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第一章 出会い編
出会い編 7
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7.
『悠介って全然男らしくないよね。頼りないしつまらない』
『悠介の顔が気に入って告白したけど……ほんとに顔だけでウンザリする』
『この変な服全部捨ててよ! 俺に恥かかせないで!』
『悠介は何も喋らないでくれる? イライラするから』
『俺は悠介を抱きたい。抱かせろよ』
『どうせお前はその顔で男を誘ってるんだろ?』
これまで付き合ってきた元恋人たちは皆口々にそう言った。悠介の外見を重視し、自分のステータスとして支配下に置こうとしていたのだ。しかし何を言っても何をしても自分色に染まらない悠介にヒステリーを起こし、そして最終的には別れを告げて離れていった。
顔が好きだという理由で告白してきて、いざ付き合ってみると悠介の個性的な性格が受け入れられず、悠介の外見以外の全てを否定し、最終的には彼氏と呼べるような扱いではなくなる。どの男も高確率で暴力をふるい、そして見せつけるように堂々と浮気をした。
高身長ではあるが、細く少し女性的な見た目の悠介を抱きたいとストーキングしてくる男もいた。
前者に対して悠介は悠介なりに相手を想い大切にしていたつもりだった。できる限り相手に合わせ、相手の好みになろうと努力した。それでも相手には足りなかったようで、結果はいつも同じだった。そして悠介は人と違う自分が全部悪いんだ、と思うようになっていった。
元々低い自己肯定がさらに低くなり、生きてる意味さえ考えるようになった。それでも、悠介は可愛い、悠介は悪くにゃい、悠介の良さを知ろうともしにゃい、と言ってくれるニャーが傍にいてくれて支えてくれているから生きてきてこられた。
顔が好きと言われて告白され、顔だけだと否定され、今度こそはと思っても同じ事の繰り返しで、いつしか悠介は傷付くことを恐れ、元々の対人恐怖症も相まって人と関わることを極端に避けるようになったのだ。そして祖父の代からお世話になっている優しく温かい人達がいる商店街から出なくなった。
そもそも悠介は可愛い男が好きなわけではない。イケメンで男前なカッコイイ男が好きなのだ。しかし言い寄ってくる男は皆、自分の可愛さを知っていてそれをアピールしてくるような子たちで、そうではない悠介好みの男の場合は相手もタチだった。それでも悠介は自分を好きだと言ってくれる彼らを尊重し、それなりに好きだと思っていた。とはいえ後者はどうしても無理で、危なかったことは何度もあったが運良く今まで抱かれたことはない。
そういういくつもの辛い事が重なって悠介は疲れ果ててしまい、もう無理だと思った。自分と本当に愛し合える人なんてこの世にはいない、もうこれ以上傷付きたくない。あんな悲しい思いをするのなら、一生ニャーと二人で静かに暮らしていく方が幸せだと心の底から思ったのだった。
「……すけ! 悠介!」
ニャーに呼ばれて、悠介はハッとして我に返った。いつの間にか過去を思い出し、思考に耽っていたようだ。
悠介は呼んでくれたニャーの頭に手を添え、優しく撫でる。いつだってニャーは呼び戻して支えてくれる。悠介に、安心と幸福を与えてくれる。
「ごめんごめん。ぼーっとしてた」
そう言ってニャーにこれ以上心配させまいと笑う悠介は内心を隠そうとしていても隠しきれずに悲し気で、悠介が母親のお腹の中にいる時から一緒にいるニャーには悠介が考えている事が手に取るように分かった。
「今までのヤツらは気にする必要にゃいニャ。みんにゃ悪いやつニャ。記憶から消すニャ」
「……悪いやつかどうかは分からないけど……でも、そうだね……ニャーの言うとおりだよね」
頭では分かっていても、ニャーにはそう返事をしても、心の傷はトラウマとなり簡単には癒えてくれず、いつでも優しく愛してくれるニャーに心配をかける事しかできないなんて情けない、と自分を嫌悪しキュッと唇を噛んだ。
「ニャーはいつだって悠介の味方ニャ」
「……うん。ニャーがいてくれないと俺は生きていけないよ。嘘じゃないよ、ほんとだよ」
ニャーは悠介から離れる気は微塵もないが、それでも先に言ったように悠介には悠介を大切に想い愛してくれるパートナーが必要だと思っている。
そして柊一郎が悠介に好意を寄せているということは確実だと思っているし、悠介も柊一郎に好意を持っている。それでも悠介は過去に囚われて怯え、これまで以上に閉鎖的になっているのだ。もどかしい気持ちで二人を見守るしかないのか、と悠介を見つめながら思う。
「……さて、そろそろお店閉めようか。ニャーも手伝ってよ」
ニャーに見つめられ少しいたたまれなくなった悠介は努めて明るく言った。
「ニャーはにゃにも持てにゃいニャ」
「俺も何も持てないよう……」
「悠介はニャーより大きいのに力がにゃいからニャ」
「そうだよ。俺、力ないんだからニャーが運んでよう」
そう言って拗ねたような顔をしながらうんしょうんしょとワゴンを店内へ運んでいる悠介に小さく笑って、ニャーは誰にでも優しく少し頼りないけれど、穏やかで真面目で純粋な悠介には辛い過去に囚われずいつまでも笑っていて欲しいと心から思った。
『悠介って全然男らしくないよね。頼りないしつまらない』
『悠介の顔が気に入って告白したけど……ほんとに顔だけでウンザリする』
『この変な服全部捨ててよ! 俺に恥かかせないで!』
『悠介は何も喋らないでくれる? イライラするから』
『俺は悠介を抱きたい。抱かせろよ』
『どうせお前はその顔で男を誘ってるんだろ?』
これまで付き合ってきた元恋人たちは皆口々にそう言った。悠介の外見を重視し、自分のステータスとして支配下に置こうとしていたのだ。しかし何を言っても何をしても自分色に染まらない悠介にヒステリーを起こし、そして最終的には別れを告げて離れていった。
顔が好きだという理由で告白してきて、いざ付き合ってみると悠介の個性的な性格が受け入れられず、悠介の外見以外の全てを否定し、最終的には彼氏と呼べるような扱いではなくなる。どの男も高確率で暴力をふるい、そして見せつけるように堂々と浮気をした。
高身長ではあるが、細く少し女性的な見た目の悠介を抱きたいとストーキングしてくる男もいた。
前者に対して悠介は悠介なりに相手を想い大切にしていたつもりだった。できる限り相手に合わせ、相手の好みになろうと努力した。それでも相手には足りなかったようで、結果はいつも同じだった。そして悠介は人と違う自分が全部悪いんだ、と思うようになっていった。
元々低い自己肯定がさらに低くなり、生きてる意味さえ考えるようになった。それでも、悠介は可愛い、悠介は悪くにゃい、悠介の良さを知ろうともしにゃい、と言ってくれるニャーが傍にいてくれて支えてくれているから生きてきてこられた。
顔が好きと言われて告白され、顔だけだと否定され、今度こそはと思っても同じ事の繰り返しで、いつしか悠介は傷付くことを恐れ、元々の対人恐怖症も相まって人と関わることを極端に避けるようになったのだ。そして祖父の代からお世話になっている優しく温かい人達がいる商店街から出なくなった。
そもそも悠介は可愛い男が好きなわけではない。イケメンで男前なカッコイイ男が好きなのだ。しかし言い寄ってくる男は皆、自分の可愛さを知っていてそれをアピールしてくるような子たちで、そうではない悠介好みの男の場合は相手もタチだった。それでも悠介は自分を好きだと言ってくれる彼らを尊重し、それなりに好きだと思っていた。とはいえ後者はどうしても無理で、危なかったことは何度もあったが運良く今まで抱かれたことはない。
そういういくつもの辛い事が重なって悠介は疲れ果ててしまい、もう無理だと思った。自分と本当に愛し合える人なんてこの世にはいない、もうこれ以上傷付きたくない。あんな悲しい思いをするのなら、一生ニャーと二人で静かに暮らしていく方が幸せだと心の底から思ったのだった。
「……すけ! 悠介!」
ニャーに呼ばれて、悠介はハッとして我に返った。いつの間にか過去を思い出し、思考に耽っていたようだ。
悠介は呼んでくれたニャーの頭に手を添え、優しく撫でる。いつだってニャーは呼び戻して支えてくれる。悠介に、安心と幸福を与えてくれる。
「ごめんごめん。ぼーっとしてた」
そう言ってニャーにこれ以上心配させまいと笑う悠介は内心を隠そうとしていても隠しきれずに悲し気で、悠介が母親のお腹の中にいる時から一緒にいるニャーには悠介が考えている事が手に取るように分かった。
「今までのヤツらは気にする必要にゃいニャ。みんにゃ悪いやつニャ。記憶から消すニャ」
「……悪いやつかどうかは分からないけど……でも、そうだね……ニャーの言うとおりだよね」
頭では分かっていても、ニャーにはそう返事をしても、心の傷はトラウマとなり簡単には癒えてくれず、いつでも優しく愛してくれるニャーに心配をかける事しかできないなんて情けない、と自分を嫌悪しキュッと唇を噛んだ。
「ニャーはいつだって悠介の味方ニャ」
「……うん。ニャーがいてくれないと俺は生きていけないよ。嘘じゃないよ、ほんとだよ」
ニャーは悠介から離れる気は微塵もないが、それでも先に言ったように悠介には悠介を大切に想い愛してくれるパートナーが必要だと思っている。
そして柊一郎が悠介に好意を寄せているということは確実だと思っているし、悠介も柊一郎に好意を持っている。それでも悠介は過去に囚われて怯え、これまで以上に閉鎖的になっているのだ。もどかしい気持ちで二人を見守るしかないのか、と悠介を見つめながら思う。
「……さて、そろそろお店閉めようか。ニャーも手伝ってよ」
ニャーに見つめられ少しいたたまれなくなった悠介は努めて明るく言った。
「ニャーはにゃにも持てにゃいニャ」
「俺も何も持てないよう……」
「悠介はニャーより大きいのに力がにゃいからニャ」
「そうだよ。俺、力ないんだからニャーが運んでよう」
そう言って拗ねたような顔をしながらうんしょうんしょとワゴンを店内へ運んでいる悠介に小さく笑って、ニャーは誰にでも優しく少し頼りないけれど、穏やかで真面目で純粋な悠介には辛い過去に囚われずいつまでも笑っていて欲しいと心から思った。
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