【本編完結】貴方のそばにずっと、いられたらのならばいいのに…。

皇ひびき

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本編

56

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 レイス様と食堂につくと、席へと隣り合わせに座る。

 食堂の道すがらに、今日のドレスの色合いや髪のリボンの色がどれだけ嬉しかったかと、力説されて嬉しいのだけど何だか恥ずかしい。

「レイス…も、青のお召し物、素敵で……。似合っていて見惚れます…」

 そう伝えると、レイス様は嬉しそうに笑った。私は頬が熱くなるのを感じる。きっと気の所為ではないのだろう。

「あら、二人共先に来ていたのね」

 そういうと、優雅に席へと歩いていく。お父様もすぐに来られ、席へと座る。


「今日もレイが食事を、師事してくれたんだって? ありがとう」

 この人達に家畜の飼料を食べて貰うわけには行かないかな…、そう思いながら自分だけで白米は食べようと考えていた矢先の事。

「レイが稲の食し方を知っていて、すごく美味しかったんだ!」

 言わないつもりだったのも、お見通しだったのかそんな事を言い出す。

「あれは食料として試行錯誤してきたけれど、解決方が見つからなかったはずだが…」

「まぁ…。レイちゃんのお墨付きなら、きっと美味しいわね。今晩の食事として出るのかしら? 楽しみだわ」

 今日はバターロールの作り方も、こっそりと伝授してきたので、頼んでおいたパンとサラダと、目玉焼きにパンチェッタとコンソメのスープが出てきた。

「あまり見たことのない、光沢のあるパンと、卵とパンチェッタ? 美味しそうだね。稲も試してみたかったが、またの機会に作っておくれ」

「あ…、まだアイテムバッグにおかずあるのです……」

 そう言うと私は、次々とフライドポテトや唐揚げ、生姜焼きをカバンから出していく。

 借りておいた中皿とお米を炊いたお鍋を取り出し、ご飯をよそっていく。

「……レイちゃん、この白いのが稲の実なの? もっと茶色かったような…」

「唐揚げも合いますが、生姜焼きが、この中で一番合うと思います」

 取り分け用のスプーンも生姜焼きの上に置き、「いただきます」そういい、白米に口をつける。噛めば噛むほどほんのりとした甘さが出てきて美味しい。

 次に生姜焼きを食べると、なんとも言えない甘じょっぱさ、玉ねぎから滲み出た自然の甘みが調和していてやはり美味しい。

「ん…、やっぱり日本人はお米よね……」

 そういい、うっとりと食べる。私の様子に呆気に取られていたらしい、お父様とお母様だったけど、恐る恐る白米を食べると夢中になっていった。

「これは…、稲から取れた実の皮を剝いて、玄米という茶色い部分を取り除いた状態のものです。茶色いままだと栄養化が高いらしいのですが、食べにくいのです…」

 お米も気に入ってもらえたみたいなので、今後の食卓に上がるといいな、そんなことを考えつつ、食事を勧めていく。
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