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本編

21(ロイ視点)

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 私の口から伝えた事は、娘にとって、思いもよらない話だったらしい。目を白黒させていた。

「リフィルが姿を消してから、国中の作物の採取量が激減しました。何故か我が領地は変わらないままで、それを理由に来季から、領民が生きていけない程の税金を課せられそうです。それ故、領民もみすみす見捨てられないので、亡命しようかと考えています」

「リルのおかげで国中の作物の採取量が、あがっていたのか……? その事に気がついていたから、人の王は無理矢理に息子の婚約者に……?」

 呆れたように赤い目は怪しくひかり、深い溜め息をつくアレクシア様がそんな事を言った。

「リフィルが産まれてから、国中の生産性が上がりました。そういった事情報を手に入れてか、王命の婚約でリフィルをしばりつけたのでしょう…」

 好きな人と一緒にさせてあげたかった私は、歯噛みしながら言った。

「でも、女好きの馬鹿王子が勝手に消そうとしたと……。けれど、生きているのならば役に立つから、連れ戻そうと企んでいそうって事だな。勝手だな…」

「精霊様への感謝もなく、もっともっとと貪欲な人達の為に、もしなにか力があるとしても、今後彼らへと力を貸したいとは思えません……」

「そうだな。小さい頃に精霊を見たとよく言っていて、お花とか実りが多い時に、お礼とよくお供えしていたものな。リフィルは」

「昔は見えていた?」

 その言葉に娘はなにか考え込んでいるように見えた。

「リルが、この地を豊かにしてくれている。ここが魔族領という事で、恐れる人もいるかもしれない。マクレーン領地の民も、しばらく城で過ごし、共存出来れば嬉しい」

「!! こちらこそお願いしたい。最初から領地だと、流石に不安がる領民も多いと思うので、助かります」

 行きと同じく移動にはかなり時間がかかるだろう。

「どのあたりか教えてもらえれば、ゲートを作るぞ」

「あれって…、その都度魔法を使っているわけではないのですか?」

「位置さえわかれば、遠隔で作ったり消したりできるぞ」

 意味のわからない話に、私達はアレクシアと娘を見つめるしか出来なかった。

「敷地内に作った方が他の者に見られないだろうし、この位置を示す魔石を持っていって、作りたい場所に置いてきてもらえるだろうか? とりあえず地図のどの辺りだ?」

「このあたりに屋敷があります…」

 質問の意図が読めないまま、私と妻は質問だけに答えていく。

「来たのは馬車だったよな」

 アレクシア様はそう言いながら、私達を連れて外に出る。そして、城と外の空いた場所に、魔法陣が現れる。

「とりあえずいつでも移動できる様に準備だけしよう」

 アレクシア様はそういうと、馬車でこの魔法陣をくぐってほしいと言って来る。

 言葉に従った私達の乗った馬車は、領地の屋敷の近くに飛ばされていた。
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