鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

文字の大きさ
62 / 184
ー光ー 第四章 玲瓏美国

第六十一話 普段

しおりを挟む
「三神は普段何をして過ごしているの?」

「聞きたーい!」


 いつの間にか、美ルーナの膝に美夢華が座っていた。
 美夢華は足をパタパタさせながら先程取ったクッキーを大切そうに食べている。


「私は毎日人間の願いを叶えて、国の仕事をして......暇な時は本を読んだり、街を歩いて天国の神々とお話したり...の父上のお手伝いに行ったりしているわ」

「忙しそうですね」


 美鈴玉は大変そう...という顔で言った。
 天麗華は働き者だ。

 天麗華は毎日のように人間の願いを叶えている。
 本来なら毎日やらなくても良いのだが......人間に興味がある天麗華にとって、人間の願いを叶える...ということは楽しいことでもあるそうだ。


「琳くんと俊くんは?」

「俺はたまに人間の願いを叶えに言って、仕事して......市場に行って遊んだり...毎日自由にやってます」


 天俊熙は苦笑いしながら言った。
 市場に行って遊んだり...とは恐らく桜の宴に行ってそこにいる神々と楽しく話して酒を飲んでいる...ということだろう。


「それが良いのよ。麗華ちゃんはちゃんと休めてるの?」


 美ルーナは心配そうに聞いた。


「えぇ。ちゃんと休めていますよ」


 天麗華はニコッと微笑みながら言った。


「光琳お兄様は?」


 クッキーを食べ終わった美夢華が聞いた。

 天光琳は......言い出しにくくなり下を向いた。 


(僕は......)


 二神に比べると...いや比べものにならない。
 無能神様だ。それはみんな知っていると思うが...。

 神の力が使えず未だに修行と稽古を続けている...なんて恥ずかしくて言い難い。それも他国の神に。


「あ、無理に言わなくても良いわ。ごめんなさいね」


 天光琳を笑いものにしたくて三神は普段何して過ごしているのか聞いた訳では無い美ルーナはそう言った。

 美ルーナは天光琳がまだ修行と稽古をやっていることは知っていた。

 天万姫や天麗華、美梓豪から何回か聞いているからだ。

 しかしその事を忘れて聞いてしまった。
  

「ごめんなさい......」

「貴方が謝ることでは無いわよ、私が聞いたのが悪かったのだから...」


 天光琳は小さな声で謝った。
 美夢華はどうしたのか分からない...という顔をしてまた一つ新しいクッキーを食べている。


「光琳は頑張り屋さんなのよ」

「姉上......」


 天麗華は天光琳の背中を擦りながら言った。
 天光琳は天麗華を見た。
 天麗華の表情は......なぜか申し訳なさそうな顔をしていた......。





 この後、二時間ぐらいゆっくりと話をした。
 玲瓏美国のこと、最近あったこと...美夢華が可愛いこと......など。


 今日初めてあった美ルーナ、美鈴玉、美夢華と沢山話せて良い時間になっただろう。


「あ、そうだ。明日の十五時から、玲瓏美国はお祭りをする予定なんだが......是非三神に踊って貰いたくて......良いか?」


(お祭り...!)


 天光琳は他国の祭りに参加するのは初めてだ。
 三神はもちろん頷いた。

 美梓豪は外を指さした。


「あそこ...ほら、噴水の近く。今ちょうど舞台の用意をしているみたいだけど、あそこで舞を見せて欲しいんだ」


 美梓豪が指さしたところをみると、六神が木材で舞台を作っていた。

 街をよく見てみると、色々なところで準備が始まっていた。

 先程までなかった、小さな建物だって並んでいる。屋台だろうか。


「分かりました」

「ありがとう!」


 天麗華がそう言うと、美梓豪は嬉しそうな顔をした。


「光琳くんの舞は綺麗だった...って、梓豪さんから聞いているわ」

「楽しみです!」


 美ルーナと美鈴玉も嬉しそうに言った。


「お姉様たちの舞が見れるの!!やったぁ、早く明日にならないかなー!」


 美夢華は食べかけのクッキーをお皿に置き、飛び跳ねた。
 とても嬉しそうだ。

 他国に行って舞をするのは初めてのため、緊張するが、桜雲天国の良さを伝えるチャンスでもある。王一族として、かっこいいところを見せなければいけない。


「えっと...この後ってなにか予定はありますか?...俺たち、練習する時間が欲しいです」


 天俊熙がそう聞くと、天光琳、天麗華も頷いた。

 実は三神で舞を披露するのは初めてだ。
 そのため、練習する時間が欲しいのだ。


「今日は来たばかりだし、予定は入れていないぞ!練習するなら、一階にある稽古用の部屋を使うと良い...君たち、案内を頼む!」


 美梓豪がそう言うと、ドア付近に立っていた護衛神がこちらに向かってきた。


「「「ありがとうございます!」」」


 三神はお礼を言って護衛神について行くことにした。


「お兄様たち、頑張ってー!楽しみにしていまーす!」


 美夢華は小さな体でぴょこぴょこと飛び跳ねながら手を振った。
 三神は笑顔で手を振り返した。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...