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本編

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 私は、作ったぬか床に辛子や皮を剥いた生姜の欠片、唐辛子、皮を剥いたにんにくを混ぜ込み、クズ野菜を漬け込む。

「この中の野菜はたべるのですか?」

料理長のラフェルさんが、不思議そうに聞いてきた。

「余分な塩分を野菜に吸わせたいのと、味を馴染ませるために漬けたものなので、しょっぱくて食べられない事が多いです。それ以降に漬けた物を、箸休めに食べたりする、お漬物というものです」

 そういうと、クズ野菜をつけるのが不思議なのか、しきりに容疑を見ていた。

 多めの油を鍋に入れ火を点ける。まずは水につけていたじゃがいもの水分を切り揚げていく。

 口で指示を出しながら、唐揚げ用の肉の水分を取り、小麦粉をまぶしてもらう。

 揚げ上がったフライドポテトに塩を振る。冷まさないように人数分を取り、アイテムバッグにしまう。

「味見してみて」

 無意識に、一つのフライドポテトを、レイス様にあ~んをしていた。それに動揺したレイス様が、恐る恐る口に咥えた。

 家族といる時に普通に味見を頼んでいたのだから、する側となるとどうということはない。ただの習慣なんだから、自分が仕出かした事に気がつきもしなかった。

 他のみんなも居心地悪そうに食べていたけど、美味しいと喜ばれた。

「美味しいよ……」

 口をモグモグ動かして、落ち着いた頃に、レイス様に言われた。

「良かった!」

 嬉しくて笑顔を見せると、レイス様はなぜだかそっぽを向いた。

『油扱ってるし、熱いのかなー』などと、その時の私は検討外れなことを思っていた。


「カラアゲの準備が出来ました!」

 ミランさんに下準備も頼んでいたので、声をかけられた。

「ありがとうございます」

 そういうとミランさんから、小麦粉をまぶした肉を渡され、次々と揚げていく。大体、体感で1分くらいで、お皿に乗せて余熱で火を通す。

 全部揚げ上がった頃に、白米の炊けるいい匂いがしてきた。

 1分半くらい経ったかな。そろそろ余熱で火が通っているので、あとは色にをつける意味で、もう一度揚げていく。

 きつね色に揚がった頃にまたお皿に乗せる。また人数分小皿に取ると、無意識に熱いですから気をつけてくださいね。

 フーフー吐息を吹きかけて、「はいどうぞ」というと、「人前だし少し照れる…かな…」と言われた。

「すみません! 無意識でした! 家族に味見頼む時にいつもこんな感じだったのでごめんなさい…」

「慣れないから照れるだけで、嫌ではないよ…?」

 そういうと、薔薇の様に頬を染めて、レイス様は唐揚げを食べてくれた。

 癖って怖い……。そう痛感した瞬間だった。
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