨシノさんの領域。なので、彼女の使い易い配置にしないといけない。まずは、水汲み用の裏口を開けて、近くに井戸を設置。次に流し場と排水用の穴も開ける。この穴は他の設備を設置してから川の方に繋げる予定。流し場の隣に調理台を設置。ヨシノさんの動きやすい位置に竈を設置し煙突も建てる。煙突がないと家の中が煤だらけになる。あとはリビングとの間に仕切りを立てるかどうかなんだけど…
「お手間を取らせるのも何なので不要です」
 キッチン道具を吊るすフックを壁に埋め込み、キッチンは完成‼あ、暗いから窓は欲しいですよね…忘れていました…

 最後にリビング‼なのだが、ここは一階の余ったスペースがそのままリビングになる。大きめの四つ脚丸テーブルと椅子が三つ置かれ、テーブルの中央部天井に魔法の光を置く為の燭台を吊るすフックを設置。西側に大きめのガラス窓、南側にも小さなガラス窓を付けて、各窓にはカーテンを取り付ける。ただ、南側は嵌め殺しで採光専用、換気は玄関ドアを開け放つか、西側の窓を開けて行う。
「形になったね‼」
 魔法の燭台を吊るし終えたヒナギク様が、テーブルの上で歓喜の声を挙げる。
 …他は生活しながら揃えていこうかな…そんな事を思い、ヒナギク様に目線を向ける…
 ヒナギク様には狭いかも知れないが、僕達の家になった。
「早速、このキッチンでお料理作っても良いですか?」
 ヨシノさんが張り切って、腕まくりをしている。
 …こうして、この家で初めての食事を、僕達は美味しく頂いた…
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