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8・『好き』だからの理由
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作者が次に向かったのはEU圏の国家の中規模都市…藍が向かった時には日本のサブカル文化フェスが行われていた…最新のサブカルチャー作品に登場するキャラクターのコスプレ集団の中に、ただのセーラー服の女子がちらほら見える…
「…あれは、アニメ二作目の葵達だな…」
…会場から溢れた人ごみの中に見える見慣れたセーラー服の女性たちに藍は呟く…このフェスは百三十年前から開催されている伝統的なお祭りで、当初は地域起こしの一環で二・三回の開催予定だったが、思った以上の熱狂で継続決定…以降、晴海の同人誌即売会が開催場所としての機能を喪失してからは、藍が現在いるこの地がサブカルチャーの聖地の一つとして機能する事となった…
作者としては、このフェスに参加するつもりなどなく、滞在一時間程で次の取材地に向かったらしいが、この地で作者が何を見たのか…多分、藍と同じ思念体を視る能力を持ち、そこから得た情報を元に『青い不死鳥の物語』を記した…と見ていいのだろうか…?…そもそも藍は、作者の様に、葵の記憶を受け継いでいる訳ではなく、単純に、思念体を視る能力があるだけで、それ以外は現在視の千里眼と、一キロも持ち上げられない念動力、念話の送受信能力は相手次第…その他の超能力は並みか、並以下…超能力のない世界なら、驚嘆されるだろうが、現状ではまぁ、フツーの部類だろう…
「そう言えば、作者の得意な能力は非公開だったな…」
語る程の能力は持っていないと、作者は十周年インタビューで語っていたが、おそらく、文芸系の能力強化…記憶力や映像言語化能力は持っていただろう。当時の商業作家なら集団心理感応や、心理誘導も持っていただろうが…
藍達は中心市街地から二キロ程離れた工場区画に来ていた…
数年前、国内大手メーカーを誘致し、関連工場がポツポツ建ち始めている領域…
「居た」
小鳥サイズの青い鳥の思念体が路上を飛び跳ねていた…ただ、周囲には、この場には似つかわしくない、怨念に似た思念体が相当数、漂っていたが…
「この辺って、古戦場跡か?」
近くの白井に向けた…と言う訳でもない藍の言葉に、
「調べるか?」
白井が答えてしまう。
「…独り言だ…」
今度は、彼に向けた言葉を放ち、藍は青い鳥の思念体に触れる…
「君は何のコスプレしているんだ?(現地語)」
カメラを構えた数人が、葵達に声を掛けて来た。
「あ~…のぉ、こすちゅーむ、ぷれい。いっつぁ、あわー、すくーる、ゆにふぉーむ」
慣れない英語での返答が通じたのか、カメラの集団は謝罪の言葉と共に去ってくれた。ただ、サービスの意味も込めて、向けられたレンズに思いっきりポーズを決め、シャッター音を響かせていたが…
「…まさか、こんな所でこんなイベントあったとはねぇ…」
「事前に知らせてくれても良かったのに…」
咄嗟の対応に、葵達はテレパシー翻訳が出来なかったと反省するが、テレパシー翻訳にはある程度の時間、現地人との接触がないと通じないので、葵達が言語での対応が出来なかったのは、止むを得ない事だっただろうか…撮られた写真のデータを超能力で消去し、葵達はそそくさと、目的の大学の研究施設と思しき場所に向かう…
中学二年の五月連休中…数十回目の海外遠征だった。既に、数えるのも馬鹿らしい程に、葵達は『不死鳥の血』の処分を実行し、土日の休日以外に平日でも宿題の量に問題がない日は処分に出向いていた…この時期になると、穏便な譲渡要請に応じる団体がなくなり、実力での押収…と言う名の強奪が繰り広げざるを得ない状況となっていた。稀に、アジトの若い四人が駆り出される事もあったが、今回は二人で向かっている…
「…付けられてるね…?」
フェス会場や商業区画から離れ、住宅街に入ると、葵達を尾行する気配が後方から迫って来る…正直、プロの足取りではない…むしろ、覚束なさを感じる…
「どうする?」
緑の問い掛けに、
「撒いても良いけど…」
思案する葵…歩調を乱す事なく、二歩・三歩…
「そこ、曲がるよ」
念話で、一ブロック先を葵が示すと、頷く緑。
やがて、葵達が角に入ると、追跡者が慌てて駆け出す足音が響き、
「じゃあ、あたしがいくね?」
追跡者が角に飛び込むと、葵が急速ターン。距離は十メートルはあるが一跳びで、目的の人物にタックルを仕掛ける。
「…あ…」
だが、こちらの反応に驚きで動きが止まっている上に、回避どころか防御姿勢も見せない存在…完全に敵意を感じ取れない相手である事を認識するが、止まれない。
「グッ‼」
「アウ‼」
攻撃速度のまま衝突‼押し倒した上に、一メートル程、吹き飛ばしてしまう。
「…あなた…何⁈」
乱雑に倒れた追跡者の胸倉を掴み上げると、
「…ハ…ハナシ、キイテ…」
…驚きも、怯えも。敵意も、歓喜すらも見えない青年の表情から、謝罪の意思が浮かぶ声が聞こえて来る…しかも、カタコトの日本語は葵達の気を僅かに緩ませる…
「え~?それじゃあ、恋人さんが掴まっちゃっているんですか~?」
緑が前のめりで追跡者だった青年…ジョセフから話を聞き出す。
ジョセフの話によると、彼の所属している研究施設は、元々、生化学系の研究施設だったらしく、当初の超能力系の研究はごく少数の部署でのみ細々と続けられていた。それこそオカルト的な手法での超能力開発も真面目に取り組んでいたが、『不死鳥の血』の入手により状況が一変。所内の大半が超能力研究に注力し、他の研究の規模縮小もしくは取り潰しを招いた。そのまま超能力研究が隆盛を極めるかと思われたが、葵達の『不死鳥の血』強奪が契機となり、超能力研究の縮小を余儀なくされる事となる。
こうなると、反超能力研究勢力が盛り返し、超能力勢力の切り崩しと粛清が始まる。
粛清に関しては、入所してから超能力研究にのみ従事していた者が対象で、反超能力研究勢力の実験素材として活用される事となった。
ちなみに、該当する研究施設は非人道的な研究を主体とした研究を行っていた。
「因果応報」
思った言葉を飲み込む葵と、続きを促す緑…
ジョセフとそのお相手であるブレンダは超能力勢力であっても他の研究にも従事できる能力は持っていた。なので、粛清の対象にはならず、ジョセフは縮小された超能力研究部門の主任クラスの権限を持たされる事となった。勢力を大きくさせない事がジョセフの大きな役割となり、意図的に超能力研究の発表頻度を低下させる事を反超能力勢力から求められる事となった。
それでも、従来の生化学研究の延長な上に先細り感のある反超能力系研究と、細々ながらも新発見が次々と湧出する超能力研究では出資者の反応に違いが出て来る。折しも、研究所の所長は反超能力勢力に担ぎ上げられた、過去のデータを重視するタイプの研究者で、既存のデータがほぼない超能力研究に対し、研究成果への疑念と自分達の立場が追い詰められている危機感を持っていた。
「我が研究所では超能力開発は行わない‼」
所長の鶴の一声で、超能力研究部門は取り潰し。研究員は全て粛清対象となった。
その動きを事前に察知した超能力研究部門だったが、いつ命令が下っても良い様に待機していた捕縛部隊に漏れなく拘束。僅か十人程の職員たちが異形の者に変えられる。
「…それは僕も、ブレンダも…」
胸倉を掴み上げた時から感じていた、彼の吐く息に混じる血の臭いに、葵は納得した。おそらく、研究所の外に出て、何人が捕食していると…
改造を受けてなお、知能と自我を有していた事は幸いだったのか…他に知能や自我を持った実験体と協力して脱出を謀り、現状、生き残っているのは彼一人だけらしい…
「…ブレンダは研究所から連れ出せなかった…だから…会いたい…‼」
項垂れて、顔を手で覆い隠すジョセフ。そんな彼の言葉と行動に緑は燥ぎだす。と言うのも、現在、緑は恋愛に異常なまでに興味を示しており、暇さえあれば、アジトの若手四人との四角関係のドラマを勝手に妄想し、追加キャストとして、学校の若手先生を加える程に妄想を肥大させていた。そんな彼女の前でのジョセフの台詞は、緑の感性を刺激するには充分だった。「これぞ真の愛‼」と…
「行こう‼葵ちゃん‼」
涙目の緑が葵を急かす。
「…了解…」
尻を叩かれた…と言う訳ではないが、葵が研究所に向かい、歩を進める…
研究所の入口には護衛が二人、門の両側に立っている。
「…物騒なモノ、ぶら下げてるなぁ…」
彼らの手には機関銃…セーフティはフルオートを示し、いつでも発砲出来る様にグリップを握る人差し指はトリガーに掛けられている。
「どうやって中に入るんだい?」
ジョセフの言葉。彼女達は研究所を囲う壁の影から、正門の二人の護衛を覗いていた。
「そんなの正面突破でしょ?」
あっさり口調の葵。
「どっち行く?」
「じゃんけん」
二人のじゃんけん…あいこが二回続き、
「勝ち~‼」
「…分かったよ…」
葵の負け。トボトボと、正門に向かう…
「はぁい‼」
と、正門の護衛に笑顔で挨拶。
「‼」
躊躇う事なく。銃口を向かる二人。
「容赦な‼」
近くの一人の発砲と共に、射線を交わし発砲した彼に掌底を一発顎に押し込み、背後の壁に押し潰す。
「当たってないか⁈」
その光景を見て、ジョセフが声を上げるが、
「障壁‼」
もう一人が放つ銃弾が、葵の前で青い光点となって弾ける。
「SHIT‼」
装填された銃弾が尽き、銃のマガジンを排出する間に、葵が顔面にハイキック。
「トドメ‼」
一回転した勢いのままで、よろめく護衛の横頬に葵のつま先の一閃が駆け、護衛の頭が有り得ない角度に捻じ曲がる。
「はい。終わり」
勢いでも一回転し、葵は脚を降ろす。
「行きますよ」
その光景を呆然と眺めるジョセフを緑が急かす。
「あ、ああ」
緑の言葉…と言うより、彼の背を叩く無邪気な彼女の姿に我に返ったジョセフが、その場で待っている葵の下に向かう…
研究所に侵入してからも葵達の無双は続いていた。遭遇した全ての者を殴る・蹴るで蹂躙し、銃撃は障壁で、手榴弾は包囲障壁で防ぎ、研究所の深部へと歩を進める。
「地下室がある」
エレベーターのドアの前…ジョセフの言葉の中にブレンダの存在を感じ取る。
「…わかった…」
エレベーターを開けて、中に入る…
「…ブレンダ…今、行くよ…」
地下に向かう為の隠しボタンを見付けて、地下のボタンを押す…数秒、下に降りる感覚があったかと思うと、ドアが開かれる…
「う‼」
鼻を衝く糞尿臭に緑が声を上げ、葵が顔を顰める。
三人の前には、檻に入った肉色の獣…いや、元は人間だったモノがこちらに牙を向けながら、奇声を発している。手足の長さや頭の大きさ、胴体の長さが、人のそれとは相当違って見えるが、地球上の生物の基本的な構造をしている。
「…みんな…戻ったよ…」
ジョセフが手を振って見せるが、肉色の獣は威嚇の奇声を発し続ける。その奇声から発せられる意志は人の知性が感じ取れない…
「こっちだ」
そのまま、ジョセフは奥へと歩を向ける。
廊下は一本だけで、弱い灯りが一メートルごとに天井に点いている…強い光に拒絶反応を起こすモノがいる為、これが限界らしい…食事は定期的にあるらしいが、調理されていない枝肉が放り込まれるだけで、数日で骨も残らない程に喰らい尽くされる。糞尿の始末が出来ないのは清掃員が襲われる為らしい。
そんな事を語りながら、ジョセフは最奥に到着し、分厚いアクリル越しに見える赤黒い床面を見据える…
「紹介するよ。ブレンダだ。」
アクリルの向こう側に数センチの赤黒い堆積物が積もっているのが見える…が、床の表面がプルプルと震えたかと思うと、瞬時に、直径一メートル程の一塊となって、部屋の隅に集積。ただ、その姿は、ブルブルと震えながら、こちら…と言うより、ジョセフを警戒している様に見える…
「恥ずかしがらなくてイイよ…あ、でも、裸だもんな…」
冗談のつもりのジョセフの言葉だが、二人は笑えない…特に、ちょっと前まで感動の涙を零していた緑は驚愕と共に絶句している。
「…しばらく、二人きりにしてほしい…」
ジョセフの言葉。
「…あたしは、あたしの仕事をしてきていい?」
緑の肩を持って、その場から離れようとする葵に、
「…ああ…」
…頷くジョセフ…葵と緑はエレベーターに戻る…
…そこから、更に葵達の無双は続けられる…ただ、葵の攻撃の苛烈さは変わらなかったが、緑の攻撃は自分の持っている感情を振り払う様な激しさで、彼女の前に出て来た研究者や警備員は言うに及ばず、合成獣までもが過剰な念動力で圧し潰して、目的の所長室に歩を進ませる…
「貴様ら…‼『ブルーフェニックス』」か⁈」
と、護衛を脇に置いた研究所の所長と、途中の廊下で鉢合わせる。両脇の護衛はジュラルミンの大型アタッシュケースを持っているが、所長は小さいアタッシュケースを抱えている。護衛の持っているのは研究資料で、所長が所持しているのは『不死鳥の血』の専用ケースの様だ…以前の襲撃の際、何度か見た事がある…
「問答無用」
緑が両隣の護衛を念動力で潰し、葵が所長から専用ケースを強引に奪い取る。
「か、返せ‼」
追い縋る所長の腹に蹴りを入れる葵。廊下を転がり、通路の奥の壁に激突。
「超能力は研究の対象外なんでしょ?」
ケースの鍵を強引に引き千切り、中の『不死鳥の血』を取り出し、
「だったら、処分してもいいわね?」
親指で弾き上げ、宙空で赤く弾け散らせる。
「な…⁈」
所長の言葉と共に、彼の両脚の骨が緑の念動力で砕かれる。
「ぐ…がぁああ‼」
その場で苦痛の声を上げ、ジタバタと、もがき出す。
「何をする…?」
「まだ、この階の合成獣を始末していない…人が元になっているのかな?」
葵の言葉に戦慄する所長。
「彼らに理性があればいいな」
踵を返し、エレベーターのある廊下に向かう葵達…
「ま、待て‼助けてくれ‼」
葵が捜索していないエリア…所長の左通路から、合成獣の荒い気遣いが近付いて来る…
エレベーターに乗って、そのまま地下に降りる葵達。
「…?」
相変わらずの糞尿の臭いの中に、血の匂いが混じっている。
「まさか‼」
「どうしたの?」
葵が奥に駆け出し、緑が追う。
薄暗い廊下の奥に倒れている人影…間違いなくジョセフだが、腹部に出血が見える。
「何をやった⁈」
葵の叫びに、顔を挙げるジョセフ…
「…ブレンダを…食べた…」
呟くジョセフの口から零れる血液…即死ではないにせよ、致命傷を与えられた様だ…
対して、アクリルの牢の方を見ると、僅かに下に隙間が開いており、そこに挟まったブレンダの塊がある…色合いが少し前に見たより、黒味が強い上に、ピクリとも動かない…
「あんたはブレンダさんの天敵だったのかよ…‼」
「…僕の天敵も彼女だったけどね…」
むしろ、ブレンダは究極の生命体として調整された存在らしく、その行動を抑制するためにジョセフがカウンターエネミーとして調整されていたらしい…その上、ブレンダを定期的に摂取しないと、ジョセフの身体を維持できない様に調整されていたらしい…勿論、これは逃走防止の為の措置だった…
「…まさか、そんな調整をされていたとは思わなかった…」
本来なら、ブレンダの生命活動に支障が出ない程度の摂食だったが、逃走期間中に摂取していなかった為、ジョセフがブレンダを殺す程に、彼女を食べてしまった…彼女を守りたいと言う理性より、植え付けられた本能に従ってしまった。
「情けない…こんな事になるなんて…」
…そろそろジョセフの命が尽きようとしている…だが、
「…彼女を殺した事で…彼女を二度と味わえなくなった…」
いまわの際の欲望が口元から涎を垂れ、
「…僕を燃やしてくれ…彼女を食べた罪を感じて死にたい…」
贖罪と懺悔の涙が溢れて、零れ落ちる…
…地下にいた元研究員を葵達は全て始末した。
ジョセフは既に事切れている…生きている間の焼却は間に合わなかったが、ここに居た元研究員達と同じ荼毘に伏せるなら、彼の罪の意識も少しは減らせるだろう…これは葵の自己満足に過ぎない事は彼女自身分かっていたが、多分これをしないと、これから先、前に進めないと思ったから…
「じゃあ、やるよ」
目の前の肉塊に向け、葵は手を翳すと、瞬時に炎が立ち上がる…
「とんでもなかった」
…目まぐるしい展開と、容赦のない葵の超能力を駆使した戦いと、一方的な蹂躙劇を近くで見た事で、藍は疲労困憊だった…
「気持ち悪い…吐きそ…‼」
…言葉にしつつ、藍はその場に蹲って、嘔吐してしまう…
今回の調査で分かった事は葵の残忍性だろうか…いや、彼女は自衛のために止むを得ず、その能力を振るったのだろう…しかしながら、過剰であった事は否めない…この時期の葵は遅々として進まない『不死鳥の血』の処分に苛立っていたのだろう。その上、直接的に支援してくれる人員が居なかった事も相当のストレスになっていただろう…と藍はレポートに記す…
「こんな葵、後の世に流せないか」
作者もその辺を理解して、『殺し合う事を宿命づけられた恋人達』を本編に入れなかったのかも知れない。この手のバイオレンス系の主人公は飽くまで、正義でなければならない…と言う風潮は未だに根強い。まして、葵は神聖化され過ぎて、今更、ダークヒーローにはなれない…
「いや、一部で『悪魔』とは呼ばれていたか…でも、ダークヒーローと『悪魔』は根本的に違うか…ダークヒーローは結果的に悪を滅ぼすし…」
そう呟きつつ、事務所のパソコンに向かい、藍は何度も推敲を重ねた。
今回の葵は最後に火を使っていた。超能力の発火は別段、珍しい能力ではないが、葵が使うのは、彼女の名前の『あおい』と言う響きからして、どうにも違和感がある。仮に火を出すとしても、高温の青い炎だと思うが、今回の思念体の映像では、はっきりと赤い炎が見て取れた。ただ、火を使うと言う行為において、葵には少々思う所があったのかも知れない。彼女の台詞にもあった『荼毘に伏す』と言う言葉の中には、今生の穢れを焼き清めると言った意味があると葵は思っていたのだろう。他にも、神事の中に『火渡り』と言う祭事があるし、煮沸消毒に使われる水を温める為に火が一般的な時代でもあった。
これは葵が自信を清浄な存在だと思っていなかったからだろうか…?
「…あれは、アニメ二作目の葵達だな…」
…会場から溢れた人ごみの中に見える見慣れたセーラー服の女性たちに藍は呟く…このフェスは百三十年前から開催されている伝統的なお祭りで、当初は地域起こしの一環で二・三回の開催予定だったが、思った以上の熱狂で継続決定…以降、晴海の同人誌即売会が開催場所としての機能を喪失してからは、藍が現在いるこの地がサブカルチャーの聖地の一つとして機能する事となった…
作者としては、このフェスに参加するつもりなどなく、滞在一時間程で次の取材地に向かったらしいが、この地で作者が何を見たのか…多分、藍と同じ思念体を視る能力を持ち、そこから得た情報を元に『青い不死鳥の物語』を記した…と見ていいのだろうか…?…そもそも藍は、作者の様に、葵の記憶を受け継いでいる訳ではなく、単純に、思念体を視る能力があるだけで、それ以外は現在視の千里眼と、一キロも持ち上げられない念動力、念話の送受信能力は相手次第…その他の超能力は並みか、並以下…超能力のない世界なら、驚嘆されるだろうが、現状ではまぁ、フツーの部類だろう…
「そう言えば、作者の得意な能力は非公開だったな…」
語る程の能力は持っていないと、作者は十周年インタビューで語っていたが、おそらく、文芸系の能力強化…記憶力や映像言語化能力は持っていただろう。当時の商業作家なら集団心理感応や、心理誘導も持っていただろうが…
藍達は中心市街地から二キロ程離れた工場区画に来ていた…
数年前、国内大手メーカーを誘致し、関連工場がポツポツ建ち始めている領域…
「居た」
小鳥サイズの青い鳥の思念体が路上を飛び跳ねていた…ただ、周囲には、この場には似つかわしくない、怨念に似た思念体が相当数、漂っていたが…
「この辺って、古戦場跡か?」
近くの白井に向けた…と言う訳でもない藍の言葉に、
「調べるか?」
白井が答えてしまう。
「…独り言だ…」
今度は、彼に向けた言葉を放ち、藍は青い鳥の思念体に触れる…
「君は何のコスプレしているんだ?(現地語)」
カメラを構えた数人が、葵達に声を掛けて来た。
「あ~…のぉ、こすちゅーむ、ぷれい。いっつぁ、あわー、すくーる、ゆにふぉーむ」
慣れない英語での返答が通じたのか、カメラの集団は謝罪の言葉と共に去ってくれた。ただ、サービスの意味も込めて、向けられたレンズに思いっきりポーズを決め、シャッター音を響かせていたが…
「…まさか、こんな所でこんなイベントあったとはねぇ…」
「事前に知らせてくれても良かったのに…」
咄嗟の対応に、葵達はテレパシー翻訳が出来なかったと反省するが、テレパシー翻訳にはある程度の時間、現地人との接触がないと通じないので、葵達が言語での対応が出来なかったのは、止むを得ない事だっただろうか…撮られた写真のデータを超能力で消去し、葵達はそそくさと、目的の大学の研究施設と思しき場所に向かう…
中学二年の五月連休中…数十回目の海外遠征だった。既に、数えるのも馬鹿らしい程に、葵達は『不死鳥の血』の処分を実行し、土日の休日以外に平日でも宿題の量に問題がない日は処分に出向いていた…この時期になると、穏便な譲渡要請に応じる団体がなくなり、実力での押収…と言う名の強奪が繰り広げざるを得ない状況となっていた。稀に、アジトの若い四人が駆り出される事もあったが、今回は二人で向かっている…
「…付けられてるね…?」
フェス会場や商業区画から離れ、住宅街に入ると、葵達を尾行する気配が後方から迫って来る…正直、プロの足取りではない…むしろ、覚束なさを感じる…
「どうする?」
緑の問い掛けに、
「撒いても良いけど…」
思案する葵…歩調を乱す事なく、二歩・三歩…
「そこ、曲がるよ」
念話で、一ブロック先を葵が示すと、頷く緑。
やがて、葵達が角に入ると、追跡者が慌てて駆け出す足音が響き、
「じゃあ、あたしがいくね?」
追跡者が角に飛び込むと、葵が急速ターン。距離は十メートルはあるが一跳びで、目的の人物にタックルを仕掛ける。
「…あ…」
だが、こちらの反応に驚きで動きが止まっている上に、回避どころか防御姿勢も見せない存在…完全に敵意を感じ取れない相手である事を認識するが、止まれない。
「グッ‼」
「アウ‼」
攻撃速度のまま衝突‼押し倒した上に、一メートル程、吹き飛ばしてしまう。
「…あなた…何⁈」
乱雑に倒れた追跡者の胸倉を掴み上げると、
「…ハ…ハナシ、キイテ…」
…驚きも、怯えも。敵意も、歓喜すらも見えない青年の表情から、謝罪の意思が浮かぶ声が聞こえて来る…しかも、カタコトの日本語は葵達の気を僅かに緩ませる…
「え~?それじゃあ、恋人さんが掴まっちゃっているんですか~?」
緑が前のめりで追跡者だった青年…ジョセフから話を聞き出す。
ジョセフの話によると、彼の所属している研究施設は、元々、生化学系の研究施設だったらしく、当初の超能力系の研究はごく少数の部署でのみ細々と続けられていた。それこそオカルト的な手法での超能力開発も真面目に取り組んでいたが、『不死鳥の血』の入手により状況が一変。所内の大半が超能力研究に注力し、他の研究の規模縮小もしくは取り潰しを招いた。そのまま超能力研究が隆盛を極めるかと思われたが、葵達の『不死鳥の血』強奪が契機となり、超能力研究の縮小を余儀なくされる事となる。
こうなると、反超能力研究勢力が盛り返し、超能力勢力の切り崩しと粛清が始まる。
粛清に関しては、入所してから超能力研究にのみ従事していた者が対象で、反超能力研究勢力の実験素材として活用される事となった。
ちなみに、該当する研究施設は非人道的な研究を主体とした研究を行っていた。
「因果応報」
思った言葉を飲み込む葵と、続きを促す緑…
ジョセフとそのお相手であるブレンダは超能力勢力であっても他の研究にも従事できる能力は持っていた。なので、粛清の対象にはならず、ジョセフは縮小された超能力研究部門の主任クラスの権限を持たされる事となった。勢力を大きくさせない事がジョセフの大きな役割となり、意図的に超能力研究の発表頻度を低下させる事を反超能力勢力から求められる事となった。
それでも、従来の生化学研究の延長な上に先細り感のある反超能力系研究と、細々ながらも新発見が次々と湧出する超能力研究では出資者の反応に違いが出て来る。折しも、研究所の所長は反超能力勢力に担ぎ上げられた、過去のデータを重視するタイプの研究者で、既存のデータがほぼない超能力研究に対し、研究成果への疑念と自分達の立場が追い詰められている危機感を持っていた。
「我が研究所では超能力開発は行わない‼」
所長の鶴の一声で、超能力研究部門は取り潰し。研究員は全て粛清対象となった。
その動きを事前に察知した超能力研究部門だったが、いつ命令が下っても良い様に待機していた捕縛部隊に漏れなく拘束。僅か十人程の職員たちが異形の者に変えられる。
「…それは僕も、ブレンダも…」
胸倉を掴み上げた時から感じていた、彼の吐く息に混じる血の臭いに、葵は納得した。おそらく、研究所の外に出て、何人が捕食していると…
改造を受けてなお、知能と自我を有していた事は幸いだったのか…他に知能や自我を持った実験体と協力して脱出を謀り、現状、生き残っているのは彼一人だけらしい…
「…ブレンダは研究所から連れ出せなかった…だから…会いたい…‼」
項垂れて、顔を手で覆い隠すジョセフ。そんな彼の言葉と行動に緑は燥ぎだす。と言うのも、現在、緑は恋愛に異常なまでに興味を示しており、暇さえあれば、アジトの若手四人との四角関係のドラマを勝手に妄想し、追加キャストとして、学校の若手先生を加える程に妄想を肥大させていた。そんな彼女の前でのジョセフの台詞は、緑の感性を刺激するには充分だった。「これぞ真の愛‼」と…
「行こう‼葵ちゃん‼」
涙目の緑が葵を急かす。
「…了解…」
尻を叩かれた…と言う訳ではないが、葵が研究所に向かい、歩を進める…
研究所の入口には護衛が二人、門の両側に立っている。
「…物騒なモノ、ぶら下げてるなぁ…」
彼らの手には機関銃…セーフティはフルオートを示し、いつでも発砲出来る様にグリップを握る人差し指はトリガーに掛けられている。
「どうやって中に入るんだい?」
ジョセフの言葉。彼女達は研究所を囲う壁の影から、正門の二人の護衛を覗いていた。
「そんなの正面突破でしょ?」
あっさり口調の葵。
「どっち行く?」
「じゃんけん」
二人のじゃんけん…あいこが二回続き、
「勝ち~‼」
「…分かったよ…」
葵の負け。トボトボと、正門に向かう…
「はぁい‼」
と、正門の護衛に笑顔で挨拶。
「‼」
躊躇う事なく。銃口を向かる二人。
「容赦な‼」
近くの一人の発砲と共に、射線を交わし発砲した彼に掌底を一発顎に押し込み、背後の壁に押し潰す。
「当たってないか⁈」
その光景を見て、ジョセフが声を上げるが、
「障壁‼」
もう一人が放つ銃弾が、葵の前で青い光点となって弾ける。
「SHIT‼」
装填された銃弾が尽き、銃のマガジンを排出する間に、葵が顔面にハイキック。
「トドメ‼」
一回転した勢いのままで、よろめく護衛の横頬に葵のつま先の一閃が駆け、護衛の頭が有り得ない角度に捻じ曲がる。
「はい。終わり」
勢いでも一回転し、葵は脚を降ろす。
「行きますよ」
その光景を呆然と眺めるジョセフを緑が急かす。
「あ、ああ」
緑の言葉…と言うより、彼の背を叩く無邪気な彼女の姿に我に返ったジョセフが、その場で待っている葵の下に向かう…
研究所に侵入してからも葵達の無双は続いていた。遭遇した全ての者を殴る・蹴るで蹂躙し、銃撃は障壁で、手榴弾は包囲障壁で防ぎ、研究所の深部へと歩を進める。
「地下室がある」
エレベーターのドアの前…ジョセフの言葉の中にブレンダの存在を感じ取る。
「…わかった…」
エレベーターを開けて、中に入る…
「…ブレンダ…今、行くよ…」
地下に向かう為の隠しボタンを見付けて、地下のボタンを押す…数秒、下に降りる感覚があったかと思うと、ドアが開かれる…
「う‼」
鼻を衝く糞尿臭に緑が声を上げ、葵が顔を顰める。
三人の前には、檻に入った肉色の獣…いや、元は人間だったモノがこちらに牙を向けながら、奇声を発している。手足の長さや頭の大きさ、胴体の長さが、人のそれとは相当違って見えるが、地球上の生物の基本的な構造をしている。
「…みんな…戻ったよ…」
ジョセフが手を振って見せるが、肉色の獣は威嚇の奇声を発し続ける。その奇声から発せられる意志は人の知性が感じ取れない…
「こっちだ」
そのまま、ジョセフは奥へと歩を向ける。
廊下は一本だけで、弱い灯りが一メートルごとに天井に点いている…強い光に拒絶反応を起こすモノがいる為、これが限界らしい…食事は定期的にあるらしいが、調理されていない枝肉が放り込まれるだけで、数日で骨も残らない程に喰らい尽くされる。糞尿の始末が出来ないのは清掃員が襲われる為らしい。
そんな事を語りながら、ジョセフは最奥に到着し、分厚いアクリル越しに見える赤黒い床面を見据える…
「紹介するよ。ブレンダだ。」
アクリルの向こう側に数センチの赤黒い堆積物が積もっているのが見える…が、床の表面がプルプルと震えたかと思うと、瞬時に、直径一メートル程の一塊となって、部屋の隅に集積。ただ、その姿は、ブルブルと震えながら、こちら…と言うより、ジョセフを警戒している様に見える…
「恥ずかしがらなくてイイよ…あ、でも、裸だもんな…」
冗談のつもりのジョセフの言葉だが、二人は笑えない…特に、ちょっと前まで感動の涙を零していた緑は驚愕と共に絶句している。
「…しばらく、二人きりにしてほしい…」
ジョセフの言葉。
「…あたしは、あたしの仕事をしてきていい?」
緑の肩を持って、その場から離れようとする葵に、
「…ああ…」
…頷くジョセフ…葵と緑はエレベーターに戻る…
…そこから、更に葵達の無双は続けられる…ただ、葵の攻撃の苛烈さは変わらなかったが、緑の攻撃は自分の持っている感情を振り払う様な激しさで、彼女の前に出て来た研究者や警備員は言うに及ばず、合成獣までもが過剰な念動力で圧し潰して、目的の所長室に歩を進ませる…
「貴様ら…‼『ブルーフェニックス』」か⁈」
と、護衛を脇に置いた研究所の所長と、途中の廊下で鉢合わせる。両脇の護衛はジュラルミンの大型アタッシュケースを持っているが、所長は小さいアタッシュケースを抱えている。護衛の持っているのは研究資料で、所長が所持しているのは『不死鳥の血』の専用ケースの様だ…以前の襲撃の際、何度か見た事がある…
「問答無用」
緑が両隣の護衛を念動力で潰し、葵が所長から専用ケースを強引に奪い取る。
「か、返せ‼」
追い縋る所長の腹に蹴りを入れる葵。廊下を転がり、通路の奥の壁に激突。
「超能力は研究の対象外なんでしょ?」
ケースの鍵を強引に引き千切り、中の『不死鳥の血』を取り出し、
「だったら、処分してもいいわね?」
親指で弾き上げ、宙空で赤く弾け散らせる。
「な…⁈」
所長の言葉と共に、彼の両脚の骨が緑の念動力で砕かれる。
「ぐ…がぁああ‼」
その場で苦痛の声を上げ、ジタバタと、もがき出す。
「何をする…?」
「まだ、この階の合成獣を始末していない…人が元になっているのかな?」
葵の言葉に戦慄する所長。
「彼らに理性があればいいな」
踵を返し、エレベーターのある廊下に向かう葵達…
「ま、待て‼助けてくれ‼」
葵が捜索していないエリア…所長の左通路から、合成獣の荒い気遣いが近付いて来る…
エレベーターに乗って、そのまま地下に降りる葵達。
「…?」
相変わらずの糞尿の臭いの中に、血の匂いが混じっている。
「まさか‼」
「どうしたの?」
葵が奥に駆け出し、緑が追う。
薄暗い廊下の奥に倒れている人影…間違いなくジョセフだが、腹部に出血が見える。
「何をやった⁈」
葵の叫びに、顔を挙げるジョセフ…
「…ブレンダを…食べた…」
呟くジョセフの口から零れる血液…即死ではないにせよ、致命傷を与えられた様だ…
対して、アクリルの牢の方を見ると、僅かに下に隙間が開いており、そこに挟まったブレンダの塊がある…色合いが少し前に見たより、黒味が強い上に、ピクリとも動かない…
「あんたはブレンダさんの天敵だったのかよ…‼」
「…僕の天敵も彼女だったけどね…」
むしろ、ブレンダは究極の生命体として調整された存在らしく、その行動を抑制するためにジョセフがカウンターエネミーとして調整されていたらしい…その上、ブレンダを定期的に摂取しないと、ジョセフの身体を維持できない様に調整されていたらしい…勿論、これは逃走防止の為の措置だった…
「…まさか、そんな調整をされていたとは思わなかった…」
本来なら、ブレンダの生命活動に支障が出ない程度の摂食だったが、逃走期間中に摂取していなかった為、ジョセフがブレンダを殺す程に、彼女を食べてしまった…彼女を守りたいと言う理性より、植え付けられた本能に従ってしまった。
「情けない…こんな事になるなんて…」
…そろそろジョセフの命が尽きようとしている…だが、
「…彼女を殺した事で…彼女を二度と味わえなくなった…」
いまわの際の欲望が口元から涎を垂れ、
「…僕を燃やしてくれ…彼女を食べた罪を感じて死にたい…」
贖罪と懺悔の涙が溢れて、零れ落ちる…
…地下にいた元研究員を葵達は全て始末した。
ジョセフは既に事切れている…生きている間の焼却は間に合わなかったが、ここに居た元研究員達と同じ荼毘に伏せるなら、彼の罪の意識も少しは減らせるだろう…これは葵の自己満足に過ぎない事は彼女自身分かっていたが、多分これをしないと、これから先、前に進めないと思ったから…
「じゃあ、やるよ」
目の前の肉塊に向け、葵は手を翳すと、瞬時に炎が立ち上がる…
「とんでもなかった」
…目まぐるしい展開と、容赦のない葵の超能力を駆使した戦いと、一方的な蹂躙劇を近くで見た事で、藍は疲労困憊だった…
「気持ち悪い…吐きそ…‼」
…言葉にしつつ、藍はその場に蹲って、嘔吐してしまう…
今回の調査で分かった事は葵の残忍性だろうか…いや、彼女は自衛のために止むを得ず、その能力を振るったのだろう…しかしながら、過剰であった事は否めない…この時期の葵は遅々として進まない『不死鳥の血』の処分に苛立っていたのだろう。その上、直接的に支援してくれる人員が居なかった事も相当のストレスになっていただろう…と藍はレポートに記す…
「こんな葵、後の世に流せないか」
作者もその辺を理解して、『殺し合う事を宿命づけられた恋人達』を本編に入れなかったのかも知れない。この手のバイオレンス系の主人公は飽くまで、正義でなければならない…と言う風潮は未だに根強い。まして、葵は神聖化され過ぎて、今更、ダークヒーローにはなれない…
「いや、一部で『悪魔』とは呼ばれていたか…でも、ダークヒーローと『悪魔』は根本的に違うか…ダークヒーローは結果的に悪を滅ぼすし…」
そう呟きつつ、事務所のパソコンに向かい、藍は何度も推敲を重ねた。
今回の葵は最後に火を使っていた。超能力の発火は別段、珍しい能力ではないが、葵が使うのは、彼女の名前の『あおい』と言う響きからして、どうにも違和感がある。仮に火を出すとしても、高温の青い炎だと思うが、今回の思念体の映像では、はっきりと赤い炎が見て取れた。ただ、火を使うと言う行為において、葵には少々思う所があったのかも知れない。彼女の台詞にもあった『荼毘に伏す』と言う言葉の中には、今生の穢れを焼き清めると言った意味があると葵は思っていたのだろう。他にも、神事の中に『火渡り』と言う祭事があるし、煮沸消毒に使われる水を温める為に火が一般的な時代でもあった。
これは葵が自信を清浄な存在だと思っていなかったからだろうか…?
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