(本編完結)悪夢の狭間と夢のつづき

皇ひびき

文字の大きさ
13 / 17
番外編

1

しおりを挟む
 少しずつ紅葉もみじさんがいう、モフモフ隊員の入隊?も落ち着き、少しずつ彼らとの距離を縮めている彼女はご満悦の様子だ。

ほむらちゃん、琥珀こはくちゃん、銀ちゃんのご飯だけど、ドッグフードとか代用出来ないかなって調べてみたけど…、塩分料とか脂質が濃いみたい。今、彼らや狸さんにいいご飯を作らなきゃね~」

「え…? 簡単に言うけど、大変な事なんじゃないの…?」

 あまりに事もなげにいう紅葉もみじさんの発言に驚いてしまった。

「うーん。父さんのグループ力なら問題ないと思うよ。今後は、作った餌を動物園とかに試して貰って、買い取って貰えれば、元は取れるでしょうし…」

 そういうものなのか? 人間の世界はよくわからない。

「そんな事よりピザ生地作ったの! 好きな具材乗せていいから、きょうくん、紫雫しずくくん。一緒に作ろう?」

「甘辛く仕上げたテリヤキチキンと、マヨネーズが合うよ~」と紫雫しずくに言いつつ、「きょうくんはどんなの食べたい? オーソドックスなのはトマトソースとサラミとピーマンとかかな…」

「それにします。どんなの食べたいかは今後の課題で」

 なんて俺が笑うと、嬉しそうに紅葉もみじさんも笑った。

「でも完全にオーソドックスじゃつまんないから…、トマトソースの代わりにミートソース使おう!」


 そういうと手を洗うようにと俺らにも促し、ピザのの生地の準備をする紅葉もみじさん。

「本当に好きなの乗せていいのかな?」

 ワクリとした様子で、聞く紫雫しずく

「重すぎたら、生地破れちゃうこともあるから適度にね~」

 そう言いながら、オーブンを予熱で温める。

「「はーい」」

 返事をしてから、紫雫しずくの作るのをしばらく見る俺。

 テリヤキチキン、コーン、スライスされた玉ねぎを入れ、チーズを回しかけていく。マヨネーズをかけるのも忘れない。どんなものが仕上がるのか楽しみだ。

 先程教えてもらった、ミートソースを塗り広げ、サラミとピーマン、玉ねぎ、チーズを順に振りかけるように作りあげる。

 紅葉もみじさんは満足そうに俺らを眺めていたけど、緑色のソースを塗り広げ、スライスしたトマトを乗せる。その上にチーズとバジルとかいう香草を乗せ完成みたいだ。

「その緑色のソースは?」

 俺が聞くと「ジェノベーゼソースって、バジルや松の実で作ったソースよ」

 バジルって葉の爽やかな香りや味わいは好みなので、すごく楽しみだ。


 焼き上がったピザは、チーズがとろけていかにも美味しそうだ。

 ピザカッターで切り分け、どの味から食べるか好きな味を選ぶスタイルみたいだ。

 初めてのピザ熱かったけど、テリヤキチキンの甘じょっぱい中に加熱されたマヨネーズのマイルドな味わい。野菜の甘味もなんともいえず、美味しい。

 ミートソースベースのピザもトマトの爽やかな酸味と肉の旨味が広がるミートソースに、ピーマンや玉ねぎ、サラミと言った具材の味がソースに溶け込み、思わず笑みが溢れる。

 ジェノベーゼソースがベースになってるピザには、爽やかなバシルの風味とトマトの酸味がきいている。部分的に違うチーズが使われているみたいで、それもまたいい味わいとなっている。

「この白いチーズ? なんですか? 俺…、コレ好きかも」

「モッツァレラチーズだよ。そっかー、今度またモッツァレラ使ったの作ってあげるね。好き嫌いない分、紫雫しずくくんの好みのものを作る事が多かったものね!」

そうやって、今日も少し料理を教えてもらいながら一日が過ぎていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

処理中です...