【本編完結】森の中に取り残された私と…

皇ひびき

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本編

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 私は視察用の姿に変わったアレクの後ろに控え、両サイドをフィールとセイルに守られながら、応接室へと向かう。

 実質、先触れもなしに来ているのだし、門前で追い返してもいいところだけど、腐っても他国の王子というべきか……。応接室にて面会する事になった。

 久々に顔見たけれど、美形なのは置いといて、性格の悪さがやはり滲み出ている気がする。

 そんな最中、本題とは全く関係ないところで私は呼ばれた。

「おい! お前! 赤い髪と豊満な肢体が美しいな。俺の元へ来い。お下がりでも許してやる」

「「「「はぁ!?」」」」

 ついイラリとしていまい声が漏れた…と思ったら、みんな同じ気持ちだったらしい。

「一度貴方に捨てられてますので、願い下げです。他国に追放されたわけですし、もう縁もありませんし」

「リル……」

 アレクが悲しんでいないかを心配したのか、力なく呟く。

「何を……」

 私はブレスレットを外し、本来の姿に戻る。

「お…、お前……」

「そういう訳なので、貴方についていく義理はありません…」

 私が言い放つ。するとクリストフィン王子は焦ったように言い募った。

「お前はオレを好きだったのだろう? 都合のいい力もあるようだし、そばに置いてやるって言っているんだ!」

 どうしてこんなに話が通じないのか……。

「王命でなければ、貴方との婚姻など、したくなかったに決まっているじゃありませんか! 女癖は悪い、仕事はできない、語学も学ぶ気がない人なんて! 国外に追放されて清々してますよ」

 今後この国に入って来るな!そう願ってしまった。

『わかった!』とそんな声が響いて、クリストフィン王子が消えた。


「「「「えっ?」」」」

『今後リフィルに害のないやつしか、ここに来れないようにしたよ』

 耳元から聞こえた声に、顔を向けると小鳥サイズの小さな緑色の長い髪に、金色の瞳が特徴的な女の子が肩に座っていた。

「精霊様??」

『そうだよ、久しぶりだね。力が足りてなくて、アタシお話できなかったの』

「そうなんですね……。精霊様…、会えて嬉しいです」

 笑いながら私がそう言うと、『いつまでそう呼ぶの? アタシお名前欲しいな~』

「それじゃあ……、ルクは? 光って意味なの。あと…、アレク達にも聞こえますか?」

「「「聞こえる……」」」

『ルク……、気に入ったわ。ありがとう!』

 すぐにルクは、この地に住む人達と仲良くなった。


 そうして、人間、魔族、獣人、精霊の集う国として、スレイブは有名になった。

 精霊の愛する子を傷つけないものだけが、その国に入れるらしい。

 私とアレクは、その後結婚し、二人の子供に恵まれた。

 セイルとフィールもなんだかんだ気が合うらしく、籍を入れた。

 私達の寿命は短い。けれど、希望者に魔道具を使い、多くの者が寿命を延ばた。そして私達は、末永く豊かな土地を、愛すべき精霊と共に繁栄させていった。


-了-


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