3 / 19
3・西陰生化学研究所
しおりを挟む
藍は『ブルふぇに』マニアである。
…彼女が『青い不死鳥の物語』に興味を持ったのは小学一年生の時に友達と一緒に見たリバイバルの2Dアニメ映画だった。当時の友達が大人ぶって「見たい‼」と言うので付き合ったのだが、超能力のなかった時代の描写や、現在の世界情勢の根源となった出来事、更に主人公の葵のキャラクターに見事にハマり、すぐに両親に原作小説のダウンロードをおねだり。人生で初めてと言って良い『一生のお願い』を行使してしまった。
大学に入り、『青い不死鳥の物語』研究会を発足。四年の夏休みに、合宿と称した聖地巡礼を行う程に、のめり込み、現在、藍の居る場所も何度か訪れていた。
「?」
青い鳥の姿の思念体がそこにあった。色が真っ青で種類は不明だが、鳥である。ただ、その場に留まっている訳でなく、あちこち動き回っている。
…いかにも怪しい…こんな鳥の思念体は今まで見たことがない…
この手の思念体には害意はないが、内部に濃密な記憶が詰まっている事が多い。
「…触れないわけには、いかないかぁ…」
動きのパターンを読んで、最も長く停止している所で、藍は思念体に触れると、意識が強制的に思念体の中の世界に引き込まれる…
時刻は午後七時ごろ…周囲には他の建物がない工業団地の一角に『西陰生化学研究所』の看板を掲げた三階建てのビルがあり、屋上の一角にブルーシートが垂れているのが見える…葵達はそのビルの正面玄関前に佇んでいた…この『西陰生化学研究所』は、近くの大学から依頼された動植物を使った試薬実験が主な事業内容で、品種改良された食用・観賞用種苗の開発・飼育、有機廃棄物からの肥料用物質の高効率抽出法の開発、病害虫用薬品の開発・試験等も請け負っている。自社ブランド品は発売しておらず、完全なる下請け…創業は二十年の中堅企業と言うのが表の顔。裏では国家主導…主に厚生労働省や防衛相御用達の一般的倫理規定をぶっちぎりで抵触する人体実験を行っている国内随一の研究施設として、その界隈では有名であり、緑が脱走した施設だった。
「職員さん達、帰っちゃってね?」
外灯こそ付いているが、擦りガラス越しの建物中の灯りがない事に、茜がぼやく。
「だれかは居るよ」
そんな茜を他所に、葵は監視カメラに手を伸ばす。この行為によって、葵達の姿や見た人の記憶、更に、葵達の写っている映像の記録まで消去される。
「何してんの?」
そんな事を知らない茜が問うと、
「目暗まし」
手を下ろし、念動力で自動ドアの電源をオン。
「これで警報は鳴らないよ」
率先して、建物の中に足を踏み入れる。
幾つかの隔離区画の電子ロックを手を翳すだけで開けると、一回奥にある地下に延びる階段に向かう。ここの入口の最重要隔離区画の電子ロックも手を翳して開け放つと、冷房の冷たい空気と、何かの薬品らしい異臭が吹き上がって来る。
構う事なく、葵は階段を下りる…
「あ」
踊り場を回ると、手前のドアから灯りが漏れている事を確認…駆け足で降りると、電子ロックなど気にする事なく、ドアを開け放つ。
「おじいちゃん達‼」
部屋には縦に並べた長机を向こう側に二人、手前側に一人の老人が囲んでいる。詳細は手前の一人は黒髪に白髪のメッシュが数束混じりの薄ハゲで、奥の二人は完全禿げ頭と、全白髪頭。テレビのニュース番組を、食事を摂りながら眺めている。
「誰だね?」
手前の薄ハゲ老人が立ち上がって対応。他の二人も食事を中断する…
「あたし‼萌黄‼」
自分を指差す葵が、幼い頃の葵の幻視を自分の顔に重ねる…
「お…おおおお‼萌黄ちゃんか‼」
対応した薄ハゲ老人が驚きと歓喜の声を挙げ、他の二人も喜びの表情を見せて立ち上がる。まぁ、付いて来た二人には分かっていなかったが、『萌黄』は彼らと出会った当時の葵の名前である。勿論、『萌黄』も彼女の本当の名前ではない。
周囲を警戒して、老人たちは葵達を部屋に招き入れ、手前に座っていた老人が奥に、あらかじめ置かれていた手前側のパイプ椅子に葵達が座る…
「幾つになったんだったか?」
「元気にしておるか?」
「好き嫌いなく、食べておるか?」
口々に葵を心配する言葉が漏れるが、
「ストップ‼」
葵が制すると、老人たちが一斉に押し黙る。これは超能力ではなく、ただの口頭注意…と言うか、彼女の見た目で、絶対に出て来るであろう言葉を遮りたかっただけだったが、
「胸は膨らんでないでしょ?」
葵の胸板をバンバンと叩く茜の言葉とデリカシーのない笑顔に、
「それは言わない約束‼」
中空でデコピンを放つと、「あた‼」と声を挙げ、茜の頭が頭部に反り返る。
ちなみに、この地下降下からのシーンで、三老人の台詞から続くコミカルなシーンは、原作には書かれていないが、映像化に際しては、必須で入っている。
他の二人の紹介と、一頻りの雑談の後、葵が本題に入る。
いわく、彼女達と超能力関係者との急な接触の理由。まぁ、緑の場合は襲撃だったが、葵の場合は連絡員として危険な能力を持った者が向かわされた。
『マンイーター』と呼ばれる彼女が放たれた事で、焦った葵が接触すると、『西蔭生化学研究所』に保管されていた葵の血液…通称『不死鳥の血』が小分けにされて外部に放出されたと言われる。原因は経営難。厚労省案件が事情を知らない公安に目を付けられ、裏側案件が半減。経営が立ち行かなくなったらしい。その当時、ただ一人の超能力者の遺伝子を含む葵の血が売却された理由の一つとして、現在の経営者が超能力方面に力を入れていない事もあったが…
葵が自らの血を供出する切っ掛けは仲良くなったこの三老人の身の安全の為だった。海辺で保護された時に、超能力者であっても偏見なく普通の子供として接してくれた事で、葵は三人に気を許す事にした。
ここで、もう一人…と言うかもう一匹、葵に心を許していた存在が登場する。ウサネコである。体のつくり自体はネコベースで、前足先はウサギ的で毛に覆われ、後ろ足先はネコ的な肉球露出、顔はネコ系の真っ直ぐ視線だが、長いウサ耳を持ち、尻尾は先が丸まったネコ系ロング…『西陰生化学研究所』謹製のキメラである…まぁ、ただ、カワイイだけの生き物で、愛玩動物以外の何者でもないが、葵からすれば、周りをじじぃ共に囲まれた中での精神的癒しではあった…「え?やだ!カワイイ‼」と姿を現したと同時に、茜と緑を虜にするも、懐いて来るのは葵だけ…葵が抱えて二人に抱かせるシーンは静止画スライドにキラキラエフェクトが施された場面が殆どである…ちなみに、実写版でウサネコが登場するのは第四作目以降で最新技術・配線露出なしの完全遠隔操作アニマトロニクスロボットが登場。以降の作品で、毎回、最新技術を搭載し話題を集めている。ちなみに、それ以前は、ウサネコの代わりにウサギがネコのどちらを登場させているが…
「‼」
和やかな雰囲気を破壊する爆発音と急激な揺れ。明らかにこの建物内の異変。先日の緑の脱走とは違う揺れであると老人の一人が答えると、ドア手前に座る緑がドアを開ける。 …開け放つと同時の薬品異臭以上の焼ける臭い…少し後に白い煙が漂って来る…それ以上に葵は多くの思念の波に襲われる。助けを求める…と言うより、ただ会いたい…言語でも映像でもない原初の情念とでも言えば良いか…緑にあった時の感覚と似ているが、より親和性が高く感じるのは………見ないと分からない…いや、見なくとも分かるが、見たいとは思わない…とにかく、異常の原因を探る為、葵と緑が煙の溢れる地下二階、茜と三老人は避難の為に上へと避難する。
地下二階の廊下手前のドアから煙が群れ出ている。半開きのドアから誰かが伸ばした手が倒れている。ほぼ一足跳で地下二階に降り立つと、目の前のドアを開け放ち部屋の中を見ると、足元に頭部を弾け飛ばされた男性、奥にも数人の遺体らしきモノが横たわっており、机に置かれたパソコンや測定器の幾つかから火と煙が上がっている。天井のスプリンクラーが作動していないのは葵たち以外の超能力者が関わっている様だ…
何より、階段奥側に広がる光景に緑が息を飲み、葵は嫌悪感を露に睨み付ける。
…建物の敷地いっぱい…駐車場の領域まで広がる一面に、直径六十センチ程の培養槽…その中に入っているのは痩身の人型…髪が伸び放題で全身を覆う程…そんな人型が目を見開き、こちらに向かって何かを叫んでいる…天井の所々に回るパトランプの灯りの中、培養槽のガラス面をバンバンと叩く人型は葵にそっくりだった…
「…ま…」
言語的に響く念話が葵の聴覚神経に直接飛び込んでくる。その言葉の意味も、ここにいる培養槽の人型が何者なのかも、充分に分かっている。
葵のクローンだ。
…未だ続く緑の驚愕と葵の憎悪感…現状で生きている二人の感情が支配する空間に、「ま‼」の声と共に手近の培養槽が破裂する。培養槽の中に居た葵のクローンが床に落下し、痛みを気にする事なく、葵へと這って近付く…
「…ま…ま…ま…」
その声を発しながら近付く彼女の純粋な感情が煩わしくもありながら、その純粋さ故の庇護欲が、少しずつ搔き立てられていく…ここに着いたから何かある訳でもない…その命を燃やしてでも、葵の元に向かうクローン…彼女が待ち受ける体勢の葵の胸に抱き留められる…満足げな笑顔のクローン…すでに息も心臓の鼓動もない…
…その後も培養槽から出て来る葵のクローンが「ま」の声を発しつつ、葵の元へと向かって来る…連呼される「ま」の響きが部屋の中を支配する中、可燃性のガスが引火し、天井や壁材を焼き始める。
「やばい‼」
ハっとなった二人が部屋から脱出。この描写で、葵クローンの胸元に手を組ませて静かに立ち去るシーンと、放り投げて階段に向かうシーンがあるが、文章的に「立ち去った」としか書かれていないので、実際は分からない。
地上一階まで駆け上がると、出口まで向かう事、五歩・六歩…既に警報が鳴り響いている。そこに一つの研究室から女性が飛び出す。三十代後半から四十代前半程の白衣の女性…いかにもな女性研究者でノーメイク、白衣もしわくちゃで、両のポケット膨らんでいる…ただ、メガネは必須で、髪は後ろに項から一本に纏められ、頬がこけている所為か、ヒステリックにも見える…転倒した際にポケットから出て来るモノは、USBやメモリーカード等の記録媒体、ゼリー飲料やお菓子、サプリメント等が出て来ると言う演出があるが、転倒しないで衝突、通過後に彼女に気付いたり、通過前に見つけたりの場合もある。
いずれにせよ、その女性研究員が緑の母親。
まず、転倒時でも衝突時でもスルーでも始まるのは八つ当たり。超能力研究の規模縮小や上司・他の研究員との軋轢を罵倒し、緑の脱走の話で吊るし上げられて四面楚歌だと吐き捨てる。ここで、彼女が緑の母親だと判明し、緑が告白。だが、母親は彼女の存在を抹消したいらしく、産んだ直後に研究所に緑を提供。その後に研究一本…とはいかず、父親が子供に会わせろと脅迫。同じ研究員だった彼は緑の母親が妊娠している事は分かっていた。と言うか、彼女をわざと妊娠させた。研究所内の派閥争いで彼女が邪魔になったかららしい。だが、出産予定日の破水寸前まで実験に立ち会い、研究所の空き部屋で出産、自ら処置し、その場で緑を研究所に提供、そのまま研究を続行した事に他の研究員は狂気を覚え、緑の母親の周囲から人が遠ざかってしまった…勿論、離れて行った人物の中には緑の父親も含まれていたが…
そんな経緯もあって、母親は緑に対して厳しく叱責する。
ポケットの中のモノを緑にぶつけ、ビンタ、殴打、蹴りの応酬…突き飛ばして緑を転ばせるまで、今までの経緯を語り尽くすと、
「何で死なないのよ⁈」
尻餅ついただけの緑に吐き捨てるが、緑の精神的ダメージは大きく、ただただ震えながら、母親に縋る目線を向ける…
だが、
「ぐぶぅ‼」
突然、口元を押さる緑母。抑え込んだはずの手の隙間から夕飯として食べたであろうゼリー飲料やカップ麺が未消化のまま溢れ出す。
「な、なんだ?これ…いたっ…まずっ‼」
その場で倒れ込み、目元を手で覆い出す彼女は、涙と鼻水と涎を巻き散らしながら、その場でジタバタ転げ回り、胃に残っていない食物と、肺に残っている空気を吐き出す勢いで、咳き込み始める。
「娘が味わった苦しみだ‼」
葵はクローンから得た情報を元に、緑母の顔面に培養液の味、臭いといった粘膜系接触感覚を張り付けた。通常の空気を呼吸し、安心安全な食べ物を口にしている者にとって、培養液の味、臭気はとても耐えられない代物である。
生まれてすぐに培養液に落とされた緑にとっても相当の不快感だっただろうが、月日が流れ、何も考えなくて良い…ただ生きるだけの時間の中では、これらの不快感も刺激として許容できるだけの感性を、緑は持っていた…ただ、葵の超能力遺伝子を取り入れ、葵の存在を知った事で緑は完全なる自我に目覚め、この不快な状況を脱する事を優先し、出来るだけ遠くに離れたいとの思いで、そのまま研究所から脱走。同じ能力を持つ者の所までそう遠くない事を察知し、葵と接触…彼女の本能に従った行動でしかなかったが、その判断は正しかったのだろう…
「あんた達、まだ居たの⁈」
と、階段から降りて来た茜が、脱出を急かす。彼女に必要なデータが入っているノートパソコンを抱えている。
ふと、足元に咳き込む声が聞こえ、茜が目を向ける。
「…ああ…」
葵の怒りを買ったのだろうと、容易に判断し、茜が先に出口に駆け出す。
「行こう」
そして、緑の手を取って、葵は出口に向かい、足元に転がる母を目で追いつつ、緑も葵と同じ速さで駆け出す…
研究所から出て、葵達は緑の能力で『西陰生化学研究所』を地下に沈めた。これは緑の特殊能力で彼女達は『沈下』と呼んでおり、念動と転移を併せた能力らしい…映像化の折、葵だった緑が血を地面の吸わせた能力だが、いくら地面に液体が沁み込むとは言え、急速に浸透する事は有り得ないと検証段階での指摘があった。なので、冒頭の血液浸透シーンを『沈下』として、設定に加える事となった。実際、『沈下』の能力を持った人物に、血液に似た液体を地面に吸わせる検証を行った結果、ルミノール反応すら現れない程の隠蔽能力がある事が判明している。
沈みゆく研究所を眺めながら、正面玄関に待機している一同…玄関が地面に沈むまでの間に出て来た者はいない…つまり、緑の母親も研究所と共に沈下していった…このシーンは原作では、緑が沈黙で見据えている…とあるが、映像化作品では台詞がある場合もある。このセリフの挿入は出版社からの許諾を得ているが、統一性がない。「ありがとう」「ごめんなさい」「あなたに愛されたかった」とあるが、「さようなら」が大多数である。
それから、葵達は新たな拠点となる鳳家の祖母が暮らし、一時期、葵も身を寄せていた南東北の一軒家に向かう…
これで、第三章は終わる。
「あたしの存在が彼女に負担になったのかなぁ」
…青い鳥の思念体にあったのは、このメッセージだけだった…
ほんの一瞬で現実の感覚に戻った事に、藍は安堵した。と同時に、この地が葵に関係した場所である事を藍に確信させた。とは言え、この検証結果が依頼主の求めている結果ではない事も藍は理解している。
「調査は続行致します。」
レポートの最後の文章をその言葉で結び、藍は吐息を漏らす。
ここは藍の探偵事務所、『サーチアイ探偵事務所』。偉そうな、両袖に引き出しがある、横に広い机もあるが、その前に置かれている汎用事務机上のデスクトップパソコンに向かい、『青い不死鳥の物語』のレポートを打ち込んでいる。まぁ、打ち込んでいるとは言っても、念動力でのタイピングだが…
…親子関係の描写があるのは、この第三章だけである。かなり特殊な上に、親子とも言えない関係であったが…ただ、葵の本当の両親については、本編には一切書かれていない。これは作者と作者の親が不仲だったと言う訳ではなく、作者の記憶にすら、葵の親が存在しないからである。作者としては出来る限り、偽証も誇張もしたくなかったからなのかも知れない…『青い不死鳥の物語』は親子の物語ではなく、友情の物語である事の証だろう…まぁ、藍にとって『孤独』な少女の物語と感じられていたのだが…
…彼女が『青い不死鳥の物語』に興味を持ったのは小学一年生の時に友達と一緒に見たリバイバルの2Dアニメ映画だった。当時の友達が大人ぶって「見たい‼」と言うので付き合ったのだが、超能力のなかった時代の描写や、現在の世界情勢の根源となった出来事、更に主人公の葵のキャラクターに見事にハマり、すぐに両親に原作小説のダウンロードをおねだり。人生で初めてと言って良い『一生のお願い』を行使してしまった。
大学に入り、『青い不死鳥の物語』研究会を発足。四年の夏休みに、合宿と称した聖地巡礼を行う程に、のめり込み、現在、藍の居る場所も何度か訪れていた。
「?」
青い鳥の姿の思念体がそこにあった。色が真っ青で種類は不明だが、鳥である。ただ、その場に留まっている訳でなく、あちこち動き回っている。
…いかにも怪しい…こんな鳥の思念体は今まで見たことがない…
この手の思念体には害意はないが、内部に濃密な記憶が詰まっている事が多い。
「…触れないわけには、いかないかぁ…」
動きのパターンを読んで、最も長く停止している所で、藍は思念体に触れると、意識が強制的に思念体の中の世界に引き込まれる…
時刻は午後七時ごろ…周囲には他の建物がない工業団地の一角に『西陰生化学研究所』の看板を掲げた三階建てのビルがあり、屋上の一角にブルーシートが垂れているのが見える…葵達はそのビルの正面玄関前に佇んでいた…この『西陰生化学研究所』は、近くの大学から依頼された動植物を使った試薬実験が主な事業内容で、品種改良された食用・観賞用種苗の開発・飼育、有機廃棄物からの肥料用物質の高効率抽出法の開発、病害虫用薬品の開発・試験等も請け負っている。自社ブランド品は発売しておらず、完全なる下請け…創業は二十年の中堅企業と言うのが表の顔。裏では国家主導…主に厚生労働省や防衛相御用達の一般的倫理規定をぶっちぎりで抵触する人体実験を行っている国内随一の研究施設として、その界隈では有名であり、緑が脱走した施設だった。
「職員さん達、帰っちゃってね?」
外灯こそ付いているが、擦りガラス越しの建物中の灯りがない事に、茜がぼやく。
「だれかは居るよ」
そんな茜を他所に、葵は監視カメラに手を伸ばす。この行為によって、葵達の姿や見た人の記憶、更に、葵達の写っている映像の記録まで消去される。
「何してんの?」
そんな事を知らない茜が問うと、
「目暗まし」
手を下ろし、念動力で自動ドアの電源をオン。
「これで警報は鳴らないよ」
率先して、建物の中に足を踏み入れる。
幾つかの隔離区画の電子ロックを手を翳すだけで開けると、一回奥にある地下に延びる階段に向かう。ここの入口の最重要隔離区画の電子ロックも手を翳して開け放つと、冷房の冷たい空気と、何かの薬品らしい異臭が吹き上がって来る。
構う事なく、葵は階段を下りる…
「あ」
踊り場を回ると、手前のドアから灯りが漏れている事を確認…駆け足で降りると、電子ロックなど気にする事なく、ドアを開け放つ。
「おじいちゃん達‼」
部屋には縦に並べた長机を向こう側に二人、手前側に一人の老人が囲んでいる。詳細は手前の一人は黒髪に白髪のメッシュが数束混じりの薄ハゲで、奥の二人は完全禿げ頭と、全白髪頭。テレビのニュース番組を、食事を摂りながら眺めている。
「誰だね?」
手前の薄ハゲ老人が立ち上がって対応。他の二人も食事を中断する…
「あたし‼萌黄‼」
自分を指差す葵が、幼い頃の葵の幻視を自分の顔に重ねる…
「お…おおおお‼萌黄ちゃんか‼」
対応した薄ハゲ老人が驚きと歓喜の声を挙げ、他の二人も喜びの表情を見せて立ち上がる。まぁ、付いて来た二人には分かっていなかったが、『萌黄』は彼らと出会った当時の葵の名前である。勿論、『萌黄』も彼女の本当の名前ではない。
周囲を警戒して、老人たちは葵達を部屋に招き入れ、手前に座っていた老人が奥に、あらかじめ置かれていた手前側のパイプ椅子に葵達が座る…
「幾つになったんだったか?」
「元気にしておるか?」
「好き嫌いなく、食べておるか?」
口々に葵を心配する言葉が漏れるが、
「ストップ‼」
葵が制すると、老人たちが一斉に押し黙る。これは超能力ではなく、ただの口頭注意…と言うか、彼女の見た目で、絶対に出て来るであろう言葉を遮りたかっただけだったが、
「胸は膨らんでないでしょ?」
葵の胸板をバンバンと叩く茜の言葉とデリカシーのない笑顔に、
「それは言わない約束‼」
中空でデコピンを放つと、「あた‼」と声を挙げ、茜の頭が頭部に反り返る。
ちなみに、この地下降下からのシーンで、三老人の台詞から続くコミカルなシーンは、原作には書かれていないが、映像化に際しては、必須で入っている。
他の二人の紹介と、一頻りの雑談の後、葵が本題に入る。
いわく、彼女達と超能力関係者との急な接触の理由。まぁ、緑の場合は襲撃だったが、葵の場合は連絡員として危険な能力を持った者が向かわされた。
『マンイーター』と呼ばれる彼女が放たれた事で、焦った葵が接触すると、『西蔭生化学研究所』に保管されていた葵の血液…通称『不死鳥の血』が小分けにされて外部に放出されたと言われる。原因は経営難。厚労省案件が事情を知らない公安に目を付けられ、裏側案件が半減。経営が立ち行かなくなったらしい。その当時、ただ一人の超能力者の遺伝子を含む葵の血が売却された理由の一つとして、現在の経営者が超能力方面に力を入れていない事もあったが…
葵が自らの血を供出する切っ掛けは仲良くなったこの三老人の身の安全の為だった。海辺で保護された時に、超能力者であっても偏見なく普通の子供として接してくれた事で、葵は三人に気を許す事にした。
ここで、もう一人…と言うかもう一匹、葵に心を許していた存在が登場する。ウサネコである。体のつくり自体はネコベースで、前足先はウサギ的で毛に覆われ、後ろ足先はネコ的な肉球露出、顔はネコ系の真っ直ぐ視線だが、長いウサ耳を持ち、尻尾は先が丸まったネコ系ロング…『西陰生化学研究所』謹製のキメラである…まぁ、ただ、カワイイだけの生き物で、愛玩動物以外の何者でもないが、葵からすれば、周りをじじぃ共に囲まれた中での精神的癒しではあった…「え?やだ!カワイイ‼」と姿を現したと同時に、茜と緑を虜にするも、懐いて来るのは葵だけ…葵が抱えて二人に抱かせるシーンは静止画スライドにキラキラエフェクトが施された場面が殆どである…ちなみに、実写版でウサネコが登場するのは第四作目以降で最新技術・配線露出なしの完全遠隔操作アニマトロニクスロボットが登場。以降の作品で、毎回、最新技術を搭載し話題を集めている。ちなみに、それ以前は、ウサネコの代わりにウサギがネコのどちらを登場させているが…
「‼」
和やかな雰囲気を破壊する爆発音と急激な揺れ。明らかにこの建物内の異変。先日の緑の脱走とは違う揺れであると老人の一人が答えると、ドア手前に座る緑がドアを開ける。 …開け放つと同時の薬品異臭以上の焼ける臭い…少し後に白い煙が漂って来る…それ以上に葵は多くの思念の波に襲われる。助けを求める…と言うより、ただ会いたい…言語でも映像でもない原初の情念とでも言えば良いか…緑にあった時の感覚と似ているが、より親和性が高く感じるのは………見ないと分からない…いや、見なくとも分かるが、見たいとは思わない…とにかく、異常の原因を探る為、葵と緑が煙の溢れる地下二階、茜と三老人は避難の為に上へと避難する。
地下二階の廊下手前のドアから煙が群れ出ている。半開きのドアから誰かが伸ばした手が倒れている。ほぼ一足跳で地下二階に降り立つと、目の前のドアを開け放ち部屋の中を見ると、足元に頭部を弾け飛ばされた男性、奥にも数人の遺体らしきモノが横たわっており、机に置かれたパソコンや測定器の幾つかから火と煙が上がっている。天井のスプリンクラーが作動していないのは葵たち以外の超能力者が関わっている様だ…
何より、階段奥側に広がる光景に緑が息を飲み、葵は嫌悪感を露に睨み付ける。
…建物の敷地いっぱい…駐車場の領域まで広がる一面に、直径六十センチ程の培養槽…その中に入っているのは痩身の人型…髪が伸び放題で全身を覆う程…そんな人型が目を見開き、こちらに向かって何かを叫んでいる…天井の所々に回るパトランプの灯りの中、培養槽のガラス面をバンバンと叩く人型は葵にそっくりだった…
「…ま…」
言語的に響く念話が葵の聴覚神経に直接飛び込んでくる。その言葉の意味も、ここにいる培養槽の人型が何者なのかも、充分に分かっている。
葵のクローンだ。
…未だ続く緑の驚愕と葵の憎悪感…現状で生きている二人の感情が支配する空間に、「ま‼」の声と共に手近の培養槽が破裂する。培養槽の中に居た葵のクローンが床に落下し、痛みを気にする事なく、葵へと這って近付く…
「…ま…ま…ま…」
その声を発しながら近付く彼女の純粋な感情が煩わしくもありながら、その純粋さ故の庇護欲が、少しずつ搔き立てられていく…ここに着いたから何かある訳でもない…その命を燃やしてでも、葵の元に向かうクローン…彼女が待ち受ける体勢の葵の胸に抱き留められる…満足げな笑顔のクローン…すでに息も心臓の鼓動もない…
…その後も培養槽から出て来る葵のクローンが「ま」の声を発しつつ、葵の元へと向かって来る…連呼される「ま」の響きが部屋の中を支配する中、可燃性のガスが引火し、天井や壁材を焼き始める。
「やばい‼」
ハっとなった二人が部屋から脱出。この描写で、葵クローンの胸元に手を組ませて静かに立ち去るシーンと、放り投げて階段に向かうシーンがあるが、文章的に「立ち去った」としか書かれていないので、実際は分からない。
地上一階まで駆け上がると、出口まで向かう事、五歩・六歩…既に警報が鳴り響いている。そこに一つの研究室から女性が飛び出す。三十代後半から四十代前半程の白衣の女性…いかにもな女性研究者でノーメイク、白衣もしわくちゃで、両のポケット膨らんでいる…ただ、メガネは必須で、髪は後ろに項から一本に纏められ、頬がこけている所為か、ヒステリックにも見える…転倒した際にポケットから出て来るモノは、USBやメモリーカード等の記録媒体、ゼリー飲料やお菓子、サプリメント等が出て来ると言う演出があるが、転倒しないで衝突、通過後に彼女に気付いたり、通過前に見つけたりの場合もある。
いずれにせよ、その女性研究員が緑の母親。
まず、転倒時でも衝突時でもスルーでも始まるのは八つ当たり。超能力研究の規模縮小や上司・他の研究員との軋轢を罵倒し、緑の脱走の話で吊るし上げられて四面楚歌だと吐き捨てる。ここで、彼女が緑の母親だと判明し、緑が告白。だが、母親は彼女の存在を抹消したいらしく、産んだ直後に研究所に緑を提供。その後に研究一本…とはいかず、父親が子供に会わせろと脅迫。同じ研究員だった彼は緑の母親が妊娠している事は分かっていた。と言うか、彼女をわざと妊娠させた。研究所内の派閥争いで彼女が邪魔になったかららしい。だが、出産予定日の破水寸前まで実験に立ち会い、研究所の空き部屋で出産、自ら処置し、その場で緑を研究所に提供、そのまま研究を続行した事に他の研究員は狂気を覚え、緑の母親の周囲から人が遠ざかってしまった…勿論、離れて行った人物の中には緑の父親も含まれていたが…
そんな経緯もあって、母親は緑に対して厳しく叱責する。
ポケットの中のモノを緑にぶつけ、ビンタ、殴打、蹴りの応酬…突き飛ばして緑を転ばせるまで、今までの経緯を語り尽くすと、
「何で死なないのよ⁈」
尻餅ついただけの緑に吐き捨てるが、緑の精神的ダメージは大きく、ただただ震えながら、母親に縋る目線を向ける…
だが、
「ぐぶぅ‼」
突然、口元を押さる緑母。抑え込んだはずの手の隙間から夕飯として食べたであろうゼリー飲料やカップ麺が未消化のまま溢れ出す。
「な、なんだ?これ…いたっ…まずっ‼」
その場で倒れ込み、目元を手で覆い出す彼女は、涙と鼻水と涎を巻き散らしながら、その場でジタバタ転げ回り、胃に残っていない食物と、肺に残っている空気を吐き出す勢いで、咳き込み始める。
「娘が味わった苦しみだ‼」
葵はクローンから得た情報を元に、緑母の顔面に培養液の味、臭いといった粘膜系接触感覚を張り付けた。通常の空気を呼吸し、安心安全な食べ物を口にしている者にとって、培養液の味、臭気はとても耐えられない代物である。
生まれてすぐに培養液に落とされた緑にとっても相当の不快感だっただろうが、月日が流れ、何も考えなくて良い…ただ生きるだけの時間の中では、これらの不快感も刺激として許容できるだけの感性を、緑は持っていた…ただ、葵の超能力遺伝子を取り入れ、葵の存在を知った事で緑は完全なる自我に目覚め、この不快な状況を脱する事を優先し、出来るだけ遠くに離れたいとの思いで、そのまま研究所から脱走。同じ能力を持つ者の所までそう遠くない事を察知し、葵と接触…彼女の本能に従った行動でしかなかったが、その判断は正しかったのだろう…
「あんた達、まだ居たの⁈」
と、階段から降りて来た茜が、脱出を急かす。彼女に必要なデータが入っているノートパソコンを抱えている。
ふと、足元に咳き込む声が聞こえ、茜が目を向ける。
「…ああ…」
葵の怒りを買ったのだろうと、容易に判断し、茜が先に出口に駆け出す。
「行こう」
そして、緑の手を取って、葵は出口に向かい、足元に転がる母を目で追いつつ、緑も葵と同じ速さで駆け出す…
研究所から出て、葵達は緑の能力で『西陰生化学研究所』を地下に沈めた。これは緑の特殊能力で彼女達は『沈下』と呼んでおり、念動と転移を併せた能力らしい…映像化の折、葵だった緑が血を地面の吸わせた能力だが、いくら地面に液体が沁み込むとは言え、急速に浸透する事は有り得ないと検証段階での指摘があった。なので、冒頭の血液浸透シーンを『沈下』として、設定に加える事となった。実際、『沈下』の能力を持った人物に、血液に似た液体を地面に吸わせる検証を行った結果、ルミノール反応すら現れない程の隠蔽能力がある事が判明している。
沈みゆく研究所を眺めながら、正面玄関に待機している一同…玄関が地面に沈むまでの間に出て来た者はいない…つまり、緑の母親も研究所と共に沈下していった…このシーンは原作では、緑が沈黙で見据えている…とあるが、映像化作品では台詞がある場合もある。このセリフの挿入は出版社からの許諾を得ているが、統一性がない。「ありがとう」「ごめんなさい」「あなたに愛されたかった」とあるが、「さようなら」が大多数である。
それから、葵達は新たな拠点となる鳳家の祖母が暮らし、一時期、葵も身を寄せていた南東北の一軒家に向かう…
これで、第三章は終わる。
「あたしの存在が彼女に負担になったのかなぁ」
…青い鳥の思念体にあったのは、このメッセージだけだった…
ほんの一瞬で現実の感覚に戻った事に、藍は安堵した。と同時に、この地が葵に関係した場所である事を藍に確信させた。とは言え、この検証結果が依頼主の求めている結果ではない事も藍は理解している。
「調査は続行致します。」
レポートの最後の文章をその言葉で結び、藍は吐息を漏らす。
ここは藍の探偵事務所、『サーチアイ探偵事務所』。偉そうな、両袖に引き出しがある、横に広い机もあるが、その前に置かれている汎用事務机上のデスクトップパソコンに向かい、『青い不死鳥の物語』のレポートを打ち込んでいる。まぁ、打ち込んでいるとは言っても、念動力でのタイピングだが…
…親子関係の描写があるのは、この第三章だけである。かなり特殊な上に、親子とも言えない関係であったが…ただ、葵の本当の両親については、本編には一切書かれていない。これは作者と作者の親が不仲だったと言う訳ではなく、作者の記憶にすら、葵の親が存在しないからである。作者としては出来る限り、偽証も誇張もしたくなかったからなのかも知れない…『青い不死鳥の物語』は親子の物語ではなく、友情の物語である事の証だろう…まぁ、藍にとって『孤独』な少女の物語と感じられていたのだが…
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる