穏やかな午後の、魔法のジャム作り

あめとおと

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結婚式の空に舞った、世界一の「お裾分け」

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カイルとセシリアの結婚式は、王都の大きな大聖堂ではなく、彼らの強い希望で「エマさんの家の大きな庭」で行われました。

参列者は町の住人と、少しの親しい貴族たち。そして、誰よりも張り切っているアルとセバスです。


アル君の「特大の祝福」

式のクライマックス、新郎新婦が指輪を交換した瞬間のこと。

アルは自分に課された大役、「お祝いの魔法の花火を打ち上げる」ために杖を構えました。

「エマさん、見てて。特訓の成果を出すから!」

アルが放った魔法は、空高く昇り……そしてパチンとはじけました。

しかし、現れたのは花火ではなく、なんと数千個の「小さな一口パン」でした。

アルが緊張のあまり、お祝いの気持ち(と、パンを食べさせたい食欲)を混ぜこぜにして魔法をかけたせいで、空から焼きたてのパンが雪のように降ってきたのです。


予期せぬ奇跡

「わわっ、ごめんなさい! 失敗しちゃった!」

慌てるアル。しかし、次の瞬間、会場は驚きと歓声に包まれました。

空から降ってくるパンを、庭にいた何百もの「風の精霊」たちがキャッチし、参列者一人一人の手元へと優しく運び始めたのです。

そのパンは、セシリアが泥だらけで育てた小麦と、アルが魔法をかけ、エマさんが見守った、あの「思い出の味」でした。


結ばれた絆

セシリアは、ドレスの裾に落ちてきたパンを拾い上げ、カイルと顔を見合わせて笑いました。

「ふふっ、最後まで計算通りにいかないわね、私たちの毎日は」

カイルも、パンを一つ口に入れ、感極まった表情で頷きます。

「ああ。でも、最高に美味しいな」

背後では、セバスが「……予定外ですが、ゲストの満足度は過去最高です」と、涙で曇った眼鏡を拭きながら手帳に記録しています。

エマさんは、そんな若者たちを温かく見つめながら、空に向かって小さく手を振りました。

精霊たちも、幸せな香りに包まれて、いつまでも楽しそうに踊り続けていました。


これにて、エマさんと仲間たちの物語は、本当におしまいです。


一編の温かい絵本を読み終えたような、そんな余韻があなたに届いていますように。
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