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ー光ー 第七章 焦る仲間
第九十九話 雨
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天麗華たちと別れてから約一時間後、雨が降ってきた。最初はパラパラと小粒の雨が降っていたのだが、急に大雨になった。
今日も三十分で険しい道を登りきる修行をやっていたのだが、ゴールの桜の木から小屋まで帰るその途中で降ってしまった為、天光琳はびしょ濡れだ。
草沐阳は小屋で待っているため、とりあえずそのまま向かうことにした。
雨のせいで服や髪の毛が水を吸い、体が重い。
水溜まりを踏んでしまい、靴と服に泥水が飛び散って汚れてしまった。
しかしそれを気にせず天光琳は小屋まで戻っていく。
もう少しで小屋に到着する...と言う時に、番傘を持った草沐阳が小走りで天光琳の方に向かってきた。
手にはもう一つ番傘を持っていた。
今更傘なんて遅いが......。
「光琳!びしょ濡れだよな......とりあえず風邪ひかないように、俺の家で湯浴みした方が良い」
「はい......ありがとうございます」
まるで空は天光琳の気持ちを表しているように感じられる。
天光琳は燦爛鳳条国から帰ってきて笑顔をあまり見せなくなったが、最近は更に見せなくなった。
今もそうだ。
恐らく最近の天麗華と天俊熙のことについても不安なのだろう。
天光琳は番傘を受け取り、開いた。
もう濡れているため必要ないのだが、わざわざ持ってきてくれたのに使わないなんて申し訳ない。
天光琳は修行のためお団子にしていた髪を下ろした。
下ろすと長い髪の毛からぽたぽたと雫がこぼれ落ちる。
「風邪引かないと良いが......」
草沐阳の家に到着した。
天光琳は家の中を濡らしてしまわないように、入口の前で水をできるだけはらい、草沐阳が持ってきてくれたタオルで水をよく拭き取った。
ある程度拭き取り家に上がると、草沐阳が風呂に案内してくれた。
風呂は家の中と同じ木造づくりになっていて、一神暮らしにしては大きな湯船。
そして暖かいお湯が溜まっている。天光琳が水をはらっている時に貯めてくれたのだろう。
天光琳は体をサッと洗い流し、湯船に使った。
肩まで浸かり浴槽にもたれかかった。
「疲れたな......」
いつもより修行をしていないはずなのに、今日は一段と疲れた。
天光琳は風呂の天井をぼーっと見つめた。
✿❀✿❀✿
風呂から上がると、先程まで着ていた服が乾いていた。
天光琳は不思議に思いながら着替え、草沐阳がいるリビングに行った。
「温まったか?」
「はい。......服が乾いてるの...老師がやってくださったのですか?」
「そうだ。俺には濡れた服を乾かす能力があるからな」
なるほど...と天光琳は理解した。
日常的には役に立つ能力だ。
天光琳は礼を言ったあと、テーブルの上が気になり、目を向けた。
「これは......」
「はっはっは、俺の特性料理たちだ」
テーブルの上には美味しそうな料理が並んでいた。
キノコとベーコン、玉ねぎなどの野菜沢山コンソメスープにマカロニグラタン。丸いパンにアップルパイ。
そういえばもう昼食の時間だ。
「城の料理には劣ると思うが......」
「いえ、美味しそうです」
天光琳は嬉しそうに微笑んだ。
草沐阳が椅子を引き、その席に座った。
そして草沐阳と一緒に昼食を始めた。
やはり草沐阳の料理は美味しかった。
天光琳は頬に手を当て、幸せそうにしている。その様子を見て草沐阳は嬉しくなった。
天光琳はスープを一口飲んだあと、テーブルに置き、スープのカップを両手で包むように持った。
「......老師ってお祖父様みたい......あっ、悪い意味じゃなくて!......なんというか......あたたまるというか......」
「まぁ、宇軒を息子のような存在だと思っているからな。......老師ではなく、おじいちゃんって呼んでもいいんだぞ?」
「え、いいのですか......?」
独身である草沐阳は元々天宇軒を息子のように思っていて、天光琳のことはを弟子、教え子......だとは思っておらず、孫のような存在だと思っている。
そのため、実はずっと「おじいちゃん」と呼んで欲しかったのだ。
「おじ......い.........うーん......やっぱり、そのままでも良いですか...?慣れないというか......」
「そうか......そうだよな」
草沐阳は少し残念そうにしたが、やはり老師と呼ばれた方がしっくりくる。
そのため、そのままでも良いか......と思った。
天光琳は全て完食し、草沐阳も満足そうにしていた。
特にスープが美味しく、三回もおかわりした。
そのたび草沐阳は嬉しそうにスープを入れてくれた。
「ありがとうございます。......また食べに来ても良いですか...?」
「良いぞ!いつでも大丈夫だ。......嫌でなければ修行しに来た日は毎回食べに来てもよいぞ......?」
「いいのですか!?......ではお願いします」
天光琳はニコッと微笑んだ。
「俊熙も呼ぶんだぞ...!」
「はい...!」
草沐阳の料理はあたたかく、とても体が温まった。
しかしまだ雨は降っている。
修行は出来なさそうなので、一時間ほど暖炉の前で温まったあと、小屋へ移動し、舞の稽古をすることにした。
そして夕食の時間一時間前になると、いつも通り草沐阳が城まで送ってくれた。
城に戻ると直ぐに天麗華と出会い、夕食の時間までずっとそばにいて今日の出来事や好きな本など様々なことを聞かれ、話した。
(うーん......やっぱりなにかおかしいな......)
天光琳はそう思いながら天麗華と会話を楽しんだ。
夕食を食べたあとは風呂に入り、部屋に戻ってきた。
部屋に戻ると、天俊熙がソファにもたれかかって座っていた。
疲れきった様子で、首を上に向けたまま目を閉じていた。
「眠いならベッドで寝れば良いのに......」と天光琳は思ったが、そっとしておくことにした。
「おー......おかえり。...ごめんな、今日行けなくて......」
「うんん、大丈夫だよ」
天光琳は「全く気にしていないよ」と平気そうに言った。
それより天俊熙はなぜそこまで疲れているのか分からず、そちらの方が気になる。
天光琳は聞こうとしたが、天俊熙の疲れきった顔を見て辞めた。
(また明日聞こう)
天光琳はそう思い椅子に座り、テーブルの上に置いておいた読みかけの本を開いた。
しかし、一分ほどしか経っていないというのに、何故か今日は本を読む気にならず、そっと本を閉じてテーブルの上に置いた。
「珍しいな、お前がそんなすぐに本閉じるなんて」
目を閉じていたはずの天俊熙が目を擦りながら言った。
「読む気にならなくてね......」
天光琳は立ち上がり、本棚に本を戻すことにした。
一番上の段に戻したいのだが......届くか正直微妙な高さにある。
取る時は椅子を使って取り出したのだが......今は天俊熙がいるため、椅子を使いたくない。
その理由は......
突然、「ぷっ」と笑い声が聞こえ、天光琳は振り返った。
「なに?どうしたの?」
「いや、お前、その本棚の一番上の段、背伸びしないと届かないんだなーって」
天俊熙が笑いながらそう言うと、天光琳はまた本棚に体を向け、口を尖らせた。
「いいじゃん別に低くたって.........よい...しょ」
「俺が戻そうか?」
「いいっ!」
天光琳は背伸びをして何とか戻し、天俊熙の方を振り向いた。
先程まですごく疲れているように見えたが、今はそうでも無さそうだ。
天光琳と天俊熙は同い年だが、天光琳は百六十七センチ、天俊熙は百七十六センチと身長が九センチも違う。
二神のことを知らない神からすると、兄弟だと間違えてしまうだろう。
「僕はチビじゃないからね、俊熙が高いんだから」
「ははは、ごめんて」
天俊熙はたまに身長についていじってくる。
そのため、天俊熙の前では椅子を使って戻したくなかったのだ。
だが結局、使わなくても背伸びしただけで笑われてしまった。
別にバカにしている訳では無いが......少し悔しい。
「ふわぁ~~、もう寝るかぁ」
天俊熙はあくびをしながら言った。
いつもより早い時間だが、疲れを取るなら充分な睡眠は必要だろう。
二神はそれぞれのベッドに横になり、目を閉じた。
今日も三十分で険しい道を登りきる修行をやっていたのだが、ゴールの桜の木から小屋まで帰るその途中で降ってしまった為、天光琳はびしょ濡れだ。
草沐阳は小屋で待っているため、とりあえずそのまま向かうことにした。
雨のせいで服や髪の毛が水を吸い、体が重い。
水溜まりを踏んでしまい、靴と服に泥水が飛び散って汚れてしまった。
しかしそれを気にせず天光琳は小屋まで戻っていく。
もう少しで小屋に到着する...と言う時に、番傘を持った草沐阳が小走りで天光琳の方に向かってきた。
手にはもう一つ番傘を持っていた。
今更傘なんて遅いが......。
「光琳!びしょ濡れだよな......とりあえず風邪ひかないように、俺の家で湯浴みした方が良い」
「はい......ありがとうございます」
まるで空は天光琳の気持ちを表しているように感じられる。
天光琳は燦爛鳳条国から帰ってきて笑顔をあまり見せなくなったが、最近は更に見せなくなった。
今もそうだ。
恐らく最近の天麗華と天俊熙のことについても不安なのだろう。
天光琳は番傘を受け取り、開いた。
もう濡れているため必要ないのだが、わざわざ持ってきてくれたのに使わないなんて申し訳ない。
天光琳は修行のためお団子にしていた髪を下ろした。
下ろすと長い髪の毛からぽたぽたと雫がこぼれ落ちる。
「風邪引かないと良いが......」
草沐阳の家に到着した。
天光琳は家の中を濡らしてしまわないように、入口の前で水をできるだけはらい、草沐阳が持ってきてくれたタオルで水をよく拭き取った。
ある程度拭き取り家に上がると、草沐阳が風呂に案内してくれた。
風呂は家の中と同じ木造づくりになっていて、一神暮らしにしては大きな湯船。
そして暖かいお湯が溜まっている。天光琳が水をはらっている時に貯めてくれたのだろう。
天光琳は体をサッと洗い流し、湯船に使った。
肩まで浸かり浴槽にもたれかかった。
「疲れたな......」
いつもより修行をしていないはずなのに、今日は一段と疲れた。
天光琳は風呂の天井をぼーっと見つめた。
✿❀✿❀✿
風呂から上がると、先程まで着ていた服が乾いていた。
天光琳は不思議に思いながら着替え、草沐阳がいるリビングに行った。
「温まったか?」
「はい。......服が乾いてるの...老師がやってくださったのですか?」
「そうだ。俺には濡れた服を乾かす能力があるからな」
なるほど...と天光琳は理解した。
日常的には役に立つ能力だ。
天光琳は礼を言ったあと、テーブルの上が気になり、目を向けた。
「これは......」
「はっはっは、俺の特性料理たちだ」
テーブルの上には美味しそうな料理が並んでいた。
キノコとベーコン、玉ねぎなどの野菜沢山コンソメスープにマカロニグラタン。丸いパンにアップルパイ。
そういえばもう昼食の時間だ。
「城の料理には劣ると思うが......」
「いえ、美味しそうです」
天光琳は嬉しそうに微笑んだ。
草沐阳が椅子を引き、その席に座った。
そして草沐阳と一緒に昼食を始めた。
やはり草沐阳の料理は美味しかった。
天光琳は頬に手を当て、幸せそうにしている。その様子を見て草沐阳は嬉しくなった。
天光琳はスープを一口飲んだあと、テーブルに置き、スープのカップを両手で包むように持った。
「......老師ってお祖父様みたい......あっ、悪い意味じゃなくて!......なんというか......あたたまるというか......」
「まぁ、宇軒を息子のような存在だと思っているからな。......老師ではなく、おじいちゃんって呼んでもいいんだぞ?」
「え、いいのですか......?」
独身である草沐阳は元々天宇軒を息子のように思っていて、天光琳のことはを弟子、教え子......だとは思っておらず、孫のような存在だと思っている。
そのため、実はずっと「おじいちゃん」と呼んで欲しかったのだ。
「おじ......い.........うーん......やっぱり、そのままでも良いですか...?慣れないというか......」
「そうか......そうだよな」
草沐阳は少し残念そうにしたが、やはり老師と呼ばれた方がしっくりくる。
そのため、そのままでも良いか......と思った。
天光琳は全て完食し、草沐阳も満足そうにしていた。
特にスープが美味しく、三回もおかわりした。
そのたび草沐阳は嬉しそうにスープを入れてくれた。
「ありがとうございます。......また食べに来ても良いですか...?」
「良いぞ!いつでも大丈夫だ。......嫌でなければ修行しに来た日は毎回食べに来てもよいぞ......?」
「いいのですか!?......ではお願いします」
天光琳はニコッと微笑んだ。
「俊熙も呼ぶんだぞ...!」
「はい...!」
草沐阳の料理はあたたかく、とても体が温まった。
しかしまだ雨は降っている。
修行は出来なさそうなので、一時間ほど暖炉の前で温まったあと、小屋へ移動し、舞の稽古をすることにした。
そして夕食の時間一時間前になると、いつも通り草沐阳が城まで送ってくれた。
城に戻ると直ぐに天麗華と出会い、夕食の時間までずっとそばにいて今日の出来事や好きな本など様々なことを聞かれ、話した。
(うーん......やっぱりなにかおかしいな......)
天光琳はそう思いながら天麗華と会話を楽しんだ。
夕食を食べたあとは風呂に入り、部屋に戻ってきた。
部屋に戻ると、天俊熙がソファにもたれかかって座っていた。
疲れきった様子で、首を上に向けたまま目を閉じていた。
「眠いならベッドで寝れば良いのに......」と天光琳は思ったが、そっとしておくことにした。
「おー......おかえり。...ごめんな、今日行けなくて......」
「うんん、大丈夫だよ」
天光琳は「全く気にしていないよ」と平気そうに言った。
それより天俊熙はなぜそこまで疲れているのか分からず、そちらの方が気になる。
天光琳は聞こうとしたが、天俊熙の疲れきった顔を見て辞めた。
(また明日聞こう)
天光琳はそう思い椅子に座り、テーブルの上に置いておいた読みかけの本を開いた。
しかし、一分ほどしか経っていないというのに、何故か今日は本を読む気にならず、そっと本を閉じてテーブルの上に置いた。
「珍しいな、お前がそんなすぐに本閉じるなんて」
目を閉じていたはずの天俊熙が目を擦りながら言った。
「読む気にならなくてね......」
天光琳は立ち上がり、本棚に本を戻すことにした。
一番上の段に戻したいのだが......届くか正直微妙な高さにある。
取る時は椅子を使って取り出したのだが......今は天俊熙がいるため、椅子を使いたくない。
その理由は......
突然、「ぷっ」と笑い声が聞こえ、天光琳は振り返った。
「なに?どうしたの?」
「いや、お前、その本棚の一番上の段、背伸びしないと届かないんだなーって」
天俊熙が笑いながらそう言うと、天光琳はまた本棚に体を向け、口を尖らせた。
「いいじゃん別に低くたって.........よい...しょ」
「俺が戻そうか?」
「いいっ!」
天光琳は背伸びをして何とか戻し、天俊熙の方を振り向いた。
先程まですごく疲れているように見えたが、今はそうでも無さそうだ。
天光琳と天俊熙は同い年だが、天光琳は百六十七センチ、天俊熙は百七十六センチと身長が九センチも違う。
二神のことを知らない神からすると、兄弟だと間違えてしまうだろう。
「僕はチビじゃないからね、俊熙が高いんだから」
「ははは、ごめんて」
天俊熙はたまに身長についていじってくる。
そのため、天俊熙の前では椅子を使って戻したくなかったのだ。
だが結局、使わなくても背伸びしただけで笑われてしまった。
別にバカにしている訳では無いが......少し悔しい。
「ふわぁ~~、もう寝るかぁ」
天俊熙はあくびをしながら言った。
いつもより早い時間だが、疲れを取るなら充分な睡眠は必要だろう。
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