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ー光ー 第六章 燦爛鳳条国
第七十八話 焔光山
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焔光山に入って、約六時間が経過した。
悪神が出てくる様子がないため、皆の緊張も徐々に薄くなってきた。
「きゃぁっ、で...でかい虫が!!」
「姉様......びっくりしたじゃないですか......てっきり悪神が出たのかと......」
天李偉は虫が苦手で、先程から騒いでいる。
今回は天李偉の肩に落ちてきた。
紫色の芋虫だ。......気持ち悪い。
それに比べ同じ女神である天麗華は......
「はい、これで大丈夫よ」
なんと、見たことの無いデカイ虫であるというのに、鷲掴みで芋虫を取ってあげたのだ。
「ありがとう...麗華ちゃん......」
天麗華はそのまま芋虫を道の端に逃がしてあげた。
「凄いですね......姉上。僕も虫無理なんだ......」
「男神のお前が触れなくて、女神である麗華様が触れるなんてな」
天俊熙が笑いながら言うと、天光琳はムスッとした。
「気持ち悪いんだもん......それに毒があったらどうするー......」
「あら、この虫さんから出ている液体に触ってしまったわ......」
天麗華がそう言うと、皆は天麗華の方を見た。
天麗華の手には緑色のドロドロした液体が付いていた。
「ソイツは毒があるぞ!?素手で触ったの!?」
京極伽耶斗は急いで天麗華の方へ行った。
「ほら!毒あるでしょ!」
天光琳と天俊熙と天李偉も走って天麗華の元へ行った。
「手を貸して」
京極伽耶斗は天麗華の手を片手で持ち、もう片方の手からは光を出した。そしてその光を天麗華の手の上にかざす......すると、緑色のドロドロとした液体は水のようにサラサラになり、こぼれ落ちていった。
「これでもう大丈夫。もう素手で触らないでね。これ、時間が経つと手が壊死してしまうから」
「壊死してしまうのね......。それは危ないところだったわ......ありがとう」
どうやら京極伽耶斗は治療の能力があるそうだ。
壊死して死んでしまうと聞き、天光琳は怖くなり、辺りを見渡した。
また降ってきたらどうしようかと、不安になってしまう。
「ほら、こうやって触ってしまうと......あ”あ”ー!!」
「バカ兄......」
京極伽耶斗は真面目そうに見えて、実は天然なのかもしれない。
ダメと言っているのに、触ってしまったのだ。
そして手にべっとりと緑の液体が付いてしまった。
京極庵はため息をついた。
そして天光琳はあることに気づいた。
天麗華が京極伽耶斗のことをじっと見つめている。 ......耳が赤い。
これは......。
焔光山に入ってから一日経った。
しかしまだ悪神が出てくる様子は無い。
「疲れた......全然いないよね」
「だな......。心臓持たないから、なるべく早く出てきて欲しいんだけどなぁ」
皆は疲れて、休憩をしている。
天光琳と天俊熙はパンを食べながら大きな岩を背もたれにして休憩することにした。
休憩中でも、扇や扇子、剣などは手から離さず持っている。
「ねぇねぇ俊熙」
「なに?」
天光琳はなぜか嬉しそうに微笑んでいる。
「うわっ、どうした?悪神に取り憑かれたのか!?」
「ち、違うよ!!耳貸して......」
そう言って天光琳は天俊熙の耳元で小さな声で話した。
「姉上、もしかしたら伽耶斗さんのこと......好きなのかもしれない...!!」
「えっ!?本当か!?」
天俊熙は大声で言ったため、天光琳は焦り「しーっ!」と必死に言った。
天俊熙と天光琳は天麗華がいる方を見た。
「確かに......!!」
天麗華は京極伽耶斗と楽しそうに話している。
天麗華の隣には天李偉がいるのだが、天李偉は距離を取っている。天李偉も気づいているのだろうか。
「おぉ~~楽しそうだな~、いいな~~」
「姉上のあんな笑顔、はじて見たかも~~」
二神は嬉しそうに二神を眺めた。
その様子はまるで恋バナをしている女神のようだった。
もう既に日が暮れている。
「仮眠をとろうか。数名は仮眠して、数名は見張りをするのはどうかな」
京極伽耶斗がそう言うと、皆は頷いた。
寝不足では集中力も切れ、危険だろう。
「でもここは岩が多くて、危ないわよね」
「そうね、どこかに移動した方が良いと思うわ」
天李偉がそう言うと、天麗華も賛成した。
確かにここは危険だ。
寝心地が良いところは逆に危ないが、ここは眠れるような場所では無い。
皆は荷物を持ち、立ち上がった.........と、次の瞬間。
「うわっ!?なんだ!?」
「き...霧!?」
「この山で霧なんて初めてだぞ!?」
「どうなってる!?」
急に辺りが霧で覆われた。
「光琳、いるか!?」
「うん、大丈夫!」
天俊熙はとりあえず隣にいた天光琳がいるかどうか確認した。
そして手を伸ばした。......しかし。
「あ...あれ?光琳......?」
「なに?どうしたの?」
隣から声が聞こえるはずなのに、いくら手を伸ばしても何も掴めない。
(まずいぞ......)
天俊熙は焦った。
いや、天俊熙だけではない。皆焦っている。
「李偉ちゃん!?」
「麗華ちゃん......隣にいるんじゃないの!?」
「一歩も動いてないわ......どうして......。か...伽耶斗さんは!?」
「伽耶兄!」
「僕も移動していない......麗華さんと李偉さんの近くにいるはずだ......!!」
皆混乱状態だ。
声は近くで聞こえるのに辺りは霧のせいで何も見えない。
それに火をつけていた棒も火は消え、鳳条国の神が神の力を使っても、すぐに火は消えてしまった。
違和感を感じた京極庵は大声で叫んだ。
「この霧は自然に発生した霧じゃない......何者かが力を使って霧をだしたんだ!」
自然に発生した霧でも消えることがない燦爛鳳条国の炎はなぜかすぐに消えてしまう。これはもう何者か......悪神がだした霧だろう!!
「ぅ......うぅ......」
「光琳!?」
天光琳は頭がぼーっとしてしゃがみ込んだ。
天麗華や天俊熙は助けに行こうとしたが、天光琳がどこにいるか分からない。
これはかなり危険だ。
すると突然、来た道の方からベタ...ベタ......と何者かが歩いてくるような音が聞こえた。
「みんな逃げろ!!」
天俊熙が叫ぶと、皆は音が聞こえる反対側へ逃げることにした。
「光琳!走れるか!?」
「だい......じょうぶ......なんとかっ!」
いくら探しても天光琳の姿が見えないため、天俊熙は走れるかどうか確認した。
天光琳はなんとか走れるようだ。
ぼーっとしながらも必死に走って逃げる。
前が見えず、尖った岩で皮膚が切れてしまった者も数名いるが構わず逃げる。
皆いるか確認しながら逃げていく。
しかしまだ足音は聞こえる。
天光琳はどんどん意識が遠ざかっていく。
「やば......い」
「「光琳!」」
天麗華と天俊熙は叫んだ。しかし声は遠くから聞こえてくる。離れてしまったのだ。
ついに天光琳は立っていられなくなり、ふらっと後ろに倒れてしまった。
すると、何者かに受け取れられた。
「光琳か?!」
「...!」
この声は京極庵だ。
悪神じゃなくて良かった...と安心したが、足音はどんどん大きくなってきた。
京極庵は天光琳を背負い、逃げることにした。
「光琳!!大丈夫!?」
「光琳!?」
天麗華と天俊熙は大声で名前を呼んだが、天光琳の声は帰ってこなかった。
「大丈夫だ。俺が今背負っている!」
天光琳の意識はないようだ。
しかし京極庵がおぶっているようなので、二神はホッとした。
......が。この険しい道を背負ったまま逃げるのはかなり体力がいる。
京極庵も体力がもう限界に近い。
「はぁ......はぁ......」
「大丈夫か庵!」
なんと、京極伽耶斗の声はすぐ近くで聞こえてきた。
前を見ると、京極伽耶斗の姿が見えた。
「庵!」
「伽耶兄!」
二神は驚いた。
「良かった!......庵、変わるよ!」
「ありがとう」
そう言った次の瞬間。
「うわっ!?」「なっ!?」
足元が急にグラグラと揺れ、二神は体制を崩した。
「どうした!?」
天俊熙がそう叫んだ......瞬間
「「うわぁぁぁあ!!」」
二神の叫び声とともに、岩が崩れる大きな音が聞こえた。
悪神が出てくる様子がないため、皆の緊張も徐々に薄くなってきた。
「きゃぁっ、で...でかい虫が!!」
「姉様......びっくりしたじゃないですか......てっきり悪神が出たのかと......」
天李偉は虫が苦手で、先程から騒いでいる。
今回は天李偉の肩に落ちてきた。
紫色の芋虫だ。......気持ち悪い。
それに比べ同じ女神である天麗華は......
「はい、これで大丈夫よ」
なんと、見たことの無いデカイ虫であるというのに、鷲掴みで芋虫を取ってあげたのだ。
「ありがとう...麗華ちゃん......」
天麗華はそのまま芋虫を道の端に逃がしてあげた。
「凄いですね......姉上。僕も虫無理なんだ......」
「男神のお前が触れなくて、女神である麗華様が触れるなんてな」
天俊熙が笑いながら言うと、天光琳はムスッとした。
「気持ち悪いんだもん......それに毒があったらどうするー......」
「あら、この虫さんから出ている液体に触ってしまったわ......」
天麗華がそう言うと、皆は天麗華の方を見た。
天麗華の手には緑色のドロドロした液体が付いていた。
「ソイツは毒があるぞ!?素手で触ったの!?」
京極伽耶斗は急いで天麗華の方へ行った。
「ほら!毒あるでしょ!」
天光琳と天俊熙と天李偉も走って天麗華の元へ行った。
「手を貸して」
京極伽耶斗は天麗華の手を片手で持ち、もう片方の手からは光を出した。そしてその光を天麗華の手の上にかざす......すると、緑色のドロドロとした液体は水のようにサラサラになり、こぼれ落ちていった。
「これでもう大丈夫。もう素手で触らないでね。これ、時間が経つと手が壊死してしまうから」
「壊死してしまうのね......。それは危ないところだったわ......ありがとう」
どうやら京極伽耶斗は治療の能力があるそうだ。
壊死して死んでしまうと聞き、天光琳は怖くなり、辺りを見渡した。
また降ってきたらどうしようかと、不安になってしまう。
「ほら、こうやって触ってしまうと......あ”あ”ー!!」
「バカ兄......」
京極伽耶斗は真面目そうに見えて、実は天然なのかもしれない。
ダメと言っているのに、触ってしまったのだ。
そして手にべっとりと緑の液体が付いてしまった。
京極庵はため息をついた。
そして天光琳はあることに気づいた。
天麗華が京極伽耶斗のことをじっと見つめている。 ......耳が赤い。
これは......。
焔光山に入ってから一日経った。
しかしまだ悪神が出てくる様子は無い。
「疲れた......全然いないよね」
「だな......。心臓持たないから、なるべく早く出てきて欲しいんだけどなぁ」
皆は疲れて、休憩をしている。
天光琳と天俊熙はパンを食べながら大きな岩を背もたれにして休憩することにした。
休憩中でも、扇や扇子、剣などは手から離さず持っている。
「ねぇねぇ俊熙」
「なに?」
天光琳はなぜか嬉しそうに微笑んでいる。
「うわっ、どうした?悪神に取り憑かれたのか!?」
「ち、違うよ!!耳貸して......」
そう言って天光琳は天俊熙の耳元で小さな声で話した。
「姉上、もしかしたら伽耶斗さんのこと......好きなのかもしれない...!!」
「えっ!?本当か!?」
天俊熙は大声で言ったため、天光琳は焦り「しーっ!」と必死に言った。
天俊熙と天光琳は天麗華がいる方を見た。
「確かに......!!」
天麗華は京極伽耶斗と楽しそうに話している。
天麗華の隣には天李偉がいるのだが、天李偉は距離を取っている。天李偉も気づいているのだろうか。
「おぉ~~楽しそうだな~、いいな~~」
「姉上のあんな笑顔、はじて見たかも~~」
二神は嬉しそうに二神を眺めた。
その様子はまるで恋バナをしている女神のようだった。
もう既に日が暮れている。
「仮眠をとろうか。数名は仮眠して、数名は見張りをするのはどうかな」
京極伽耶斗がそう言うと、皆は頷いた。
寝不足では集中力も切れ、危険だろう。
「でもここは岩が多くて、危ないわよね」
「そうね、どこかに移動した方が良いと思うわ」
天李偉がそう言うと、天麗華も賛成した。
確かにここは危険だ。
寝心地が良いところは逆に危ないが、ここは眠れるような場所では無い。
皆は荷物を持ち、立ち上がった.........と、次の瞬間。
「うわっ!?なんだ!?」
「き...霧!?」
「この山で霧なんて初めてだぞ!?」
「どうなってる!?」
急に辺りが霧で覆われた。
「光琳、いるか!?」
「うん、大丈夫!」
天俊熙はとりあえず隣にいた天光琳がいるかどうか確認した。
そして手を伸ばした。......しかし。
「あ...あれ?光琳......?」
「なに?どうしたの?」
隣から声が聞こえるはずなのに、いくら手を伸ばしても何も掴めない。
(まずいぞ......)
天俊熙は焦った。
いや、天俊熙だけではない。皆焦っている。
「李偉ちゃん!?」
「麗華ちゃん......隣にいるんじゃないの!?」
「一歩も動いてないわ......どうして......。か...伽耶斗さんは!?」
「伽耶兄!」
「僕も移動していない......麗華さんと李偉さんの近くにいるはずだ......!!」
皆混乱状態だ。
声は近くで聞こえるのに辺りは霧のせいで何も見えない。
それに火をつけていた棒も火は消え、鳳条国の神が神の力を使っても、すぐに火は消えてしまった。
違和感を感じた京極庵は大声で叫んだ。
「この霧は自然に発生した霧じゃない......何者かが力を使って霧をだしたんだ!」
自然に発生した霧でも消えることがない燦爛鳳条国の炎はなぜかすぐに消えてしまう。これはもう何者か......悪神がだした霧だろう!!
「ぅ......うぅ......」
「光琳!?」
天光琳は頭がぼーっとしてしゃがみ込んだ。
天麗華や天俊熙は助けに行こうとしたが、天光琳がどこにいるか分からない。
これはかなり危険だ。
すると突然、来た道の方からベタ...ベタ......と何者かが歩いてくるような音が聞こえた。
「みんな逃げろ!!」
天俊熙が叫ぶと、皆は音が聞こえる反対側へ逃げることにした。
「光琳!走れるか!?」
「だい......じょうぶ......なんとかっ!」
いくら探しても天光琳の姿が見えないため、天俊熙は走れるかどうか確認した。
天光琳はなんとか走れるようだ。
ぼーっとしながらも必死に走って逃げる。
前が見えず、尖った岩で皮膚が切れてしまった者も数名いるが構わず逃げる。
皆いるか確認しながら逃げていく。
しかしまだ足音は聞こえる。
天光琳はどんどん意識が遠ざかっていく。
「やば......い」
「「光琳!」」
天麗華と天俊熙は叫んだ。しかし声は遠くから聞こえてくる。離れてしまったのだ。
ついに天光琳は立っていられなくなり、ふらっと後ろに倒れてしまった。
すると、何者かに受け取れられた。
「光琳か?!」
「...!」
この声は京極庵だ。
悪神じゃなくて良かった...と安心したが、足音はどんどん大きくなってきた。
京極庵は天光琳を背負い、逃げることにした。
「光琳!!大丈夫!?」
「光琳!?」
天麗華と天俊熙は大声で名前を呼んだが、天光琳の声は帰ってこなかった。
「大丈夫だ。俺が今背負っている!」
天光琳の意識はないようだ。
しかし京極庵がおぶっているようなので、二神はホッとした。
......が。この険しい道を背負ったまま逃げるのはかなり体力がいる。
京極庵も体力がもう限界に近い。
「はぁ......はぁ......」
「大丈夫か庵!」
なんと、京極伽耶斗の声はすぐ近くで聞こえてきた。
前を見ると、京極伽耶斗の姿が見えた。
「庵!」
「伽耶兄!」
二神は驚いた。
「良かった!......庵、変わるよ!」
「ありがとう」
そう言った次の瞬間。
「うわっ!?」「なっ!?」
足元が急にグラグラと揺れ、二神は体制を崩した。
「どうした!?」
天俊熙がそう叫んだ......瞬間
「「うわぁぁぁあ!!」」
二神の叫び声とともに、岩が崩れる大きな音が聞こえた。
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