38 / 44
本編
35(アレク視点)
しおりを挟む
「魔族領には草一つ実らなかった。たとえ今後豊かになったとしても、忘れない。その力のおかげで民が飢えずにいられる今を、感謝こそすれ、そんなに不義理にみえるか?」
真剣に思いを話した。少しでも伝わるといい…、そんな思いを込めて。
「いえ……、いえ…。怖くて…。以前は精霊様の姿や声をとらえてたらしいのです。でも…、今は夢でしか触れ合えない……。それに感謝や信仰といったものに、なにか関係がある気がしてならないのです……」
精霊への感謝か……。神や邪神でも信仰が無ければ、力を失くすというし、荒唐無稽な話でもない。
「食物を植えられる事を、自分が助かるための条件にすれば、楽ができただろうし、きっと今みたいに豊かには、なっていなかった。本当に魔族領の為を考えていたと思う。そんな君だから惹かれたんだ」
リルの額、頬へとキスを落とす。俺とリルの瞳が絡み合う。少しずつリルの顔に近づいていき、唇にキスを落とす。
「私達の存在を忘れていませんか?」
ちょっと切れ気味に、ロイさんに言われた。……リルしか見えていなかった…。
最近の俺はリルがいないと駄目みたいだ。不意に抱きしめたり、額にキスを落としたり、「ずっと立ってるのは疲れるだろう?」なんて彼女を膝に座らせたり、膝に座らされたりといささか、スキンシップが過剰かもしれない。
そうは思うけれど、恥ずかしそうでいて、それでも幸せそうに笑うリルを見てると触れ合っていないと満たされない…。
考え事をしていたように見えていたリルが、不意に口を開いた。
「あれ? 以前精霊様の姿が見えてた……? 声も聞こえてた……? ならなんで今は見えなくなったのかしら……」
その力に助けられているとしても、2人でいる時には、俺だけを見てほしいと思ってしまうのは我儘なのだろうか。でもそう言ってしまうと、きっとリルは悲しい思いをする。考えていた事に罪悪感を抱いてしまう。だから話に付き合うことにする。
「親和性の問題じゃないかな……」
言葉を選びながら、俺は曖昧な思いを形にしようと口にする。
「親和性……?」
意図を掴みかねたのか、リルが繰り返した。
「なんていうのかな……。昔は、みんな精霊を信じて、感謝していたんだろう? 精霊の世界と、近かったというか…」
俺はうまく言い表せていない気がして、途中で言い淀む。けれど、伝えた。
「だから、昔は声が聞こえたんじゃないかな…」と。
「皆が精霊様を信じて感謝をしていけば、再び会えるかもって事ですね……?」
真剣に思いを話した。少しでも伝わるといい…、そんな思いを込めて。
「いえ……、いえ…。怖くて…。以前は精霊様の姿や声をとらえてたらしいのです。でも…、今は夢でしか触れ合えない……。それに感謝や信仰といったものに、なにか関係がある気がしてならないのです……」
精霊への感謝か……。神や邪神でも信仰が無ければ、力を失くすというし、荒唐無稽な話でもない。
「食物を植えられる事を、自分が助かるための条件にすれば、楽ができただろうし、きっと今みたいに豊かには、なっていなかった。本当に魔族領の為を考えていたと思う。そんな君だから惹かれたんだ」
リルの額、頬へとキスを落とす。俺とリルの瞳が絡み合う。少しずつリルの顔に近づいていき、唇にキスを落とす。
「私達の存在を忘れていませんか?」
ちょっと切れ気味に、ロイさんに言われた。……リルしか見えていなかった…。
最近の俺はリルがいないと駄目みたいだ。不意に抱きしめたり、額にキスを落としたり、「ずっと立ってるのは疲れるだろう?」なんて彼女を膝に座らせたり、膝に座らされたりといささか、スキンシップが過剰かもしれない。
そうは思うけれど、恥ずかしそうでいて、それでも幸せそうに笑うリルを見てると触れ合っていないと満たされない…。
考え事をしていたように見えていたリルが、不意に口を開いた。
「あれ? 以前精霊様の姿が見えてた……? 声も聞こえてた……? ならなんで今は見えなくなったのかしら……」
その力に助けられているとしても、2人でいる時には、俺だけを見てほしいと思ってしまうのは我儘なのだろうか。でもそう言ってしまうと、きっとリルは悲しい思いをする。考えていた事に罪悪感を抱いてしまう。だから話に付き合うことにする。
「親和性の問題じゃないかな……」
言葉を選びながら、俺は曖昧な思いを形にしようと口にする。
「親和性……?」
意図を掴みかねたのか、リルが繰り返した。
「なんていうのかな……。昔は、みんな精霊を信じて、感謝していたんだろう? 精霊の世界と、近かったというか…」
俺はうまく言い表せていない気がして、途中で言い淀む。けれど、伝えた。
「だから、昔は声が聞こえたんじゃないかな…」と。
「皆が精霊様を信じて感謝をしていけば、再び会えるかもって事ですね……?」
0
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる