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ー光ー 第一章 無能神様
第十話 夕食
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帰ってきて今日買った金平糖と緑豆糕を食べながら話していると、あっという間に夕食の時間になった。
二神は食事部屋に向かった。
そして部屋の前につき、扉を開けようとした時、天光琳は立ち止まった。
「あっ......」
「どうした?」
天光琳はあることを思い出した。
「僕...今日の朝、父上と喧嘩したんだった...」
天光琳は天宇軒に反抗してそのまま逃げ出してしまったのだ。この部屋には天宇軒がいる。入りにくいだろう。
「え?......確か光琳......眠いだけって言ったよな......お前なぁ!!」
「あはは、ごめん」
天俊熙は笑いながら怒った。天光琳は苦笑いをした。
「お前はもっと自分を大事にしろ。そういうことは隠さなくてもいいから......」
天光琳は昔から自分より他人を優先して考えるため、自分のことは気にしないのだ。
その事を昔から仲の良い天俊熙はよく理解している。
「まぁ、何か言われたら俺がフォローできるように頑張るから。宇軒様は怖いからなぁ」
「...ありがとう」
まるで兄のようだ。天光琳は気が楽になった。思えば毎回この扉を開ける時は緊張する。昨日のように一度深呼吸をして、扉を開けた。
扉を開けると皆...いや、天麗華以外は揃っていた。
(姉上が遅いなんて...珍しい)
天麗華はいつも一番最初に来るのだ。しかし今日はいない。
そう思っていると、天俊熙が天光琳の背中にポンっと軽く叩いた。
『頑張れよ』って意味なのだろう。
二神は自分の席に向かった。
天光琳はドキドキしながら席に座ったが、天宇軒は何も言わなかった。一瞬天光琳の方を見た気がするが......気のせい...てことにしておこう。
「麗華遅いわね...」
天万姫が不安そうに言った。朝食の時間から五分過ぎている。
するとちょうどバタバタと走ってくる音が聞こえた。そして扉が開いた。
「ごめんなさい!お...遅くなりました!」
天麗華が息を切らせながら言った。
「麗華ちゃん...?なんか顔色悪いわよ...どうしたの?」
天麗華と仲が良い天李偉が心配そうに言った。
天李偉は天麗華より年下だが、仲が良いため、タメ口で話している。
確かに顔色が悪い。いつも早く来る天麗華が遅刻もしているし、余計に心配になる。
「大丈夫よ、急いできたから、ちょっと苦しくなっちゃっただけよ...」
そう言いながら天麗華は自分の席に座った。
これで皆が揃った。
「では、食べましょうか」
天万姫は手を二回叩きながら言った。
そして皆は食事を始めた。
「万姫さん、今日......」
「それは大変ね......私も...」
天万姫と天語汐は今日あった出来事について話している。
「父上!!明日一緒に市場に行くって言ったじゃな~い!」
「父上酷い」
「まぁまぁ」
「ごめんな......明日は......」
天李偉と天李静が明日の予定を聞き、天浩然に文句を言っている。天俊熙は苦笑いしながら二神を落ち着かせている。女は怖い...と思っているのだろう。
「......」
天宇軒は黙って食事をしている。
天光琳も話すことがなく黙って食事をしている。しかし、いつもよく話す天麗華が今日は何も喋っていないので心配になって声をかけた。
「姉上、大丈夫ですか?......あ...姉上...?」
「......え...?あー...ええ、大丈夫よ。......今日のスープ美味しいわね」
天麗華はボーッとしていたため、天光琳の声に気づくのが遅くなった。
天麗華は天光琳に心配させないように...と話を変えた。
「あ...ですね。美味しいです」
(やっぱり...姉上の様子がおかしい......)
天光琳は気になったが、これ以上聞くと気を悪くさせてしまうかもしれないので黙っておくことにした。
「光琳。今日は何をしたの?」
天語汐と話し終わった天万姫が天光琳に聞いた。
「今日は...俊熙と市場に行きました」
「...はぁ」
(...え?)
天光琳が言った瞬間、天宇軒がため息をついた気がした。修行と稽古を詰め込みすぎるな...と言ったのは天宇軒だ。
それなのに何故ため息をついたのだろう。気のせいなのだろえか。他の天家の者には聞こえていなかったようだ。
(きっと気のせいだ......)
「そうなの!俊熙、ありがとう」
天万姫は両手を合わせながら嬉しそうに言った。
「あ!いえいえ!遊びに誘ったのは俺の方ですし...!」
天光琳と天俊熙は顔を合わせて笑った。その姿を見て天万姫は安心したかのように微笑んだ。
この後、色々な話をして夕食の時間を楽しんだ。
......が、天麗華はいつもより口数が少なかった。
二神は食事部屋に向かった。
そして部屋の前につき、扉を開けようとした時、天光琳は立ち止まった。
「あっ......」
「どうした?」
天光琳はあることを思い出した。
「僕...今日の朝、父上と喧嘩したんだった...」
天光琳は天宇軒に反抗してそのまま逃げ出してしまったのだ。この部屋には天宇軒がいる。入りにくいだろう。
「え?......確か光琳......眠いだけって言ったよな......お前なぁ!!」
「あはは、ごめん」
天俊熙は笑いながら怒った。天光琳は苦笑いをした。
「お前はもっと自分を大事にしろ。そういうことは隠さなくてもいいから......」
天光琳は昔から自分より他人を優先して考えるため、自分のことは気にしないのだ。
その事を昔から仲の良い天俊熙はよく理解している。
「まぁ、何か言われたら俺がフォローできるように頑張るから。宇軒様は怖いからなぁ」
「...ありがとう」
まるで兄のようだ。天光琳は気が楽になった。思えば毎回この扉を開ける時は緊張する。昨日のように一度深呼吸をして、扉を開けた。
扉を開けると皆...いや、天麗華以外は揃っていた。
(姉上が遅いなんて...珍しい)
天麗華はいつも一番最初に来るのだ。しかし今日はいない。
そう思っていると、天俊熙が天光琳の背中にポンっと軽く叩いた。
『頑張れよ』って意味なのだろう。
二神は自分の席に向かった。
天光琳はドキドキしながら席に座ったが、天宇軒は何も言わなかった。一瞬天光琳の方を見た気がするが......気のせい...てことにしておこう。
「麗華遅いわね...」
天万姫が不安そうに言った。朝食の時間から五分過ぎている。
するとちょうどバタバタと走ってくる音が聞こえた。そして扉が開いた。
「ごめんなさい!お...遅くなりました!」
天麗華が息を切らせながら言った。
「麗華ちゃん...?なんか顔色悪いわよ...どうしたの?」
天麗華と仲が良い天李偉が心配そうに言った。
天李偉は天麗華より年下だが、仲が良いため、タメ口で話している。
確かに顔色が悪い。いつも早く来る天麗華が遅刻もしているし、余計に心配になる。
「大丈夫よ、急いできたから、ちょっと苦しくなっちゃっただけよ...」
そう言いながら天麗華は自分の席に座った。
これで皆が揃った。
「では、食べましょうか」
天万姫は手を二回叩きながら言った。
そして皆は食事を始めた。
「万姫さん、今日......」
「それは大変ね......私も...」
天万姫と天語汐は今日あった出来事について話している。
「父上!!明日一緒に市場に行くって言ったじゃな~い!」
「父上酷い」
「まぁまぁ」
「ごめんな......明日は......」
天李偉と天李静が明日の予定を聞き、天浩然に文句を言っている。天俊熙は苦笑いしながら二神を落ち着かせている。女は怖い...と思っているのだろう。
「......」
天宇軒は黙って食事をしている。
天光琳も話すことがなく黙って食事をしている。しかし、いつもよく話す天麗華が今日は何も喋っていないので心配になって声をかけた。
「姉上、大丈夫ですか?......あ...姉上...?」
「......え...?あー...ええ、大丈夫よ。......今日のスープ美味しいわね」
天麗華はボーッとしていたため、天光琳の声に気づくのが遅くなった。
天麗華は天光琳に心配させないように...と話を変えた。
「あ...ですね。美味しいです」
(やっぱり...姉上の様子がおかしい......)
天光琳は気になったが、これ以上聞くと気を悪くさせてしまうかもしれないので黙っておくことにした。
「光琳。今日は何をしたの?」
天語汐と話し終わった天万姫が天光琳に聞いた。
「今日は...俊熙と市場に行きました」
「...はぁ」
(...え?)
天光琳が言った瞬間、天宇軒がため息をついた気がした。修行と稽古を詰め込みすぎるな...と言ったのは天宇軒だ。
それなのに何故ため息をついたのだろう。気のせいなのだろえか。他の天家の者には聞こえていなかったようだ。
(きっと気のせいだ......)
「そうなの!俊熙、ありがとう」
天万姫は両手を合わせながら嬉しそうに言った。
「あ!いえいえ!遊びに誘ったのは俺の方ですし...!」
天光琳と天俊熙は顔を合わせて笑った。その姿を見て天万姫は安心したかのように微笑んだ。
この後、色々な話をして夕食の時間を楽しんだ。
......が、天麗華はいつもより口数が少なかった。
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