魔法と呪いの姫君は光とともに

皇ひびき

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始まり

1【改稿】

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 私はいつもの様に目覚める。首を丸めて、ふかふかの羽に顔をうずめていた顔を上げる。屋敷の外にいる小鳥たちと同じ様に、朝が来た喜びをついピーヨチョイヨと歌ってしまう。


「ご機嫌ですね。アンジェ様」

 黒髪にアメジストのような輝きを放つ瞳の男の子。ルカがケージの扉を開けてくれる。鳥の姿のままでうまく話せない私は「チュイチュイ」と、お礼の様に鳴きながら、ありがとうの気持ちを伝える様に執事服を身に着けたルカのその肩に乗ると彼の頬にすりすりと体を擦り付けた。

「はしたないですよ!」

 …なんて顔を赤らめ、満更でもない顔をしているように思うのに…。照れたルカに怒られる。残念に思いながら、紅茶の乗ったテーブルの脇にある椅子へと飛んで行く私。

 アメジスト石のはまったネックレスを、ルカにそっと首にかけて貰うと青いドレスをまとった美しい銀髪を腰までふわりとなびかせ、アメジストの瞳を持つ美しい少女に早変わりする。

「いつもありがとう」
「大したことはしてませんよ」
「そうなのかもしれないけど…。私はルカに起こしてもらえるのはとても幸せよ?」

 私には生まれた時から、小鳥になってしまう呪いがかかっていた。今は一時ひととき魔法のかかったネックレスをかけてる間だけ、人の姿を取れるようになったけど…。全ての属性の魔法を手にしているからか、女の子に生まれたら、「ひとつ上の王子様の婚約者に…」と騒がられていたらしい。

 そうなるのを防ぎたかった何者かに、呪いをかけられ小鳥の姿で夜を未だに過ごしている。いい迷惑だ。

 だから、公爵家の娘でありながら、人前に出る事は叶わず、遊んでくださるのはお兄様とルカしかいない。

 お父様やお母様達や屋敷の者に、マナーを教わっているけれど、社交界へのデビューは出来ない。その分屋敷内であれば好きに過ごさせてもらっている。私はそれだけで充分に幸せだと思う。

 そう思える理由は、私のもう一つの秘密に関わっている。私には前世の記憶があった。大好きなお兄様やルカは前世で大好きだったゲームの『RAINBOW~君に恋する~』の攻略対象だった。

 ゲームでの私はこの国の王子様の婚約者となり、悪役令嬢になるはずだった。

 けれど『前世の記憶を持つ私』という異物が紛れ込んだせいなのだろうか。それとも生まれ落ちた日から、未だに発動し続けている呪いのおかげなのか。ゲームのフラグというものに悩まされずに済んでいる。

 呪いのせいで屋敷から出れないおかげで、勝手にフラグが折れていくのだから。我侭なはずの私の付添で学園に行くはずのルカも、授業を受けるべく学園に通うはずだったお兄様も、家庭教師ですませてしまい、私達は学園には通っていない。


 また前世で料理をするのが好きだった私にとって、救いだったのがゲームの影響なのだろうか。食材が前世と全く一緒なのだ。空いてる時間を使って、お料理したら喜んでくれるかしら。
 前世の推し達に囲まれて幸せな私。


 いつかヒロインに恋するのかもしれない彼ら。もう少しだけでいいから、近くで過ごすことを許してね。ルカ、お兄様…。
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