11 / 88
本編
8(レイス視点)
しおりを挟む
今日はレイが僕らの為に朝食を作ってくれると言う。どうしてだろう、食堂へと向かう足取が軽い。
「今朝はレイちゃんが作ってくれると聞いたのだけど…」
昨日下準備の後に報告をしたら。瞳を輝かせた父上と母上がいた。
僕も父上も、母上もすごくワクワクしている。
料理が楽しみなのもあるけれど、レイ自身からやりたい事を言われたからかもしれない。
食堂に着くとレイもこちらに来て席へとついた。
「楽しみだね~」
母が嬉しそうに言う。少し不安そうなレイに、「ありがとう、嬉しいよ」そう言って、笑顔で頭を撫でるとどうしていいのかわからないといった体で顔を真っ赤にして、俯向いてしまう。
なんだろう…。この可愛い生き物は……。義妹には感じた事のない感情が湧き上がりそうになる…。
「出来るのは家庭の延長だと思いますが…」
そう言う彼女の作った料理が、テーブルに並べられていく。いつもの様に食べきれない程の料理が所狭しと並んでいるわけではない。
グラスに注がれたオレンジ色の綺麗な液体。それを口に含むと、爽やかな柑橘の味と香り、そしてつぶつぶとした舌触りがなんとも楽しい。
僕はチーズの乗っているパンを切り分けながら、彼女のおすすめだという、ハムと目玉焼きを少し取り、黄色く染まったパンを口へと運ぶ。卵の柔らかい味わい、感じたことのないパンの柔らかさに、口に頬張った瞬間、瞳を見開き驚きを隠せない。
「美味しいよ、ありがとう」
そう伝えると、はにかむ様に笑うレイが愛らしかった。
もう片方の蜂蜜をかけて食べてみるとお菓子の様に甘く香る。
「全然味が違うんだね」
父上がそう言うと、不安そうに、お口に合いますか? そういう彼女が愛らしくて仕方ない。何が違うと言うのだろう。見た目は変わりなくレイシアなのに、仕草が違う。恥ずかしそうに僕達をみる姿も、遠慮がちに歩み寄ろうとする姿も、力無い小動物みたいで庇護欲が刺激されるのだろうか。
赤い野菜たっぷりのスープに口をつけると、トマトの爽やかな酸味と、野菜から滲み出る柔らかい甘み。ハムが含む塩分や肉の味が滲み出ていて満足感を得られる。薬でしか取ったことのないハーブの香りが口いっぱいに広がってすごく美味しいと思った。
こんな料理が作れるなら確かに食事に物足りなさを感じても仕方ない。
サラダをフォークに差し込み、意を決して口にする。生の野菜はあまり味がないのと青臭く感じてしまって得意ではなかった。けれど、レイが作ってくれたのだから残さず食べなければ…、そう思い口にすると、シャキシャキとした食感としょっぱいような酸っぱいような不思議な液体がかかっているおかげか、全部美味しく食べられた。というか、まだあるのならおかわりをお願いしていたかも知れない。
今まで美味しいと思っていた料理は、なんと単調な味付けだったのだろう……。
公爵家の食事がこれを期に変わる気がした。
「今朝はレイちゃんが作ってくれると聞いたのだけど…」
昨日下準備の後に報告をしたら。瞳を輝かせた父上と母上がいた。
僕も父上も、母上もすごくワクワクしている。
料理が楽しみなのもあるけれど、レイ自身からやりたい事を言われたからかもしれない。
食堂に着くとレイもこちらに来て席へとついた。
「楽しみだね~」
母が嬉しそうに言う。少し不安そうなレイに、「ありがとう、嬉しいよ」そう言って、笑顔で頭を撫でるとどうしていいのかわからないといった体で顔を真っ赤にして、俯向いてしまう。
なんだろう…。この可愛い生き物は……。義妹には感じた事のない感情が湧き上がりそうになる…。
「出来るのは家庭の延長だと思いますが…」
そう言う彼女の作った料理が、テーブルに並べられていく。いつもの様に食べきれない程の料理が所狭しと並んでいるわけではない。
グラスに注がれたオレンジ色の綺麗な液体。それを口に含むと、爽やかな柑橘の味と香り、そしてつぶつぶとした舌触りがなんとも楽しい。
僕はチーズの乗っているパンを切り分けながら、彼女のおすすめだという、ハムと目玉焼きを少し取り、黄色く染まったパンを口へと運ぶ。卵の柔らかい味わい、感じたことのないパンの柔らかさに、口に頬張った瞬間、瞳を見開き驚きを隠せない。
「美味しいよ、ありがとう」
そう伝えると、はにかむ様に笑うレイが愛らしかった。
もう片方の蜂蜜をかけて食べてみるとお菓子の様に甘く香る。
「全然味が違うんだね」
父上がそう言うと、不安そうに、お口に合いますか? そういう彼女が愛らしくて仕方ない。何が違うと言うのだろう。見た目は変わりなくレイシアなのに、仕草が違う。恥ずかしそうに僕達をみる姿も、遠慮がちに歩み寄ろうとする姿も、力無い小動物みたいで庇護欲が刺激されるのだろうか。
赤い野菜たっぷりのスープに口をつけると、トマトの爽やかな酸味と、野菜から滲み出る柔らかい甘み。ハムが含む塩分や肉の味が滲み出ていて満足感を得られる。薬でしか取ったことのないハーブの香りが口いっぱいに広がってすごく美味しいと思った。
こんな料理が作れるなら確かに食事に物足りなさを感じても仕方ない。
サラダをフォークに差し込み、意を決して口にする。生の野菜はあまり味がないのと青臭く感じてしまって得意ではなかった。けれど、レイが作ってくれたのだから残さず食べなければ…、そう思い口にすると、シャキシャキとした食感としょっぱいような酸っぱいような不思議な液体がかかっているおかげか、全部美味しく食べられた。というか、まだあるのならおかわりをお願いしていたかも知れない。
今まで美味しいと思っていた料理は、なんと単調な味付けだったのだろう……。
公爵家の食事がこれを期に変わる気がした。
11
あなたにおすすめの小説
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる