【本編完結】森の中に取り残された私と…

皇ひびき

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本編

22(ロイ視点)

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 数週間かかる距離を一瞬で? 私達も御者も戸惑いはあったが、屋敷へと向かう。ゲートを作りたい場所についたら魔石をおいて離れて欲しいと言われたからだ。しばらくするとゲートが出来、恐る恐ると妻と入った。

「無事に開通したみたいだな」

 アレクシア様が、朗らかに笑った。

「領民の移動や、荷物の運搬に使ってくれ。悪用されないように、移動が終わったらゲートは閉じるから」

 これからやらなくてはならない事に思いを馳せる。
領民への通達。荷物の運搬。すぐに取りかかったほうがいいようだ。

「またすぐに来られるようになったから、移転の準備を先にさせてもらうよ」


 そう言って娘の頭を撫でた。

「フィール、念の為に彼らに、付いて行ってくれるか?」

「わかったよ。作物はどうするの?」

「出来れば収穫後、廃棄というのが理想かな…」

「わかりました。私が責任を持って廃棄作業をさせます」

 父が神妙な顔で言った。

「敷地内に持ってきてもらえれば、収穫後の作物や荷物に関しては、魔族領の馬車でこちらに運ぼう。流石に領地内に魔族が彷徨いているのはまずいだろうし…」

 そこまで言うと一考し、言葉を続けた。

「セイル、別館の部屋の手配と馬車の手配頼めるか? あと手紙だが、書いてくれれば式に、早急に送らせるが」

 大事な側近らしき者を、領地に貸してくれる事にも感謝してもしたりないくらいだ…。アレクシア様…、彼は幼く見える外見とは違い、思慮深い方だと感じた。

「ありがとうございます。これから各地域の担当者に書面を書きます。今しばらくご猶予を」

 私はそう言い、手紙をしたためた。作物の収穫後畑を破棄すること。引っ越しの荷物は、屋敷の馬車を手配するので、早急に運び込むこと。全てが終わったら屋敷に集まること。そんな内容の書面を必要数書くと、アレクシア様に預けた。

 その後は、妻も私も忙しかった…。収穫時期のものを収穫し、畑を火で燃やす。領民とそういった作業をし、亡命時に持っていくものを仕分けして行った。

 ついてきてくれたうさぎ耳のあるフィール嬢は、思いの他魔族という種族故か、力があるらしく荷物を馬車に積む作業を手伝ってくれた。

 本来であればこの地を離れる際に、見つかってしまえば反逆罪等理由をつけられて、命を落とす覚悟を私も領民もしていた。

 アレクシア様に感謝しないといけない……。ゲートを作り、私達を迎え入れてくれるのだから。

 魔族を束ねる者として、私達の持つ知識で、偏見がなかったとは言えない。けれど彼は、対等な者として私達を見ているのだと感じる。

 ほぼ見ず知らずの私達に力を貸してくれている。

 私達も、役立つものが見つかれば、力になりたいと思わせる人だった。

 虫けらのように、私達を見下している国王と違い、これから先の時を、アレクシア様について行こうと思えた。
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