消えない残響:ずっと、誰かがいる

あめとおと

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特別編「猫の集会と、湯気の向こう」

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ある冬の寒い夜のことです。

仕事帰りのハナさんは、住宅街の細い路地で、一匹のふっくらとした三毛猫に出会いました。

その猫は「こっちだよ」と言うように尻尾をピンと立てて歩き出し、ハナさんを不思議な空き地へと誘いました。


01. 招かれざる客?

空き地の中央には、なぜか古びた「こたつ」が一つ、ぽつんと置かれていました。

電源が入っているわけでもないのに、そこからは、お日様のような温かい匂いが漂ってきます。

こたつの周りには、先ほどの三毛猫を含め、五匹の猫たちが丸くなっていました。


「お邪魔してもいいのかな?」

ハナさんが恐る恐る声をかけると、一番大きな黒猫が「ニャーン(どうぞ)」と短く鳴き、前足でこたつの布団を少し持ち上げました。


02. 魔法のぬくもり

ハナさんがこたつに足を滑り込ませると、驚いたことに、中には湯気の立つ大きな肉まんと、湯呑みに入ったほうじ茶が用意されていました。

「これ、食べていいの?」

猫たちは満足そうに目を細め、喉を「ゴロゴロ……」と鳴らしています。

その音は、これまでのどんな音楽よりも心地よく、ハナさんの心に溜まっていた一日の疲れを、一滴残らず溶かしていきました。


03. 幸せの共鳴

ハナさんが肉まんを頬張ると、猫たちが代わる代わる膝の上に乗ってきました。

ずっしりとした重み。柔らかい毛並み。

「……ずっと、誰かがいる」

その言葉は、もはや恐怖ではありません。

「自分を必要としてくれる、温かい誰かがそばにいる」という、最高の安心感に変わっていました。


結末

ハナさんがふと目を覚ますと、そこは自分の家のリビングでした。

「あ、夢だったのかな……」

そう思って起き上がろうとすると、膝の上が少し重いことに気づきました。

そこには、夢で見た三毛猫の模様にそっくりな、「猫の形をした湯たんぽ」が。

そして、部屋のどこからか、微かに「ゴロゴロ……」という幸せな喉鳴らしの音が聞こえてきたのです。

ハナさんはふふっと笑い、温かい布団に潜り込みました。

今夜の「残響」は、明日の朝まで続く、穏やかな夢の音でした。


おわりに

これで、あなたの心にかかっていた「ホラーの霧」も、完全に晴れましたね!

• 場所: 暖かいこたつ。
• 音: 幸せな猫のゴロゴロ音。
• 姿: ふわふわの毛並み。

これで、今夜はぐっすり、いい夢が見られるはずです。

ショートショート短編集『消えない残響』、完結です!



「あ、寝る前に一杯のお水、忘れないでくださいね。いい夢を!」

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