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14話

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葵〈目線〉

今日は、僕の誕生日だったんだな。僕は今まで祝ってもらったことがなかった。
両親は前にも言ったと思うけど僕が寝ている間に帰ってきてまた出ていく。という大変いそがしいのだ。まぁ、それは僕のために働いてくれているんだ。そう思えばつらいことなんてなかった。
そんな僕でも誕生日だけは、忘れて欲しくなかった。小さい頃は毎年誕生日だけはお父さんとお母さんに祝って欲しかった。でも1度もなかった。だから僕は誕生日というものは必ず祝ってもらえると言う考え方はやめた。
だから、僕は自分の誕生日なんて忘れていたのだ。

僕からは先生に教えていないから、親に書いてもらった資料から見つけたんだろうな。

それにしても、誕生日を祝ってもらう。って言うことはこんなに嬉しいんだ。今までは特別な日とか思わずただ1歳ずつ増えていくだけだと思ってた。まあーあながち間違いではないけどね笑

でも、どこか先生は遠い目をしているように感じるのだ。それが日々少しずつ不安に繋がるんだ。
もしかしたら・・・ あ、だめだ。先生はこの前絶対に僕を捨てたりなんかしないそう言ってくれたから。

好きな人のことなんて疑ったらダメだよね。信じて付き合わなきゃ。

実際、こうして誕生日を祝ってくれてるんだ。美味しい料理も美味しいケーキまで。ほんとに幸せだ。

最近、反抗してばっかりだったからなぁ。決してこれからの進路に困ってる訳では無い。こう言ったらなんだが今の点数なら何かしらの高校は行ける。担任や親はもっとレベルの高いとこ受けた方がいい。そう言うけれど僕は正直どこの高校へ行きたいとかない。将来こうなりたいとかもない。だから普通かのどこかへ行ければいいんだ。

でも、僕はテストで上手くいかないことや今回の単元は特に難しい。もしかしたらガクッと点数が落ちるかもしれないんだ。

だから、そう考えていくとどうしても先生に反抗して嫌な事言ったりすることが最近多かった。

それでも先生は何1つ嫌な顔せず、そんな僕を受け入れてくれる。

最後には僕も先生に甘えてしまいそれを先生はホッとするような笑みで僕の顔を覗いてくる。間近で見る先生の顔はテレビに出ていてもおかしくないくらいカッコイイんだ。そんな先生にドキドキしてしまう。

でも、1つ心配なことがあるんだ。それは年の差。僕は全く気にしてないんだけど先生はどう感じてんのだろ。毎日好き好きと言ってくれるけど僕のことをガキだとか子供すぎて無理。そう思っているんじゃないか??
僕も稼ぐようにさえなれば、先生に少しは楽な生活させれるんだろうな。
僕は家にいたった1人だ。両親はあまり見ることは無いけど帰ってきてはちゃんとご飯を作ってくれるし、提出書類は忘れずサインをしてくれている。やるべきことはやってくれているからな。僕ばっかがそんな楽な生活していいわけがない。だから早くバイトしたい、とにかく高校生になりたいそして親や先生を少しずつでも楽にして上げたい。そう思うことはいい事だよね?

だから、まだ秋だ。ひとまず来週ある後期中間テストを頑張んなくちゃ。

ちなみに、前期の内申は45がMAXで39だったんだ。オール4か5が少しの4がほとんどで、なかなか40は超えない。けど前期も39だったからそれなりの高校は受ける資格がある。だから後期も落とさないようにしなきゃね。勉強や進路のことは先生だって一緒に考えてくれるだろう。
 
今はひたすら勉強だ。よし頑張ろ。
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