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本編

49(レイス視点)

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 結局2台のスマホが追加で作られて、それぞれが初めてスマホに触れた僕達3人が、写真やメールなど新しいものにテンションが上がってしまった。

 レイが先程、チーズ? と撮ったシャシンと言うものをメールにつけて送ってくれた。

「違う場所にいても、風景の共有も出来そうで画期的だね。スマホの作り方は、お父様以外に構築できる方法が見つかるまで、売り出したりはしない方がいいね」

「レイちゃんが、未来へつながる架け橋アルクだと嗅ぎつけられるかもしれないものね……」

「ウシやニワトリに関しては、自領の未開の森で見つけた事にするつもりだ。それの繁殖を成功させたとな」

 何か考え込んだ様子で、父上が言った。

「ご迷惑をおかけします。前に頂いた四角い容器で作った石鹸です。手を洗う時に使ってみてください」

「試してみたらこんなにすべすべになったのよ!」

 セッケンを思い出して、ご満悦な様子のお母様が言う。

「ラベンダーと薔薇の香りか…。薔薇は貴婦人に好まれそうだね」

 興味深そうにセッケンを見つめるお父様に、触って触ってとアピールするお母様。なんだか見ていて微笑ましい。

「後は、オレンジのオイルとか、グレープフルーツのオイルとかはすぐ出来ると思います。あとはミントオイルも取ったら、暑い日には汗が引くので、最高だと思います。ただオイルの抽出機をそれぞれ準備しないといけないので、今は作ってません」

「なんで?」

 不思議に思い聞くと、困った様に言うレイ。

「なんでって…、匂い移っちゃうじゃないですか…」

 困った表情が愛らしくてつい笑いが漏れてしまう。

「クリーンの魔法で匂いも消えるよ? 僕が消してあげるよ。その後、褒めては欲しいけど…」

 真っ赤になって、ぷるぷると所在なさげなレイも可愛い…。そのせいかつい困らせてしまっているね…。

「撫でてあげたらいいのですか?」

「それも捨てがたいけど、頬にキスで手を打とうかな?」

「「ずるいっ!」」

「へっ?」

 不意に、レイは気の抜けた声を上げる。父上も母上も参戦するらしい。

 レイは、ぷるぷると言葉をなくして、立ち尽くす。

「私もレイの喜ぶスマホを作ったものな。権利はあるな」

「私だってレイちゃんのためにセッケン作りを手伝ったもの!」

「僕だって、ミックスハーブを乾燥させて作った!」

 レイは、こんな会話の間も、どう答えていいのかわからないといった様相で立ち尽くしていた。

「わかりました」

 観念したように感謝のキスを、僕達の頬にくれた。 独り占めしたかったけれど可愛い顔も見られて、すごく嬉しい出来事になった。
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