入院中に思ってた事や夢みてたこと。

皇ひびき

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11 (4月)

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 日々を一応は無駄にしたくなかった私は、筋トレと周回を、自分なりには頑張ったと思う。

 少しでも筋肉つける為にと、パワープレートなるものを使用するようになった。 スポーツジム等でも使われてるらしい機材だった。

 その機械は理学療法の担当者曰く、一回で1時間ジムで運動したのと同じくらい、いい運動になるらしいと言われた。

 そんな機器を毎日午前と午後に、大体 各4回ずつかけられる。 50歳を目前に控えたおばちゃんに、あんたら鬼か~と思いつつ、甘んじて受け続ける日々。

 しばらくは理学療法だけで、機械にかかっていたけど、しばらく経った頃に作業療法でもかける様になった。


 少しずつ苗字で呼べる人もでき始めた頃。3日に1回使用出来る、リハビリテーションルームの様子が違った。なんだか人がやたらと多かったのだ。

「研修かなんか? すごく人がいる…」

 そう言うと新入社員といえばいいのか、新しい人が入って来たらしい。

「新しく入ってきた人達ですよ」

なんて教えてもらい、軽く流してストレッチ、運動をしていた気がする。

 何日か経つと、今日は新人も見学していいかと聞かれ、別に困らないからといつも通りに、言語療法・理学療法・作業療法のリハビリを受ける。

 言語は、滑舌を良くするために、顔の運動や発音の練習をした。

 作業は、月イチのテストと先月こなせなかったテストをやったり、右手を使いスプーンで食事をする。
 顔を洗う練習をしていた。
上手く手のひらに水が貯まらず、顔を洗う練習も難儀した。

 理学は、月イチのテストと歩く練習をこなす。 けれど、脚のコントロールが聞かなくて、少し大きく右足を踏み出すと脚が揺れだして止まらないので安定した歩きは出来ない。

 けれどリハビリの時間は、好きなゲームやアニメやマンガ等オタクトークをしつつ、過ごしていたせいか楽しくてよく笑っていた気がする。

 段々と新人さんも、リハビリに参加するようになる。最初は血圧測るだけ。 そのうちに、リハビリの一部を担当し、やがて先輩が、後ろで見学する中、新人さんがリハビリをする様になった。

 たしかその頃には食堂で、よく話しかけてきたKTさんと同室だったらしいSZさんが、私のお隣りさんが転院するのを期に、私の隣りのベッドに移って来ることになった。

 KTさんとSZさんが部屋を分かれるときにすごく泣いていた記憶がある。

 ただ、私自身がすごく冷めていて、人に自分の価値を求めるのは、人がやってる分には大変そうだなで終わる。

 でも、自分がするには好きではないなと思った。

 人がやる分には、その人の自由だから、好きにすればいいと思う。
だけど、私を含めてその人達が病院にいるのは、治療するためであって依存するのは、違うような…等と、キツイ事を考えていた気がする…。

 今よりもっと余裕がなかったから、そんな事を思ってしまったのかなと、少し反省する。でも、元々ドライだから仕方ないのかもしれない。


 隣に来たSZさんは、私より年下の方で、左半身麻痺して前の病院での対処が悪かったのか、左腕を亜脱臼をしていた為、左手のリハビリは、亜脱臼が邪魔して出来ないらしかった。

 個人的に、悪い方ではなかったけれど、なにも気にせずカーテンを開けてくる。
カーテンが開いたままでも、気にしないで自分の時間を過ごせる人のようだった。

 でも、私にはそれは難しかった。
急に話しかけられたら、反応できないしと気になってしまう。
 本を読んでも、ゲームをしても、スマホを左手でいじっても、どこか落ち着かないのですぐやめてしまう。

 流石に、会話中以外カーテン開きっぱなしとなると、図太い私もあまり落ち着かないらしい。


 そんなこんなで、相方に頼んで、洗濯バサミを持ってきてもらい申し訳ないけど、ロックさせて貰った。

 ひどいかもしれないなと、思いつつも、ほんの少しはプライベートをくれよ!と思ったのは、今となってはいい思い出だ。
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