お花の女王様

れい

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お花の女王様

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 ここはたくさんのお花がさいているお花畑。
いろんなお花がお日様のひかりにてらされて、きもちよくさいています。
ことりやむしや小さなどうぶつたちはこのお花畑がだいすきです。
そこに小さなたんぽぽがさいていました。
 たんぽぽは大きくてきれいなお花になることをゆめみていました。
「ばらさん、あなたはすてきな赤い花をさかせていてすごいわね。」
ある日たんぽぽは近くにさいていたばらにいいました。
ばらはとくいになって言いました。
「あたりまえよ。わたしたちはきれいにさいて、ここをつくった王様をよろこばせるのよ。」
たんぽぽはどうどうとさくばらをすてきだとおもいました。
でも、たんぽぽはかなしいきもちにもなりました。
ばらやゆりやひまわりは、大きくてきれいなのに自分は小さくてだれにも気づいてもらえないとおもっていたからです。
たんぽぽもばらのようにここをつくってくれた王様をよろこばせたいとおもっていました。
でも、きっとじぶんなんかじゃ王様によろこんでもらえないとおもいました。
たんぽぽはないてしまいました。
「たんぽぽさん、どうしてないているの?」
お花畑にきていたことりが心配して話しかけてくれました。
たんぽぽはどうしてないているのか話しました。
「たんぽぽさんは、ここをつくった王様にあったことはある?」
とつぜんことりに聞かれてたんぽぽはすこしかんがえて言いました。
「そういえばないわ。」
ことりはにっこりして言いました。
「ここをつくった王様はとてもやさしい人よ。わたしのこともほかのどうぶつたちのこともたいせつにしてくれてるわ。だから、たんぽぽさんもきっとたいせつにしてくれてるわ。」
たんぽぽはことりのいうことがしんじられませんでした。
 ある日のあたたかいお昼のことでした。
王様がお花畑に小さな女の子をつれてやってきました。
王様はたんぽぽを見て言いました。
「マリー、見てごらん。かわいいお花だろ?」
女の子はたんぽぽを見て言いました。
「でも、ほかのお花のほうが大きくてすてきよ。」
王様はたんぽぽに水をやりながらこたえました。
「パパはそうはおもわないよ。たしかにばらもゆりも大きくてきれいだけど、たんぽぽもおなじぐらいきれいだよ。小さい花だけどみんなに春がきたことをおしえてくれて、ありのままのすがたでもここにさいてくれているんだ。お花の女王様だよ。」
王様のことばを聞いて、たんぽぽは嬉しくてなきました。
「うん。たんぽぽってすてき。」
たんぽぽはしあわせな気分になりました。
 それからたんぽぽは、もうほかのお花とくらべることをやめました。今のじぶんが1ばんすてきだと気づいたからです。たんぽぽは、じぶんのすがたが小さいということは、もうありませんでした。
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みんなの感想(1件)

橘花やよい
2024.01.12 橘花やよい

みんな違って、みんないいですよね。たんぽぽも可愛らしくて素敵です。ほっこりしました!

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