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告白
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「真山、俺さ、お前の事が好きだった」
鍋が狂ったように沸騰していて火力を弱めていた時、タケが告白してきた。
今日は、俺の部屋で鍋を囲む会だった。
半年に1回、中学からの友人で開催されていた鍋を囲む会。ただ鍋をつつき、菓子を食べ、他愛のない事を語り合うだけの会だったけど、楽しくて仕方がなかった。
初めのうち参加者5人いたが、都会へ飛び立っていった者達が1人、また1人と抜けていった。
誰かがノリで作った会だったけど、10年は続いていたが、今は地元に残った俺とタケで会を続けていた。
消滅してもいい会になりつつあっても、タケがこまめに連絡をくれるので、細々と続けた。
続けていたのに、普通に食べていたタケがいきなり告白をしてきた。
「何で今?」
「本当は中学の時にしたかったけど、言う勇気が無かった。昨日、谷から真山に彼女がいないって聞いたから、今だと思って」
「なんてこった」
俺は鍋に残りの食材を入れながら考え、答えを見つけた。
「これって、罰ゲーム?」
「違うよ」
「ごめん。あちっ」
鍋をかき混ぜると罰が当たったのかスープがはねた。
「タケ、中学の時、彼女居たよね?」
「断れなかったから付き合ってたけど、3日で別れた」
「すぐ、次の彼女が出来てたよね」
「自然消滅したけど」
「高校でも、彼女が居ない時は無いくらいだったって、誰かから聞いた」
「本当の事だよ」
「上手くいかなかったのって、俺のせいじゃないよな?」
「いつも真山の事を考えてたのが原因だったら、真山のせいかもね。俺は女子の事、どうでも良かったから」
「可哀想に」
「俺が?」
「彼女達がだよ」
「俺だって、好きで付き合ってた訳じゃない。泣きながら脅迫してくるから付き合わざるを得なかった」
「タケも大変だったんだな」
タケは頷いた。
「毎晩、悩んだ。女子の事と女子以上に真山の事を」
今までに見たことの無いタケがそこに居た。
「俺のどこがいいの?自分勝手な自由大好き人間だよ」
「本当の自分勝手は自分で言わないよ」
「いや、自分勝手だって。今から自分勝手な所を見せてやる」
俺は、手当たり次第に菓子の袋を開けていく。
「俺も食べるよ」
俺の思惑は外れ、2人で高カロリーのポテト菓子を食べるだけになった。
「真山は俺と普通に接してくれたんだ。そもそも、興味なさそうだったけどね」
中学から引っ越してきた真山は、どこかの国とのハーフで、王子のような風貌に田舎の学校はお祭り騒ぎだったが、日本生まれ日本育ちなので、心は日本人だった。
「俺は普通に飢えていた。どこへ行っても見た目の事で騒がれて嫌だった。俺の心を見てくれる人はどこにも居なかった」
俺は、昔から好きだってチョコロール菓子を食べながら、大変だなと他人事のように思った。
「1年の時の体育祭の事覚えてる?」
「何にも覚えてない」
「そういう所が真山の良いところだよ」
よく分からないけど、褒められた。大人になり、褒められる事が無いので、俺は気分が良かった。
「俺は忘れないよ。見世物を見るような視線に耐えられ無くなって校舎の陰で休んでた時、真山が通りがかった。真山は俺に気付かずに行っちゃったけど、少ししたら戻って来て、俺の頭にタオルをかけてスポーツドリンクをくれた。気分が悪いと思われたのかもしれないけれど、俺には周りの目から守ってくれたみたいで助かった」
「テンションが上がって、余計なお世話しただけだよ」
駄菓子を食べながら鍋の世話もする。
「真山は何にも考えないでしたことかもしれないけど、俺は嬉しかった」
「そんなことで俺の事、好きになったの?」
「小さなきっかけでも、俺にとっては大きな出会いだった。2年で同じクラスになれた時は神に感謝した」
「大袈裟だな」
「とにかく嬉しかった」
何だか恥ずかしくなってきた俺は、、取り皿の冷めた真っ赤なスープを飲んだ。このスープの素は辛すぎた。
「真山と友達にもなれて嬉しかったけど、好きな気持ちを隠すのは苦しかった」
炭酸飲料を飲んだ俺は、煮えすぎた白菜とネギをよそった。
「俺、男を好きになるなんて思わなかったから悩んだ。でも、真山への気持ちはどんどん膨らんでいった。破裂しそうな程」
俺は火力の調節をしながら、赤く染まった肉団子とつみれを取り皿に乗せた。
「〆はうどんか米、どっちにする?」
「米にチーズ」
俺は狭いキッチンへと立ち、冷凍ご飯を解凍されるのを待つ。
無言が続いたあと、後ろに気配を感じた。
「あと、1分ぐらい……」
言い終わる前にタケに抱きしめられた。
「まだ、俺の気持ちは真山の事を想って膨らみ続けてる。真山は、俺の気持ち受け入れられないよね?」
レンジがなっても動けないでいた。
「今日、鍋を囲む会をやめるつもりで来たんだ」
「え?」
「いつまでも続けたかったけど、こんな気持ちのまま真山に会う事が辛くなってきた」
タケは更に抱きしめる力を強める。
「最後に全てを伝えて、新しい仕事に専念するよ」
「新しい仕事?」
「俺を必要としてくれてるから、行ってみようと思う」
俺は初めて聞かされた事に何とも言えない気持ちになった。
「良かったな。ここではタケの良さを生かせないから、俺も嬉しいよ」
タケは俺から離れた。
「寂しいけど、頑張れよ」
「真山……」
「俺は1人でも鍋を囲む会を開いてるから、暇が出来たら来てくれよ」
「ありがとう。でも……」
俺はタケの肩に手を置いた。
「待ってくれるなら、次の鍋を囲む会でタケの俺への気持ちの答えを出すよ」
「本当?」
「参加してくれるように祈ってるよ」
「絶対、参加する」
俺は浮かれているタケを置いて、米とチーズを持ってリビングに戻った。
「今度は何の鍋にしようかな」
鍋が狂ったように沸騰していて火力を弱めていた時、タケが告白してきた。
今日は、俺の部屋で鍋を囲む会だった。
半年に1回、中学からの友人で開催されていた鍋を囲む会。ただ鍋をつつき、菓子を食べ、他愛のない事を語り合うだけの会だったけど、楽しくて仕方がなかった。
初めのうち参加者5人いたが、都会へ飛び立っていった者達が1人、また1人と抜けていった。
誰かがノリで作った会だったけど、10年は続いていたが、今は地元に残った俺とタケで会を続けていた。
消滅してもいい会になりつつあっても、タケがこまめに連絡をくれるので、細々と続けた。
続けていたのに、普通に食べていたタケがいきなり告白をしてきた。
「何で今?」
「本当は中学の時にしたかったけど、言う勇気が無かった。昨日、谷から真山に彼女がいないって聞いたから、今だと思って」
「なんてこった」
俺は鍋に残りの食材を入れながら考え、答えを見つけた。
「これって、罰ゲーム?」
「違うよ」
「ごめん。あちっ」
鍋をかき混ぜると罰が当たったのかスープがはねた。
「タケ、中学の時、彼女居たよね?」
「断れなかったから付き合ってたけど、3日で別れた」
「すぐ、次の彼女が出来てたよね」
「自然消滅したけど」
「高校でも、彼女が居ない時は無いくらいだったって、誰かから聞いた」
「本当の事だよ」
「上手くいかなかったのって、俺のせいじゃないよな?」
「いつも真山の事を考えてたのが原因だったら、真山のせいかもね。俺は女子の事、どうでも良かったから」
「可哀想に」
「俺が?」
「彼女達がだよ」
「俺だって、好きで付き合ってた訳じゃない。泣きながら脅迫してくるから付き合わざるを得なかった」
「タケも大変だったんだな」
タケは頷いた。
「毎晩、悩んだ。女子の事と女子以上に真山の事を」
今までに見たことの無いタケがそこに居た。
「俺のどこがいいの?自分勝手な自由大好き人間だよ」
「本当の自分勝手は自分で言わないよ」
「いや、自分勝手だって。今から自分勝手な所を見せてやる」
俺は、手当たり次第に菓子の袋を開けていく。
「俺も食べるよ」
俺の思惑は外れ、2人で高カロリーのポテト菓子を食べるだけになった。
「真山は俺と普通に接してくれたんだ。そもそも、興味なさそうだったけどね」
中学から引っ越してきた真山は、どこかの国とのハーフで、王子のような風貌に田舎の学校はお祭り騒ぎだったが、日本生まれ日本育ちなので、心は日本人だった。
「俺は普通に飢えていた。どこへ行っても見た目の事で騒がれて嫌だった。俺の心を見てくれる人はどこにも居なかった」
俺は、昔から好きだってチョコロール菓子を食べながら、大変だなと他人事のように思った。
「1年の時の体育祭の事覚えてる?」
「何にも覚えてない」
「そういう所が真山の良いところだよ」
よく分からないけど、褒められた。大人になり、褒められる事が無いので、俺は気分が良かった。
「俺は忘れないよ。見世物を見るような視線に耐えられ無くなって校舎の陰で休んでた時、真山が通りがかった。真山は俺に気付かずに行っちゃったけど、少ししたら戻って来て、俺の頭にタオルをかけてスポーツドリンクをくれた。気分が悪いと思われたのかもしれないけれど、俺には周りの目から守ってくれたみたいで助かった」
「テンションが上がって、余計なお世話しただけだよ」
駄菓子を食べながら鍋の世話もする。
「真山は何にも考えないでしたことかもしれないけど、俺は嬉しかった」
「そんなことで俺の事、好きになったの?」
「小さなきっかけでも、俺にとっては大きな出会いだった。2年で同じクラスになれた時は神に感謝した」
「大袈裟だな」
「とにかく嬉しかった」
何だか恥ずかしくなってきた俺は、、取り皿の冷めた真っ赤なスープを飲んだ。このスープの素は辛すぎた。
「真山と友達にもなれて嬉しかったけど、好きな気持ちを隠すのは苦しかった」
炭酸飲料を飲んだ俺は、煮えすぎた白菜とネギをよそった。
「俺、男を好きになるなんて思わなかったから悩んだ。でも、真山への気持ちはどんどん膨らんでいった。破裂しそうな程」
俺は火力の調節をしながら、赤く染まった肉団子とつみれを取り皿に乗せた。
「〆はうどんか米、どっちにする?」
「米にチーズ」
俺は狭いキッチンへと立ち、冷凍ご飯を解凍されるのを待つ。
無言が続いたあと、後ろに気配を感じた。
「あと、1分ぐらい……」
言い終わる前にタケに抱きしめられた。
「まだ、俺の気持ちは真山の事を想って膨らみ続けてる。真山は、俺の気持ち受け入れられないよね?」
レンジがなっても動けないでいた。
「今日、鍋を囲む会をやめるつもりで来たんだ」
「え?」
「いつまでも続けたかったけど、こんな気持ちのまま真山に会う事が辛くなってきた」
タケは更に抱きしめる力を強める。
「最後に全てを伝えて、新しい仕事に専念するよ」
「新しい仕事?」
「俺を必要としてくれてるから、行ってみようと思う」
俺は初めて聞かされた事に何とも言えない気持ちになった。
「良かったな。ここではタケの良さを生かせないから、俺も嬉しいよ」
タケは俺から離れた。
「寂しいけど、頑張れよ」
「真山……」
「俺は1人でも鍋を囲む会を開いてるから、暇が出来たら来てくれよ」
「ありがとう。でも……」
俺はタケの肩に手を置いた。
「待ってくれるなら、次の鍋を囲む会でタケの俺への気持ちの答えを出すよ」
「本当?」
「参加してくれるように祈ってるよ」
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