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ジ・エンド
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槍が彼の胸を貫いた。
瞬く間に、私の眼前に広がる無数の大群がこちらに押し寄せてくる。
相手にとっての歓喜の瞬間。
私達にとっての一つの絶望。
全てを守ると誓った彼は、私と私達の未来を必ず守ると約束した彼は。
たった一つの槍に突き刺されて、あっさりとその身を落とした。
心を揺るがす間もなく、魔の総てが押し寄せて、私の仲間を次々に殺し始める。側近の者が、退陣を促すけれど、もう手遅れだった。
背中だけを、ずっと私に見せ続けてくれる彼はもう無かった。
大地にうつ伏せに倒れ、様々な者に無遠慮に踏みつけられ、彼の体はボロボロになっていく。
もう、そこには彼の魂はないかもしれない。だけど。だとしても。それはあまりに惨い光景で、私は見ていられなくなって目を伏せ、涙で浸る顔を手で覆った。
名も知らない兵士も確かに居た。だけれど、名を知る者の方が遥かに多かった。
その家族や親族のこと、好きな女の子の名前さえ、語ることもあったのだ。私はそういった意味では民にとても恵まれていた。
彼を落とした我々に勝ち目はないのに、それでもなお勇敢に戦い続けようとする戦士達の咆哮が耳に響く。だけれど、そんな声も数刻も持たない内にかき消された。無遠慮に斬りつけられ、殴打され、本当に苦しみ悶え絶命していく彼等の断末魔が、私には何千と伝わって、その悲痛さや凄惨さを、涙だけではとても賄いきれそうになかった。
側近の者達が、退陣の不可を悟ると、鞘から剣を取り出し始める。金属の擦れる音が数度聞こえ、私を幼少期からどこまでも世話してくれた家族のような存在。彼等の終わりもまた悟らざるを得なかった。
「姫よ。どうかお逃げください。我々が時間を稼いでいる間に」
その言葉は、我々が命を捧げている間に、と同じ意味だった。
私が涙でいっぱいで「待って、行っては駄目です!」などと、言葉を紡げないでいる内に、彼等は自分達の士気を、ただ叫ぶことだけによって無理やりに整え、それぞれの乗る馬を疾走させて、私から遠ざかっていった。
私の周りにはもはや誰もいなくなった。
待っていてくれる人、私が統べ守っていくべき人たちは全て、砂漠の砂塵が風でしゅるりと舞い、まるで肌を透き抜けていくように、さらりと消えていく。
そんな私の最後に抱いた虚無的な心象さえ、最早誰にも伝わらないのだと悟ると、私は涙の粒を落とすことを辞した。唇を痛いと感じるぐらい噛む。青褪めていた頬を、無理矢理に赤く赤く、染め上げていく。
白馬から降りて固い地面を踏む。
全てが終わる。
私の、我々の終焉。
その前にただ唯一、行っておきたいこと。
私は腰に当てていた小剣を鞘からするりと抜き出し、邪魔な足元のドレスを刈り取り、髪を紐でくくると、彼の亡骸の元へ走った。
瞬く間に、私の眼前に広がる無数の大群がこちらに押し寄せてくる。
相手にとっての歓喜の瞬間。
私達にとっての一つの絶望。
全てを守ると誓った彼は、私と私達の未来を必ず守ると約束した彼は。
たった一つの槍に突き刺されて、あっさりとその身を落とした。
心を揺るがす間もなく、魔の総てが押し寄せて、私の仲間を次々に殺し始める。側近の者が、退陣を促すけれど、もう手遅れだった。
背中だけを、ずっと私に見せ続けてくれる彼はもう無かった。
大地にうつ伏せに倒れ、様々な者に無遠慮に踏みつけられ、彼の体はボロボロになっていく。
もう、そこには彼の魂はないかもしれない。だけど。だとしても。それはあまりに惨い光景で、私は見ていられなくなって目を伏せ、涙で浸る顔を手で覆った。
名も知らない兵士も確かに居た。だけれど、名を知る者の方が遥かに多かった。
その家族や親族のこと、好きな女の子の名前さえ、語ることもあったのだ。私はそういった意味では民にとても恵まれていた。
彼を落とした我々に勝ち目はないのに、それでもなお勇敢に戦い続けようとする戦士達の咆哮が耳に響く。だけれど、そんな声も数刻も持たない内にかき消された。無遠慮に斬りつけられ、殴打され、本当に苦しみ悶え絶命していく彼等の断末魔が、私には何千と伝わって、その悲痛さや凄惨さを、涙だけではとても賄いきれそうになかった。
側近の者達が、退陣の不可を悟ると、鞘から剣を取り出し始める。金属の擦れる音が数度聞こえ、私を幼少期からどこまでも世話してくれた家族のような存在。彼等の終わりもまた悟らざるを得なかった。
「姫よ。どうかお逃げください。我々が時間を稼いでいる間に」
その言葉は、我々が命を捧げている間に、と同じ意味だった。
私が涙でいっぱいで「待って、行っては駄目です!」などと、言葉を紡げないでいる内に、彼等は自分達の士気を、ただ叫ぶことだけによって無理やりに整え、それぞれの乗る馬を疾走させて、私から遠ざかっていった。
私の周りにはもはや誰もいなくなった。
待っていてくれる人、私が統べ守っていくべき人たちは全て、砂漠の砂塵が風でしゅるりと舞い、まるで肌を透き抜けていくように、さらりと消えていく。
そんな私の最後に抱いた虚無的な心象さえ、最早誰にも伝わらないのだと悟ると、私は涙の粒を落とすことを辞した。唇を痛いと感じるぐらい噛む。青褪めていた頬を、無理矢理に赤く赤く、染め上げていく。
白馬から降りて固い地面を踏む。
全てが終わる。
私の、我々の終焉。
その前にただ唯一、行っておきたいこと。
私は腰に当てていた小剣を鞘からするりと抜き出し、邪魔な足元のドレスを刈り取り、髪を紐でくくると、彼の亡骸の元へ走った。
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