【本編完結】森の中に取り残された私と…

皇ひびき

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本編

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 薄暗く鬱蒼とした森の中を、私は不安げに歩き続ける。なぜこんな事になったのだろう。

 あの方に思いなどなかったから、婚約の破棄なら謹んで受けただろう。

 それに不誠実に女性達へと言い寄るあの方を、私は嫌悪こそすれ、愛してなどいなかった。

 けれど、後ろ盾の為と結婚を、王家に強要されていた。だからこそ、両親も泣く泣く承諾したのだ。

 私が消えねば、思い通りの方との婚姻など、出来ないと思ったのだろうか。冤罪をかけられ、着のみ着のまま、この森へと連れてこられた。

 そして、両親に会うこともままならず、この魔族領の森へと捨て置かれた。

 魔物に会ったら殺されてしまうのだろうか……。けれど、もしも話が通じるなら、共生出来るのではないだろうか。そんな淡い期待を胸に、私は当て所もなく歩き続けた。


 どれほど歩いただろうか。私の前に小さな小屋が見えてきた。鬱蒼とした森は暗さを増し、小屋からぼんやりともれた灯りが目に入る。

 ここにいるのは、魔族かもしれない。けれどこのまま野宿した所で、生き残れるのだろうか。

 深呼吸をし、覚悟を決めると、そろりそろりと足を進め扉を叩いた。

「どなたかいらっしゃいませんか?」

 カタリと音がして、扉が開いた。

「誰だ。君は何しにこんなところへ来たんだ?」

 そう言いながら、綺麗な金髪に輝くような緑の瞳をした、眼鏡をかけた長身の男性が小屋から出て来た。
 黒いスーツの様な服装が、似合っている。そんな事を考えている余裕はないけれど、相手が人の様に見えたので安心してしまったのかもしれない。

「突然とこの森に連れて来られて、捨て置かれました…。私を乗せた馬車は、すぐさまきた道を戻って行ってしまいました…。一晩だけで良いですから、泊めて頂けないでしょうか…?」

「ここに? 一晩? 君はここ魔族領が怖くないのか…?」

「怖くないと言ったら、嘘になると思います…。けれど…、言葉が通じるならお互いの、なにか力になれると思うのです…」

「………人間・・にしては、珍しい考え方をするんだな」

「そうでしょうか」


 安心したのだろうか。空腹を訴えて、鳴り出すお腹に頬が染まる。

「腹が減っているのか。食料らしい食料は持ち歩いてないんだ。この地魔族領はあまり植物が実らない…。魔獣を狩って食料にするくらいしかないんだ…」

「そうなのですか…。家の周りの土地と、キッチンをお借りしても?」

「それは構わないが、僕の話を聞いていた?」

「ではお借りしますね…。ありがとうございます」

 そう言い、私は外に出る。確かに野菜などを育てるには、不向きな土地のようだ。

 魔法を使い周りの土質を変えれば、多分出来る…。
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