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第八話 記録
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第八話 記録
会社のプロフィール一覧に、違和感を見つけたのは偶然だった。
新入社員の紹介ページを眺めていると、
自分の名前が見当たらない。
スクロールする。
部署別一覧。
いない。
検索窓に入力する。
該当なし。
「不具合かな」
隣の席――だった場所を振り返る。
そこには、知らない社員が座っている。
前からいたような顔で、
前からあるキーボードを打っている。
総務にメールを送る。
返信はすぐに来た。
“該当する社員は在籍しておりません”
一瞬、意味が分からなかった。
自分の社員証を見る。
顔写真はある。
でも、名前の部分だけが白い。
空欄。
帰宅して、卒業アルバムを開く。
確かに写っていたはずの集合写真。
ページをめくる。
クラス全員が並んでいる。
一人分、空間がある。
肩と肩の間に、
不自然な余白。
でも、誰も気にしていない顔で笑っている。
裏表紙に書いたはずの寄せ書きも、
私のページだけ真っ白だ。
スマホの写真フォルダを開く。
自撮りはある。
風景もある。
でも、誰かと一緒に写っている写真は、
すべて一人になっている。
肩に置かれていたはずの手は、
最初からなかったみたいに消えている。
通知が鳴る。
“記録を最適化しました”
画面が少しだけ暗くなる。
鏡を見る。
そこには、ちゃんと自分がいる。
でも、焦点が合いにくい。
まるで、
背景の方がはっきりしているみたいに。
壁の時計が鳴る。
誰もいない部屋で。
そのとき、初めて思う。
消えているのは、記録じゃない。
私のほうが、
少しずつ、
外側へ移動しているだけなのだと。
会社のプロフィール一覧に、違和感を見つけたのは偶然だった。
新入社員の紹介ページを眺めていると、
自分の名前が見当たらない。
スクロールする。
部署別一覧。
いない。
検索窓に入力する。
該当なし。
「不具合かな」
隣の席――だった場所を振り返る。
そこには、知らない社員が座っている。
前からいたような顔で、
前からあるキーボードを打っている。
総務にメールを送る。
返信はすぐに来た。
“該当する社員は在籍しておりません”
一瞬、意味が分からなかった。
自分の社員証を見る。
顔写真はある。
でも、名前の部分だけが白い。
空欄。
帰宅して、卒業アルバムを開く。
確かに写っていたはずの集合写真。
ページをめくる。
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一人分、空間がある。
肩と肩の間に、
不自然な余白。
でも、誰も気にしていない顔で笑っている。
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スマホの写真フォルダを開く。
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でも、誰かと一緒に写っている写真は、
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肩に置かれていたはずの手は、
最初からなかったみたいに消えている。
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そこには、ちゃんと自分がいる。
でも、焦点が合いにくい。
まるで、
背景の方がはっきりしているみたいに。
壁の時計が鳴る。
誰もいない部屋で。
そのとき、初めて思う。
消えているのは、記録じゃない。
私のほうが、
少しずつ、
外側へ移動しているだけなのだと。
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