鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

文字の大きさ
78 / 184
ー光ー 第六章 燦爛鳳条国

第七十七話 燦爛鳳条国

しおりを挟む
 次の日。
 昨日の夜、急いで準備をし、早めに寝た。
 そして今日、朝食を食べてから出発することになった。

 皆心配していた。
 今日は修行に行くつもりだったので、天宇軒が草沐阳に事情を伝えてくれるそうだ。

 そして三神......と天李偉は、燦爛鳳条国に到着した。


「すいません、姉様。急に......」

「大丈夫よ、弟が頑張ってるのだから、私も頑張らないと!」


 天李偉は天俊熙に笑顔で話したあと、扇子で口元を隠し、天光琳の方を睨んだ。


(ひぃ.....すいません、すいません...!!.)


 なんであんたのために私が行かなきゃ行けないんだよ!っと言っているように感じた。

 天李静の方がまだマシだったが......天李静はまだ他国へ行くことが出来ない。
 そのため、天李偉になったのだ。


「よく来てくれた......」


 この神は......鳳条王、鳳条眞秀ほうじょうまほろだ。
 白髪の年老いた王で、優しそうな見た目をしているが......今はとても申し訳なさそうな顔をしている。


「我が国のために...わざわざ......ありがとうございます......」

「いえいえ!頭をお上げください!!」


 天光琳に言われ、鳳条眞秀はゆっくりと頭を上げた。
 まさか来てそうそう、他国の王に頭を下げられるとは......。


 四神は燦爛鳳条国の城の中央広間に案内された。

 来る途中、外の景色が見えた。
 燦爛鳳条国は人間界でいう、日本の中国地方の上らへんにあるそうで、簪専門店、扇子専門店のように和風な建物が並んでいる。
 そしてそこら中に炎が神々しく燃えている。
 透明な正方形のガラスのなかに、炎があったり、大きな棒の上で燃えていたりなど、様々だ。


「あの炎って、触ったら火傷しますか......?」

「する...な。他国の神は触ると火傷しますよで、気をつけてください」


 ...ということは、この国の神が触っても問題ないのだろう。
 燦爛鳳条国の神は必ず炎を出し、操る能力を持っているそうだ。

 その能力が使えないと、何も出来ない。天光琳はこの国の神じゃなくて良かったと安心した。

 火を出す能力なら、天俊熙と...天麗華は持っている。しかし自由自在に操る能力は持っていない。

 操るとはどういう感じなのだろう...と天光琳は思った。


「この広間に悪神が現れました」


 鳳条眞秀はゆっくりとした優しい声だが、この言葉を聞いた瞬間四神はゾワっとした。


「それ、もう少し早く言ってください!!」


 天李偉は震えながら言った。
 この広間に現れて連れてこいと言っていたなら、天光琳がここに来た瞬間、悪神が現れる可能性も考えられるからだ。


「あぁ、すいません。ですが大丈夫です。ここには現れないはずです。......悪神は"焔光山えんこうざん"で待っていると言っていましたので......」


 また山に現れたそうだ。
 山は戦いにくいし、山にいる神も少ない。
 助けにくく、危険だ。


「四神では危険ですので、鳳条国の護衛神と、案内役の私の友人の息子の弟の息子の兄弟を同行させます」


 遠いな...と思ったが、そこは突っ込まないほうが良いだろう。

 案内人がいるのはありがたい。
 知らない山に行くのは危険すぎるからだ。

「今から呼んでくるのでしばしお待ちを......」


 十分後


 扉が開き、鳳条眞秀の後ろに二神の男神が立っていた。歳は...そこまで離れてなさそうだ。


「連れてきました。京極伽耶斗と京極庵です。二神とも、案内をするのじゃ」

「初めまして、天国の皆様。僕の名前は京極伽耶斗きょうごくかやと。危険な任務ですが、絶対に生きて帰りましょう!よろしくお願いします...!」


 とても明るい方だ。
 身長が高く、四神の中で一番背が高いのは天俊熙なのだが、そんな天俊熙より背が高い。


「俺は京極庵きょうごくいおり。伽耶斗の弟だ。よろしくお願いします」


 京極庵は......大人しくクールな性格だ。
 身長は天光琳より少し身長が高いが同じぐらいだ。
 フード付きの羽織を着ていて、フードをつけているせいか、表情は暗いように見える。


「伽耶斗くんは二十四歳、庵くんは十五歳......」

「十八です」

「あ、すまんすまん、庵くんは十八歳。皆さんと歳は同じだと思うので、仲良くしてあげてください」


 年齢を間違えられて、京極庵はムスッとしている。


「庵は、もう少しで誕生日なので、十九歳かな?」

「じゃあ俺と同い年だ」

「一応...僕とも同い年......」


 天光琳、天俊熙と同じ年齢だが、京極庵は二神より大人っぽく見える。
 しかし、ムスッとしている様子は、まだまだ幼くも見える。

 四神も自己紹介をし終わったあと、早速炎光山へ向かうことにした。

 玉桜山の時のように、食料は護衛神が持つ。
 天光琳は剣と扇、天俊熙と天麗華は扇を持ち、京極兄弟は......

 扇子を二つ腰にさしている。


「もしかして、鳳条国も舞なのですか!?」

「そうだよ。天国も舞なんだっけ?」

「そうです!」


 天光琳は同じ舞の国だと知り、嬉しくなった。


「この扇子を両手で持って舞うんだ。光琳くんたちは?」

「僕たちはこの扇を片手で持って舞います」


 同じ舞でも道具は違った。
 扇より小さな扇子を両手で持って舞うのだ。
 天光琳はいつか見てみたいと思った。


「そろそろ麓に着くぞ。気を引き締めていこう」


 京極庵がそういい、天俊熙、天麗華、天光琳、天李偉は前を見た。

 目の前に見える景色は......とても暗い森だった。
 一気に緊張してきた。

 桜雲天国のように木々には提灯が付いておらず、薄暗い。


「暗いけれど......大丈夫なんですか?」


 天俊熙が恐る恐る聞くと、京極伽耶斗は後ろを指さしたため、天国の四神は後ろを振り返った。


「大丈夫だよ。あの棒に火をつけて、照らすんだ」


 護衛神は金色の棒を取り出し、神の力を使って火をつけた。


「これはどんなに強い風が吹いても消えることは無いから大丈夫だよ、はい」


 そう言って、一神に一つ、火がついた棒を渡した。
 片手は塞がってしまうが、危険な時は投げ捨てて良いと言われた。
 投げ捨てても、燦爛鳳条国の神が消さない限り消えないし、神の力で生み出された火のため、森は燃えることはないようなので安心だ。


 皆火がついた棒を持ったことを確認すると、ゆっくりと焔光山に入っていった。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」

まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。 目が覚めたら、婚約破棄されていた。 理由は「地味で面白みがない」から。 泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。 最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。 でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。 厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。 そして就任スピーチで宣言した。 「500人全員の名前を、覚えます」 冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。 悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。 元婚約者は——後悔し始めていた。 婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。 なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。

とある中年男性の転生冒険記

うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...