ゲイ向け風俗落ちを回避したΩ、異世界転移して妖怪αの番に指名されてしまいました

鶴機 亀輔

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アルファ至上主義のテロリスト

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 その後、平安貴族が住んでいそうな家に連れて行ってもらい、一緒に住むことになった。

 翌日には、彼のご両親や弟さんの住む洋館であいさつをした。婚約者という形で彼の側にいることを認めてもらい、その足で生活必需品を買いに人生初のショッピングデート。

 仕事が決まるまでの間は、ものに宿るつくがみさんたちや庭の妖精さんたち、家に宿る座敷わらちゃんと交流を深め、公安の仕事で忙しい天さんに代わって家事を行った。

 こっちの戸籍を作ってもらってから一ヵ月後には、犬のおまわりさんたちが勤務する警察署の近くにある和食レストランで、運よく雇ってもらえた。

 こっちの世界に来てから早半年。

 オメガの差別が少ないこの世界で快適な日々を送っている。

 家へ帰っても、ひとりじゃない。

 天さんのご両親や弟さんは、本当の家族みたいにで、頻繁に連絡を取ったり、家を行き交っている。

 仕事の忙しい天さんとも夜になれば会えるし、非番の日は外でデートをしたり、家でまったり過ごしている。

 ちなみに彼が仕事仲間と担当しているテロリスト集団を逮捕し、次の発情期が来たら彼の番になる約束だ。

 だから発情期があるときはもちろん、ないときも、お互いの身体を触り合い、オメガの産婦人科で販売されている性器拡張器ダイレーターで、少しずつアナルを広げている。

 最初は大人の女性の小指サイズでも異物感があったのに、今は一番太いサイズを入れて平気なんだから人体は不思議だ。



「……律、どうだった?」

「はい……すごく気持ちよかったです」

 お腹に入れたダイレーターを天さんに動かされ、ぜんりつせんをこねくり回されたり、気持ちのいいところを擦られて初めて中でイケた。

 手で彼のものに触ったり、かぶと合わせやフェラチオ、素股もしてアルファのペニスへの忌避感もない。

 これなら発情期が来る前に天さんとセックスできるかも!? とホクホクしながら彼の胸に頭を預ける。

「なら、よかった。オレも口で最後までシてもらって気持ちよかった」と褒められ、髪をすかれる「ところで明日は出勤か?」

「いいえ、水曜日から五日間連勤だったので、お休みです」

 明日は月曜日。バース性が初めて国内で見つけられた日で祝日だ。

「明日は、この家に一日いてくれねえか」

「お客様ですか?」

「そうじゃねえけど……祝日だと街も混むだろ? 律は、すぐ無理するから、ゆっくり家で休んでほしいんだ」

 彼の心遣いに胸がじんと熱くなる。

「ありがとうございます。では、そうさせていただきますね」

 ぬるま湯に浸したタオルで身を清め、パジャマを着たら、ふたり横に並び、手を繋いで就寝した。



 家でお昼ご飯の準備をしているとスマホが鳴った。

 店長からの電話だ。なんだろう? と画面をタップする。

『もしもし律くん、申し訳ないんだけどランチタイムだけ入ってもらえない!?』

「どうしたんです?」

『バイトの子たちの乗ってる電車が事故で立ち往生しちゃってさ。お昼前から猫の手も借りたいくらいだよ!』

「それは大変ですね……わかりました。今からバスで向かいます」

『ほんと!? 恩に着るよー』

 そうして僕は、家の中にいるあやかしに休日出勤をする旨を伝え、家を出たんだ。



「オメガ以外は全員外に出ろ!」

 黒い目隠し帽を被り、銃を手にした男たちがレストランにいる人間を選別し、アルファとベータの人間や妖を追い出した。

 そうして僕を始めとしたレストランスタッフの多くと、一部のお客様が店内に残される。

 オメガだからと未就学児が親から強引に引き離され、なんをしゃべる赤ちゃんを見逃してほしいと訴えたオメガの母親が足を打たれた。

 人々の悲鳴と泣き叫ぶ声であふれ返るとテロリストたちが天井に向かって弾を何発も打ち込んだ。

「うるせえ、黙れっつってんのが聞こえねえのか!」

「社会のゴミの分際で人様に物申してんじゃねえ!」

 そうして僕たちは、縄で後ろ手に縛られた。

 彼らはアルファ至上主義の人間でオメガをターゲットにした集団レイプや殺人も行い、公安からもマークされているみたいだ。

 もしかして天さんが、一日家にいるよう勧めたのは、こいつらが動くとわかっていたからなんじゃ……と察する。

 これじゃあ彼の足を引っ張っているも同然じゃないかと歯噛みする。

「よう、こんなところで会うとは奇遇だな」

 聞き覚えのある声がして全身に冷や汗をかく。

「俺の顔を忘れたとは言わせねえぜ」

 目隠し帽を取った男は、僕を風俗落ちさせようとした例のヤクザだった。

「ここで会ったが百年目。あっちの世界へ帰れなくても落とし前はつけさせてもらうぜ」

 制服を裂かれ、男に押し倒される。

 ほかの人たちも次々に襲われ、室内はすすり泣く声と服を破く音で充満した。

 突然、缶のようなものがいくつもレストランの中に入れられ、爆発する。

 あまりのまぶしさに何も見えなくなり、爆音のせいで耳が遠くなる。唐辛子を大量摂取したみたいに喉が焼けて息ができない。

 このまま死ぬのかな?

 天さんの番になってない。やっと幸せを掴めたのに……と涙を流しながら意識を手放した。
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