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本編

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 ミランさんに頼んでおいた、生姜焼きのお肉と玉ねぎをタレにつけて、しばらくねかせておいてもらったもの。

「ミランさんに頼んだ生姜焼きを炒めて貰っても良いですか?」

「焼き具合などは、指示してください」

 そう言って、手慣れた風にフライパンで炒めていく。

「お米はそろそろいいかも。久しぶりのお米嬉しい!」

 そう言って、火を止める。塩を手に塗り、食べてみたいと言ってくれた人数分を、スプーンに取ってから、一口大に握って、塩にぎりにしていく。

 焼き上がった生姜焼きと一緒の小皿において、食べて見てもらう。残りは保温も兼ねて鍋ごと借りて、アイテムバッグにしまった。

 私の分も、もちろん作って「いただきます」と、白米を口にする。

「ん…、美味しい…」

 ふと、お米のほんのりとした甘みと、塩のほのかなしょっぱさが、懐かしく気がつくと涙が溢れた。

「だ…、大丈夫?」

「「「「大丈夫ですか?」」」」

 そう言って皆が心配してくれる。

「違うんです…。前の世界でよく食べてたなって…、懐かしくなって…。泣くつもりなくて…。ごめんなさい」

 私がそういうと、思い出の味ならそうだよねと、勇気を出して、白米を食べる皆。

「素材の甘味が広がって美味しい! セイマイ? その方法が見つかれば、領地の食料事情が変わるよ!」

「? レイ…スは…、領地の事詳しいのですね。この世界だと学園みたいなのは通わないの?」


 私はなにか気恥ずかしくて、話題をかえる。

「ん? 通うよ。僕はスキップしたから、家で領地を継ぐ為の、勉強中と言った所かな…」

「すごい……。頭良いんですね」

 まだ瞳に涙をためたまま、そういうとレイス様の顔が不意に柔らかく崩された。見慣れた笑顔で言う彼…。

「ふふっ…、ありがと」

 イチャついてると思われたのか、私達に構わず試食を始めたラフェルさん達。

 レイス様も生姜焼き食べた後に、お米を食すとすごく驚いた顔をした。

「ショウガヤキは、甘じょっぱい感じで美味しいよ。なによりもハクマイ?
噛むと滲み出るほんのりとした甘みも、ショウガヤキを包み込む味わいも美味しいよ。もっと食べたい所だけど、夕食に障るから我慢するよ。でも…、こんな物を焼却処分する所だったのかと思うと、も勿体ない事をする所だったよ。教えてくれてありがとう!」

 料理人の皆さんも、米を磨くとこんなに白く旨味のある物が、この世界の飼葉になっている事実に驚きを隠せないみたいだった。

「これを粉にして、食感のもちもちしたパンとかお菓子も作れるのですよ!」

「「「「想像がつきません…」」」」

「今度作って欲しいな」


 口々に言う彼らに、「今度米粉を使ったお菓子も作りますね!」

 そう言って、しばらく他愛もない話をした後に、厨房をあとにした。
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