穏やかな午後の、魔法のジャム作り

あめとおと

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鈍感な騎士と、素直になれない令嬢の結末

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エマさんの家の庭で、セバスが淹れたお茶を飲みながら、こんなやり取りがあったはずです。

1. カイルの「誓い」

王都へ発つ前夜、カイルはセシリアを庭に呼び出しました。騎士らしい、あまりにも真面目な顔で。

「セシリア様。俺は教官として、あなたが誇れるような立派な騎士団を作ります。……だから、その、あなたが王都で新しいサロンを開くとき、その門番でも、庭師でもいい。一番近くで守らせていただけませんか?」

セシリアは呆れたように溜息をつきました。

「カイル様、あなたは本当に救いようのない石頭ですわね。……門番や庭師に、わたくしの隣を歩く権利があるとでも思っていますの?」

カイルがシュンとした瞬間、セシリアは彼の裾をぎゅっと掴んで、顔を真っ赤にしながら続けました。

「……わたくしの『夫』になる人間にしか、そんな特権は与えませんわ!」


2. 見守る面々

その様子を、窓の隙間からエマさんとアル、そしてセバスが並んで見ていました。

• アル: 「ねえ、カイル兄ちゃん、なんで怒られてるの?」

• エマ: 「ふふふ、あれはね、とっても素敵な愛の告白なのよ」

• セバス: (無言でハンカチを噛み締めながら、感極まって眼鏡を曇らせている)


その後:王都での二人

二人がひっついた後の関係は、こんな感じです。

• 「騎士の教官」と「サロンのオーナー」: 平日はお互いバリバリ働いていますが、週末になると、カイルがセシリアのサロンに顔を出します。セシリアが慣れない手つきで作った(少し形の崩れた)お菓子を、カイルが世界一のご馳走のように食べるのが恒例の風景。

• 二人の共通の趣味: 長期休暇のたびに、二人でエマさんの家に里帰りします。その時だけは、カイルは「教官」の顔を捨て、セシリアは「公爵令嬢」の顔を捨てて、アルと一緒に川で魚を捕ったり、エマさんの畑を手伝ったりしています。


おまけ:セバスの心境

セバスは、二人が結婚したことで「カイル様の専属執事」兼「セシリア様の執事」になり、多忙を極めています。

でも、エマさんの家でアルと文通を続けており、手紙にはいつも「早くアル様が王都へ修業に来ることを願っています。

私の後継者が必要ですので」と書かれているとかいないとか。

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