名前で激しくネタバレする推理小説 ~それでも貴方は犯人を当てられない~ 絶海の孤島・連続殺人事件!

はむまる

文字の大きさ
11 / 18

シーン10 ~第三の犠牲者~

しおりを挟む
キャーと、屋敷の外から悲鳴が上がった。

「なんだ、どうした」

ボンクラー警部補が、飲みかけのコーヒーを置いて立ち上がった。

ーーやはり、外出を許可したのは、間違いだったか?

警部補は、素早く頭を回転させながら、声のする方に向かった。

朝になると、人々は少しずつ、大広間から離れて行動するようになった。ボンクラー警部補は全員に、十分に警戒するよう促したが、単独行動でなければ、多少は問題ないと考えていた。

おそらく一連の殺人事件の犯人は、フメイナルだ。、、、そこまでは、ボンクラー警部補も分かっていた。もうどこかに逃げてしまったかもしれないし、まだ、屋敷のどこかに潜んでいるかもしれない。

この屋敷に残っていたとして、フメイナルがこのまま、全員を殺して回る、ということはさすがに考えにくいと、警部補は判断していた。

何しろ、人数が多い。複数人で行動していればーー特に男性がいれば、襲われても、多少は抵抗できる。一撃でやられなければ、残りの人間が駆けつけて、フメイナルを取り押さえることができるのではないか。

そう考えていたから、使用人たちが「嵐の影響で、屋敷に傷んだところがないか、外の様子を見たい」と言い出したときも、二人以上で行動することを条件に、許可した。

中年の男性の使用人と、まだ若い女性の使用人が二人で、外に出て行った。それから十分もしないうちに、悲鳴が聞こえたのだ。

ーーもしフメイナルが現れたのなら、私が逮捕しなければ!

慌てて駆け付けると、屋敷を出て少し歩いたところにある、物置のような場所で、中年の使用人が青ざめた顔で前方を指さしていた。見ると、若い女性の使用人が、腰をぬかしてへたりこんでいる。

そのすぐそばに、段ボール箱があった。

「ここ、こんなものが置いてありました。昨晩はなかったのに」

「、、、中身を見たのですかな?」

ボンクラー警部補が、十分に警戒しながら段ボールに近づく。中年男性の使用人は、段ボール箱に近寄りたくないようで、歯をガチガチ言わせながら答えた。

「はい、そそそそれが、恐ろしいものが入っていまして」

ボンクラー警部補が、ゆっくりと、ふたを開けた。

「うっ! これは、、、!」

警部補は思わず、息をのんだ。

それは、切断された人間の頭部だった。スグシヌンジャナイ氏の時と同じ、土気色をした、生首だ。

段ボールの中には、白いカードが一緒に入っていた。

「くそ、またしてもか」

ボンクラー警部補は、うんざりした声でいった。

それはトランプのカードだった。ハートの3。

殺人犯からのメッセージだろうか? そのカードはまるで、屋敷の中にいるすべての人間をあざ笑うかのように見えた。

~~~

「これは、フメイナル氏の首です。」

現場に駆けつけたメイタンテーヌが、そう断言した。

「間違いないのかね?」

「はい、前歯が一本ないですし、、、特徴的な顔ですから、覚えています。これは、昨晩私と会話し、スグシヌンジャナイ氏と話しているところを目撃された後、行方不明になっていたユクエ・フメイナル氏です」

同様にフメイナルをパーティで見かけていたシン・ハンニン神父も、悲しそうに頷いた。

「いやはや、驚いた、、、フメイナル氏が、殺人犯だと思っていた。しかし彼がこうして、殺されてしまったとなると、殺人犯は別にいることになるな。」

「我々の知らない、また別の人間がいると? その人間が、屋敷の中の人を殺しまわっているのでしょうか。」

「わからん。。。今の時点では、何とも言えない。」

ボンクラー警部補は、くやしそうに言った。

「もうたくさんだ! こんなに人が死ぬなんて! 隣の島から、捜査員はいつ来てくれるんですか!」

ミスリード氏が、突然怒鳴った。不安のあまり、感情が爆発したようだ。

「、、、まだ海が荒れている、という情報が入っている。夜になってしまうと、基本的に船は出せないから、もし今日の夕方までにフェリーが来ないようようであれば、到着は明日になるかもしれません」

「もう一晩、このままここで過ごせっていうんですか。。。」

ミスリード氏が、がっくりと肩を落として言った。昨晩からきている黒いスーツに、だいぶシワが入ってきている。その顔には、疲労の色が見て取れた。

「うむ、これは早くに犯人を捕まえてしまわないと、こちらが精神的にまいってしまいますな。」

ボンクラー警部補は、考え込みながら言った。しかし実のところ、誰が犯人なのか、さっぱり見当がつかなかった。

「メイタンテーヌさん、さすがに、このあたりで推理を入れないと、まずいんじゃないですか」

フラグミールが、メイタンテーヌのひじをつかんで、ひそひそ声でいった。

「、、、あまりにも、犯人サイドが、やりたい放題です」

「私も、同じことを考えていた。」

メイタンテーヌが、前髪を人差し指でかきあげながら、きっぱりと言った。

「犯人が誰なのか、どうやって殺害したのか。ここから名推理で、当てて見せる!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...